【美術館】インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢

「インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢」という展示を観た。その名の通り、建築家が作ろうと思ったけど作ることが叶わなかった建築、あるいは建築デザインを通じて社会に対して問題提起を行うものなど、幅広く展示されていた。展示されているものは設計図が多く、2次元の展示を3次元の建築物へと想像することが求められた。

感想は主に2点。1点目は、やはり実物を観たいということである。設計図だけで心が動くことは難しく、動画の紹介であればわざわざ美術館に行く必要は薄い。模型もスケールが小さいので、あまり心は動かない。その意味で、数年前に行われた安藤忠雄展はすごかった。なにせ実物大の光の教会を美術館に作ってしまうのだから…(あとあの企画展は音声ガイドがめちゃくちゃ面白かった)。

2点目は、ザハ・ハディド案の国立競技場を観たい気持ちになったということである。基本的にニュートラルな視点からガイドされていたように思うが、新国立競技場の所だけは急にザハ案の競技場が取り下げられた無念さがにじみ出ていた。コンピュータの技術を用いて芸術性と実現可能性を融合した最先端の建築であること。求められたオーダーに全て従っていたということ。そして何より完成像の都会的な雰囲気。隈研吾案のものは現状にフィットするデザインだと思うが、ザハ案のものはむしろ新国立競技場にあわせて周囲をアップデートすることが求められているような印象があった。どちらを求めるかは今後の成長の見込みにもよるので後者が良いとは言えないが、それでもアップデートされた東京の姿も見たいものだなと思った。

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