価値基準のお話。

そうだね、きっと上手くいくからさ。
世の中はお金だよ、若いうちにやっておかないと。

起きて、まだ暗闇にいるかのような。ベッドから下ろした足元に淀んだ空気がいるかのような、そんな感覚に包まれることが時々ある。

2年前にサッカーを辞め、東京に住処を移して、その夏に映像制作会社を起業した。僕の夢が始まった。楽しかった。刺激的だった。不安なんてなかった。最高だった。

でも、いつしか売り上げが増えれば増えるほど、僕の背中には大きくて重たい何かが棲みつくようになった。

決して、僕だけが感じるものでは無いと思うし、この道を歩んだ先輩方は経験していることなんだろう。

会社とは価値貢献をする箱である


ビジネスとは世の中に与えた価値の総量に対して、お金をもらう等価交換のシステムだ。

会社を作り、売り上げが上がるというのは本当に素晴らしいことだとずっと思っている。それは今でもそう。

ただ1つだけ大きな誤算があった。

価値の貢献度合いは、大きくなれば大きくなるほど1人では回せないものになる。そして感謝される度合いが大きくなればなるほど、期待は大きくなっていく。1人で回せないなら、仲間と共に歩まないといけないし。大きくなった期待は次々にそれを越えないといけない。

僕の背中にいる、あの大きな正体は責任と期待だった。

僕は過去、お金には恵まれてこなかった。

20歳で大学を辞め、23歳まで続けたサッカー選手時代。
月に10万円稼げたら喜んでいたような人間で。それから1年。会社を起こし、世の中に映像制作というスキルで価値貢献をし続けた結果、当時の月収は1回のお仕事で裕に超えるような状態になった。僕はその環境が嬉しくて、ひたすらに価値貢献をし続けた。寝なくても良い。自分のスキルが世の中に求められていて、対価を想像していた何十倍ももらえるなんて。当時の僕では想像つかない世界だった。ひたすらに働いた。難しいことでも、周りに協力してもらって、とにかくこなした。やりたく無いことも求められているならやった。大きくなった。売り上げが上がった。幸せだった。人生は上手くいっていると確信した。

でも、たった1つ。
自分の求めている声を無視し続けていた。





最近、思う。


会社は大きくなったよ。
山口のみんなが聞いたらびっくりするくらいに

24歳で凄いね。
一昨年までサッカーしてたのに何があったの?ってね

でもさ、大切なのってお金だけじゃ無いと思うんだよね。
もちろん、大前提。選択肢もないほどお金がないのは、夢すら持てないから良くないなぁと思うんだけど、目的の無い、価値貢献は、より悪だなって思う。

その目的が何なのかというと

自分の人生の目的

一体、自分はどんな人生を歩んで
どんな生き様で、どうやって死ぬのか?
ゴールのないストーリーほど見てられないものはないし
ゴールのないストーリーはブレていてダサい

1年前にさ、自分で決めたんだよね

死ぬまでに達成したいことは
「世の中の「?」を全て無くして死にたい」って

この1年、ゴールとは真逆の方向に走ってた気がする
ひたすらPCに向き合い、価値貢献をして、自分の目標には目も触れていなかった

世の中の価値基準は誰がどう言おうと「稼いでいるか?」でしかなくて
それはもう覆らないし、誰がどう言おうと、そうでしかない。



でも自分の中の価値基準をもっと大切にしたい


2年前、サッカー選手をしていた時には、
「今持っているお金じゃなくて、経験や体験。感性や価値観を踏まえた資産にその人の魅力が詰まってる」って言ってたよね。

だから常識も無い、頭も悪い後輩を好きだったし、
お金を持って、キャリアのある先輩は大嫌いだった。

きっとあの時の自分は、自分の中の価値基準を徹底的に自尊して、徹底的に自分の声に従っていた。

いつからだろう、自分の声を閉じるようになったのは

もちろんね、今の君には世の中の声を聞く力が付いた。
求められているものに、適切に価値を提供する能力が付いた。
でもそれは決して自分に嘘をつくためのスキルではなくて
もっと自分の可能性を広げて、たくさんの声を発するためのスキルなんだよ。





でも、大丈夫。








想像以上に、成長して戸惑っただけ







もっと、自分の声を聞いて、
僕にしか持っていない価値基準を大切にしていこう。




Kazuki Tsurumaru






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