【読書】トニ・モリスン「『他者』の起源」
「『他者』の起源」という本を読んだ。2017年の本であるが、序文の言葉が2020年になって記されたものではないかと思うほど現在を描いている。キーワードを挙げると、「ブラック・ライブス・マター」、「黒人への『警察暴力』」、「組織的人種主義」といった言葉が序文の2ページに登場する。少なくとも2017年には問題として認識されていたことが、2020年に至っても解決されていないことを痛感する。
話自体は文学の知識を前提とした記述も多く難解である。中でも初めて知ったことが、パッシングという言葉である。黒人として生きる上では障害が多いので、自分の先祖に黒人がいることを隠して生きようとすることを意味するという。黒人・白人の区別は単に肌の色の区別によってなされることだと思っていたが、先祖に黒人がいるかどうかによって区別されると記されていた。どうしてそこまで両者を区別したがるのだろうと思ったが、日本における在日韓国人などとも共通する部分は多いようにも思われた。
トニ・モリスンの著作や、本書に出てくる文学を理解した上で読めば、より内容を深く理解できると思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?