【読書】村田沙耶香「丸の内魔法少女ミラクリーナ」

村田沙耶香さんの「丸の内魔法少女ミラクリーナ」という本を読んだ。村田沙耶香は本当に天才だと思う。描かれるのは性別のない世界、怒り感情のない世界、監禁、30代になっても魔法少女ごっこをやめられない女性などのように狂った世界であるのだが、それを当たり前のように書き連ねていくのでひょっとしたらこんな世界があるのかも…と思わせるものがある。

自分は、丸の内魔法少女ミラクリーナと無性教室が1つの対になっているのかなと思った。丸の内魔法少女ミラクリーナでは魔法少女になりきり魔法少女としての役割を演じることでなんとか自分を成立させている主人公が描かれていたが、無性教室では性別(ジェンダー)という役割を捨て去らざるを得ない環境下で男性や女性がそれぞれ期待される役割にしばられない自分自身が描かれる。

無性教室では役割演技について描かれることに加えて、性別を超えた恋愛が成立するのかという点について巧みな描写で描かれている。秘密の花園では初恋のことが描かれており、変容では性生活のない世界が描かれているのでやはり村田沙耶香にとって性というのは1つのキーワードなのかと思った。

丸の内魔法少女ミラクリーナというワードが変換予測に出てくるのは少し恥ずかしいのが正直な所であるのだが、相変わらずおもしろい作品を書いてくれる作家だなと思った。

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