【映画】マンチェスター・バイ・ザ・シー

映画、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を見た。大きな展開があるわけではないが、染みるような一作という印象である。眠れない真夜中にふとテレビ東京を書けるとこの映画がやっていた、見てみると知らぬ間に2時間たっていた…、みたいな形が良いのかなと思った。以下、ネタバレを含みます。

本作では、ある男性が甥っ子を育てなければならないという状況が設定される。その男性はいかにも暗いのだが、それは自身の不注意で家を燃やしてしまい子どもを失ったことが原因である。この行為はあくまで不注意であり意図的ではないので、法律では罰せられなかった。このことは一見すると悪くないことであるが、主人公は誰にも罰せられない罪を自分で背負って生きることとなる。見た所、自分にはこんな罪があるのだから決して楽しんではいけないというものを背負っているように思われる。

この様子が一番表れているなと思ったのが、甥っ子とボールを投げるシーンである。「I can't beat it」と自分が過去から切り替えることができないことを甥に語ったと2人の距離は若干縮まったように見え、そのまま2人が歩くシーンとなる。そのとき2人がキャッチボールをすればそれは父と子の良好な関係という印象になるのだが、そうではなくワンバウンドさせてそれを受け取るかどうか…という絶妙な距離感で終わっているのが、本作の雰囲気を表しているように思われた。

音楽で言うとRadiohead。天気で言うと曇り空。そんな雰囲気の映画であった。



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