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えだ


私とカレが事故に遭う少し前

別れるか別れないかの私達にしてはないほどの
別離を考えていた。

理由は
色々あるけども男女なら大抵経験する
あれだ笑

結婚?
そんなものできるわけがない。

カレはそう。
浮気をしたのだ。

結婚を考えていた直後に男女共にまぁ、
よくある話なんだけど。
それでも私達はまだ若い。
若いからこそとも言える行動だし
若いからこそ許せないともなる。
いや、年齢は関係ないか😅

そんな時、
カレは一生懸命、自分のした事を反省し
謝ってきた。
謝って許される事でもない!!!
意地でも許せなかった私はカレに

私に対する花を持ってきてと伝えた。

それは正直、道端に咲いてる花でも絵でも何でも良かった。

カレはいつもふざけておちゃらけている人で
そこも好きだったけど。
嫌いでもあって。

こんな時にはきちんと伝えてほしいと
私なりのわがままを伝えた。花にして表してほしい。花言葉があるから。

言い訳とか弁解とかそんなのいらなかった。
言い訳をすればするほど、
嘘に聞こえ、言葉にすればするほど信じられなくなっていく。

花が好きだったのもあるし
当時、東京の父や母といる事で
何かと花と触れていた。
そして元々は田舎で育った私は
桜など自然な花が好きだった。
カレも同じ。景色や誰と見るかそんな
共存を大事にする人だった。

そんなこんなで
約束の日。


カレが手に持っていたのは花束でもキレイに咲いた花でもなく枝だった。蕾にもなってなくて
枝に少し蕾になりかけたものがついていた。

それを満遍の笑みで太陽なみたい笑顔で
私に【はい!】と渡すのだ。

状況😭

何でもない
日常のありふれた一コマならば
笑って【なにこれー!】て返す事もできただろう。

花の選択によっては
別れを決断する事になるかもしれなかった大事な
時を何の花かもわからない何の花になるかもわからない枝木を持ってきたのだ。

私の事を知っている人ならば検討もつくであろう
【は?】【いらない!!!】と突き返してしまった。

その時、
その枝木がどんな花になるのかどんな意味を持つのかわかっていた唯一の人物はカレのパパで。

私はその枝木を家に持ち帰り今の言葉で言うとフラワーベースと言えばいいのか。
花瓶にさした。

その枝木はなかなか花を咲かさなくて
花が咲いて意味を知った時は
カレと私は事故に遭った後だった。

いつもなら大事な事や内緒にしなきゃいけない事を黙っていられなくてつい、口からでてしまうような素直な人なのに
その時だけはなぜか言わなかった。

肝心な時ってその時だったのに。

カレがもってきて私にプレゼントしてくれたのは
きちんと花だったんだ。

これはツツジ
カレがくれたのはツツジに似ている。
その花言葉は
【あなたに愛されて幸せ】

私の地元もカレの地元も
ツツジが沢山咲いている。

そして公園?みたいなところには
沢山のツツジやツツジ科の仲間たちが沢山。

まだ春にはならない寒い冬の時期。

カレがくれたその枝に花が咲いたのは
春になった頃だった。

花言葉の意味を調べた時
え?自分の気持ち???🤣
ってカレらしくて。

私はてっきり愛の言葉があるのかと思っていたから。

【好き】だとか【愛してる】とか【大切】
だとかそんなわかりきってる言葉じゃなかった。

カレが最後に私に残したのは
【愛されて幸せ】だった。

そんなのは私だよ。
私がカレにその返事をしなきゃいけなかった。

確か、
その枝はカレの実家に置いてあって
私はツツジだと思ったのだけど
カレのパパかママ、東京の父か母が
【アザレア】だと教えてくれた。

アザレアと知った後、
1人になりたくてカレとの想い出を巡った。



駅で調べて大泣きしたんだった。
確か。

携帯の充電も切れちゃって
その時、大雨で待合室で雨が止むのを待っていた。
なかなか止まなくて、辺りも真っ暗になって。


カレがびしょ濡れになりながら
迎えに来てくれるんじゃないかって。
そしたらあの時、枝をくれた時
嫌な態度とったことを謝ろう。
そして私も同じ事伝えようってそう思ったのに。

カレは迎えにはこない。
私はずっと1人で前に進めない。

カレのパパや東京の父、皆んなが血相をかえて探していたらしい。

万が一を考えたのかな。

私は1人じゃ歩けない。

みんなも悲しいのに。
私は自分の事しか考えられなくて
いつまでも居なくなったカレの残像だけを
探し回って。



どうして同じ事故に遭ったのに
私はここにいるのだろうか。
どうしてカレはいないのだろうか。

ずっとそんな答えのない答えを探していた。


そして今も。




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