【読書】小城武彦「衰退の法則」

「衰退の法則」という本を読んだ。面白い!。トップの意向、学閥、年次といった本質とは関係のない情報ばかりを気にして意思決定を行うような風土であれば衰退するというメッセージかと思いきや、そうした意思決定は衰退していない会社でも行われがちということにまず驚く。その上で、衰退しない企業では事実に基づく議論が重視されており、空気だけに流された意思決定を妨げる仕掛けがあると主張する。衰退する企業にはAという特徴があり、衰退しない企業にはBという特徴がある、という結論であれば簡単であるが、そうではない所に目を背けず深掘りしていった点が素晴らしい。

その上で、オーナー企業についても別途取り上げて論述している。いわく、オーナー企業ではオーナーの目を気にした雰囲気に流された意思決定が行われやすいという。それを防ぐために社外取締役を設けたり、事実ベースの判断ができる部下をある程度信頼して任せたりすることによって、オーナーの存在が事実に目を向けない意思決定を促さないように仕掛けをしているという。

オーナーがいるとオーナーの目を気にして事実ベースの判断が難しいというのは企業だけの問題ではない。独裁的な国家、創設者がまだ権力を持っている政党。本書の知見は企業の問題のみならず、政治に関する問題にも示唆を与えると思う。面白かった。

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