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ファッションと芸術と神話

ごあいさつ

こんばんは、邪念(36)です。
ファッションに思い悩むとき、なにがこんなにひっかかっているのかな〜? とふと考えると、服ではなくて自分の価値観のほうに根本原因があるな。ときづきました。

今回の参考文献

こちら、谷川渥氏著の、『鏡と皮膚』です。

私この本15年以上前から愛読しておりますけど、自分なりに曲解しながらめちゃくちゃ影響受けてるなと最近あらためて実感したところです。

ファッションという芸術

ファッションもまた、たしかに芸術。
コレクションは一つの世界。世界観を視覚に訴える立体芸術であり、同時に実用品でもある。デザイナーは神の手による奇跡の一作のように見える作品を、しかし緻密に計算と技術をもとにつくりつづける。すべての芸術家がそうであるように、一生満足しないし神に手が届くこともない。それでも命をけずり挑みつづけている。

自己開示性と抵抗

ファッションにメッセージをもたせるということは、いっぽう、リスキーではないかという考えが、私は強いです。相手に与える情報量は少ないほうが、有事のときに有利だからです。
ふだんは彩度低めのとりたてて特出するところのない服を着ており、調子がよくても悪くてもあまりわかりづらいかと思います。かばんと靴はおおまかに高明度•中明度•低明度でばらけさせていて、服の全体を見てこもので調整していくので、白っぽさや黒っぽさがだいたい日々極端にならないバランスです。
(今黒鞄ないので探したい所存)

逆に、多少無理を通したいときは少し派手な格好でしゃなりしゃなり出向いたりします。遠慮せず色々言ってきそうな雰囲気を出しておき、その雰囲気を超えない範囲で主張すればむこうも心の準備ができると思っているふしがあります。

皮膚、あるいは外層

私は服は自分の1番外側とは思わないのですが、内面は明らかにされないぶん、人に与える印象と影響がおおきいのも、また確かです。
一致させるかさせないかも、個々人の自由かなぁと思います。

ファッションもまた、比喩である

ファッションで、ある程度ライフスタイルや感性が想像がつくとして、そうなるとファッションは比喩であるといえるかもしれません。
赤いライダースを着た、嵐のような人。
白いワンピースを着た、風のような人。
その人が何に憧れて何を良しとしているか、美学があらわれていると判断されてもおかしくない。その服装の作用は意図したかたちで働いているのか?
…という。

私はここ一年近く、イメコン縛りの美人百花系統ですごしていましたが、なんか違うというのに気づくのにめっちゃ時間かかりました。パンツやジャケット中心の、よりシンプルな通勤ルックにシフトしてからここ2週間で、目が覚めたみたい。このほうが良い気がする。なぜなんの感情もわかない服を2022、こんなに買ったのか…とか我に帰ったり。

完全なものはない。…不完全こそ美しい?調和、不調和、終わらない前進と罪への矜持。

神の手によるものかと思われるほどの完璧な作品、技巧と精神の頂点のようなものはどの時代においてもたびたび生まれます。構成が美しく細部まで緻密に作業されたmasterpieceはすべての芸術家が目指すものでしょう。ですが私は両腕が欠けているミロのヴィーナスのはらむ、完全でないからこその普遍性と緊張感が好きなのですよね。

すべてが整って丁寧にスタイリングされた、その人とその場にふさわしい服装は素晴らしいと思います。それが1番むずかしく、多くの人にとって心がうごくものだとも思います。

ただ、われわれは人間で神ではなく、だれひとり完璧な存在ではありません。その不安定さと不調和にも、たしかな美しさがあるな…と思う次第です。

多くの人は自分のベストを尽くして努力しています。完璧ではないからこそ前進し続けています。その反面生まれてから一度も嘘をついた人も基本いませんし、いきものを殺していますし、罪のない人間はいません。

そのあたりの『罪深いなぁ』というお気持ちと、『生へのパッション』みたいなものへのリスペクトからか、私はいつも自分自身が矛盾していると感じます。『目標があり主題(主役)がはっきりしていて、意図が伝わるものこそスタイルでありファッション』というお気持ちもありますし、『みえすいたもの、底が知れたものはつまらない/咀嚼されすぎたコンテンツの無力さ』みたいな感覚もあります。結局、似合うを気にしないのであれば、私はほとんどの服に無関心になってしまう。アートとして美しいと思う服はあっても、自分が着るとなると、『そうか…』みたいなお気持ちに。

おそらく私の理想は、羊飼いのような『名無し』の服を着た、しかしいつか誰かを救う『選ばれた血を持つもの』なのかなー、と、思っていて、その気分に合う服ってじゃあ何?というのを、いま考えています。

いろんなところに散らばってそうなので、また考察を書きたいなとも思うのですが、素直な気持ちでたくさんの服を見て『好きかも』『これが着たいなぁ』という服に出会うのがいちばん早いかも。

春ですもんね🍀

ちょっとよくわからなかったな…という方が多いかもしれません。私も、書きながらよくわからなかったです笑
ではではまた!

(邪念 2119文字)

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