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日記2023.8.11 女の部屋

かつてヴァージニア・ウルフは「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない。」と言ったが、目下わたしはお金も自分ひとりの部屋も持っておらん。
わたしの母も、そのまた母も、さらに上の母も、母方の叔母も、みんな持っていなかった。だから別に悲しいとは思わないけど、やっぱりひとりの時間は必要で、小説を書くわけではないにしても、ひとりでないと日記を書くこともままならない。だから近所のスターバックスとベックスはわたしの生活必需品なんだね。いま目の前に置かれている海老アボガドパニーニと豆乳ラテ(S)のセットが970円というのはちょっと高いと思いますが。

父方の祖母はちょっと違っていて、ちゃんと自分の部屋を持っていた。父が幼少の頃に離婚して、そのあとどんな生活をしていたかはよく知らないが、その後再婚することはなく男の子2人を育てた。
わたしが子どもの頃、時々祖母の家に遊びに行ったときに「書き物をしてくるから」と言って2階の自分の部屋に上がっていく姿は、自分の田舎ではまず見ない女性の姿だったから、ちょっと遠い存在に思え、憧れた。部屋には本がたくさん並んでいた。
中学生になって、祖母におもしろかった映画や小説の話をすると、映画館に行って同じ映画を観てくれたり、同じ本を買って読んでくれたりした。覚えているのはディカプリオ主演の『ギャングオブニューヨーク』、見沢知廉の『調律の帝国』。なかなか人に勧められるような作品じゃないと思う。私が言うのもなんだが、インテリな人だった。

この性別で社会を生きていくってどういうことかなぁと最近考えることがある。
いなくなった女性たちを思うと涙が出てくる。
割高なパニーニもラテも平らげて、もう電車に乗ってしまったのに。

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