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【パクさんをおいかけたい】ファジアーノ岡山vs.徳島ヴォルティス:"湘北の不安要素"【リーグ106試合目】


GWの上位連戦は無得点複数失点の2連敗中と厳しい状況にある岡山。ホームにこれまた上位の徳島ヴォルティスを迎えての一戦。


◆メンバー




岡山は前節で光明のあった塚川君のボランチと石毛と大竹のシャドウを選択。豊川も負傷から復帰しました。パクさんはJリーグ106試合目になりました。やったね。

徳島ヴォルティスは3-5-2だったという話を聞いていたのですが、調べてみると4バックと3バックで半々くらいのようです。J2最強の香車と噂の馬渡の代わりには内田が入っているようですね。木村も全く出てなかったようだし普通に選手層厚いな…大﨑淳矢さんは元気なんですかね…この監督の下ならうまくなれそうなんだけど役割被ってそうな若い子がたくさん来てしまっているな…



◆試合内容について






・徳島ヴォルティスって強いなと今更驚いた話


開幕当初から非常に評判の良い徳島ヴォルティスですが、広島から旅立っている選手たちのケツを追っかけまわしていたので(もちろん比喩です)、きちんとどういう風なサッカーしてるのかを見たのは初めてでした。

最終ラインから繋いでシュートまでいくパターンが刷り込まれているうえにバリエーションもあり、その時の判断で切り替えられていてモダニズムの風を感じました…スペイン指揮官ってすごいんだな…。




おそらく選手はわりと固定されていて役割は同じだと思います。布陣のチョイスは、

①相手の前線の人数に被らないようにしてボールを持てる様にしよう

②岡山の不安要素はプレスを外された自陣の(特にパクさんの…)サイドでのボールウォッチャー現象なので、サイドに人を置きやすくしよう

ということで逆三角の4-3-3なのでしょうか。相手が442ないし4231なら3バックにしてそうな気がする。

また、

③岡山の3バックとボランチはそんなにボールの扱いがうまくないっぽいので寄せて取り切ってしまおう

ということも兼ねていそうでした。(ただその計算はルーキーの塚川君がなんとかしてくれていました)

前半の試合展開はその通りになっており、徳島のボランチのあたりで岩尾なのか、カルリーニョスなのか、はたまた前川がなんかちょっかいだしたりだとかと非常に判断が速いので前で取りきることが命運を分ける岡山にとっては苦しい時間が続いて行きます。

ただ、徳島も岡山と似た守備のムラがあって、一度取り切れないと受け止めきれる態勢でなくなることが多く、岡山のほうも石毛または豊川がサイドに開き、中のスペースをパクさんや塚川が使うことで盛り返し、そこからの反動プレスで形勢を変えつつありました。石毛と塚川の縦のラインが攻撃で岡山の軸となれていたのは朗報でしょう。




しかし、ワイドに開いた石毛のクロスが流れたところに加地、大竹、塚川、関戸と敵陣にいったもののバックパスに寄せきれずサイドチェンジを許してしまい、パクさんと喜山さんの間隙を突かれ島屋のクロスから前川が綺麗に合わせて先制を許してしまいました。



・3列目を封鎖した岡山の猛攻


先制し勢いに乗る徳島はさらに攻め立て、岡山は今季苦しんでいる前へ前への志向が先行されて乱れてしまう負のスパイラルへ陥りかけていました。パクさんのクロスの処理ミスが入ってたら試合終わってたと思います…いやほんとラッキーだった

岡山を持ち直したのは豊川の精力的なプレッシングとサイド裏へのチャレンジだったと思いますが、選手をほぼ総動員して岡山を困らせていた最終ラインからボランチへのラインを物量で寸断していきます。




徳島は梶川→ヴァシレビッチ→内田といういわゆる各停のショートパスが増え、岡山の右サイドの猛烈なプレッシャーにさらされることになります。かなりやられてしまった岩尾をがっつりマークする関戸さんの顔に似合わなさ、とても良かったです

これがヴァシレビッチのミスを誘いコーナーキックを得ると石毛のキックからパクさんがニアすらしを綺麗にキメて豊川が押し込み同点に成功。




ゴールに成功すると失点前にうまくいっていた石毛と豊川とパクさんに引き付けた逆に塚川や大竹という左サイドからの繋ぎも復活し、岡山が攻守の好循環に乗っていきます。

やはり守備は右サイドに誘導してたんじゃないかという連動をみせ、3列目の自由な動きを縦のコンパクトさで奪うと素早く内田とヴァシレビッチの間の大竹や関戸のクロスが豊川を捉え、流れても逆サイドにパクさんが待っているという奇襲が徳島を襲っていきます。同点からわずか4分でこのこぼれだまパクさんのボレーとミドルシュートの2つの決定機が生まれ、2つ目のチャンスが塚川君の初ゴールを生み出しました。まさかの前半2アシストにびっくりしすぎて林家パー子みたいな声になってしまいました。





この岡山の奇襲はさらなる3点目のチャンスをいくつも生み出しますが、徳島はGK梶川の攻守など必死の守備でしのぎ前半を終えます。決めたかったねーパクさんどんぴしゃの入れたし。




・さらなる徳島の反撃で勝負は仁義なき消耗戦へ


余談なんですがなんかこう、的確に岡山のやなことをしてくる感覚があったので、"岡山の不安要素その1"とかベンチでいってるんじゃないかという気がしてきて田岡ロドリゲス監督って勝手に脳内で呼んでたんですけど、もちろんやられっぱなしではありませんでした。

(「スラムダンク」通じるのかな。あれですよ、「あひるの空」とか「黒子のバスケ」とかに通じてくるなんかそういう友情努力勝利的なスポーツリアル路線の金字塔とかいうあれです。アニマックスとか見たりブックオフまとめ買いとかしましょう。)



さて、徳島は後半5分に小西に代えて山崎を投入し3-4-3として岡山の全員敵陣に行く勢いの守備にルールの改定を迫りました。

前川の役割は変わらず山崎が一番前で渡が衛星的にサイドに顔を出す形。右ウイングに島屋、左に杉本、岩尾の隣のカルリーニョスは最終ラインへ貰いに行きマンマークをずらす役(実は逆転されてからそんな感じになってた)、最終ラインは藤原と内田が両脇となり、プレスが来ない場合や前線に運べて岡山が自陣に下がった場合はSBとして加勢します。

徳島はカルリーニョスと岩尾を使ったショートパスと渡や山崎に飛ばすロングボールを使いわけ、岡山からコンパクトな守備隊形を奪っていきます。





そうこうするうちに自陣でフリーとなった内田のサイドチェンジをパクさんが目測を誤り島屋が独走、正確なクロスを渡が綺麗に合わせて同点に成功。パクさん・・・ももちろんだしパクさん置いてかれた際のDFのボールウォッチぶりもかなしい・・・不安要素炸裂や・・・

こうなると苦しい岡山、徳島は岡山を押し込みストッパーの藤原や内田も参加して攻め込みます。なんとか自陣PAで身体を張るか徳島のミスを待つしかなくなった岡山。

そこで早めの交代。大竹→藤本、加地→田中奏一で走って奪いに行き、シンプルに攻めるスタイルを押し出しに。前半から走りに走った豊川が足をつりスピードとドリブルの切れのある三村が入り、70分時点には3枚を使い果たした岡山は徳島の3-4-3にそのまま自身の布陣を被せる形で再び前線からのプレスが機能していきます。

徳島もだんだんと疲れが見え始め、簡単なロングボールが増え岡山陣でのプレスにもムラが出始めてきます。試合の終盤は消耗戦の様相を呈してきました。

徳島は杉本→木村でおそらく継続を狙ったと思わますが試合の趨勢はなかなか変わっていかず、この時間でもボールをつなぐクオリティの落ちなかった塚川―石毛のラインから石毛のまた抜きパスを捉えた藤本が豪快に叩きこみ勝ち越しに成功。






徳島は前川→アシチェリッチでパワープレーを狙いますが、電池切れか用意がなかったか単調な左サイドへの放り込みに終始し人海戦術で長いロスタイムをしのぎきった岡山が待望の勝ち点3を手にしました。




◆かんそう


・似通って生まれたシーソーゲーム

岡山、徳島共に敵陣に出来るだけ人数をかけたい、そうすれば敵陣で奪えてゴールを取りやすくなるから、ということに非常に重点を置いていた、というよりはそれ以外の選択肢を持ち合わせていなさそうなチームであった(戦略的・戦術的なおぜん立てや遂行精度の差こそあれ)ことで生まれた打ち合いの試合であったのかな、という印象でした。まあ、燃えたね。

試合の内容に関しては徳島が岡山の不安要素を的確に突いたといえるものだったと思います。推す分には非常にしんどかったですが、面白かった。

そこを"不安要素"とみられていたであろう初めてのスターティングとなった前線トリオの献身と崩しでの質の高さ、ルーキー塚川君と2年目YOSHIKIのフレッシュな躍動、そしてパクさんのスタア性が田岡ロドリゲス監督の計算を上回ったと言えるでしょうか。なぜパクさんがそこにいるんだぁ!?って思ってたですかね。

まあメガネ君みたいな陰で頑張ってきた年長者が試合を決めたわけではないですが、熱気でもぎ取った勝ち点であったように思いました。最終的には消耗戦となり、初夏の陽気、連戦最終戦、そしてGWのホームの盛り上がりが岡山に味方した劇的な勝利だったのかもしれません。たぶん、”俺らが勝たせた”と思っていいやつ。徳島はこれだけしっかりと根拠をもって勢いに乗れるサッカーができるなら安定して勝ち点を詰めていくのでしょうね。夏場どうするのか興味があります。



・本日のパクさん:新しい仕事が実ったことは良かったけど…

確実に”不安要素”に数えられていたであろうパクさんでしたが、岡山で求められた彼の新境地が2つのゴールと勝ち点3に結びついたことは個人的には特筆したい記念すべきことです。良かった…

セットプレーでのニアでのフリックはほぼ毎試合決めてる伝家の宝刀となっていますし、右からのクロスやショートパスの交換から中央に入り込んでのシュートやアシストのチャンスの獲得…ことごとく枠にはいきませんがw今回は貴重な逆転弾になりました。

ボレー決めてりゃもっと良かったし前半のうちに3点目がとれそうな豊川へのアシストも2つはあったのでまだまだですがね。

前から行く守備の成功率も上がりつつあり、今節もいくつかのチャンスを生み出しました。ただ、やはり前から行くときはまだ後ろの迷惑が見えてないことが散見されますし、引いた時の寄せは遅いですし、下がりながらの局面での喜山さんとの連絡がなかなか改善しません。

1失点目はカウンターのサイドチェンジをくらってしまったこと自体がチームとしては良くないですし戻りながらの守備で難易度が高くなってしまったのですが、やはり最終ラインの一員としては追い付いていたので止めてほしかった。2点目は言わずもがな…ルーキー時代に見た失点…勝ちながら反省出来てほんとうに助かりました…

106試合目となり良くも悪くも岡山でのキャラクターを確立しているパクさんであったので次節良いところを残しつつまた圧倒的に成長したパクさんであれば…この勝利は大きすぎるので連勝させてほしい…


では。