【久しぶりのパクさんをおいかけたい】vs.カマタマーレ讃岐:"半年会わざれば刮目して見よ"【122試合目】

8月11日のFC岐阜戦から謎の負傷により1か月以上ベンチを外れてしまっていたパクさん。負傷に関する情報が全くないので、すわ契約上のなんかで干されたのかと心配しましたが、無事今節復帰を果たしました。

パクさんが憩っている間にJ2リーグはすでに終盤戦にさしかかっており、岡山はPO圏進出に向けて難しい立ち位置に来ています。パクさんの復帰が追い風になってほしいところ。

◆メンバー

◆試合について

・実を結ぶ讃岐の継続

前半は岡山が讃岐に「ハメられて」しまったといえるものであったと思いますが、讃岐としては半年近く前の前回対戦と同じ志向であったと思われ、確かな継続性を感じさせました。こういうところで変貌を実感できるのが継続視聴のよいところですね。非常に刺激され、気持ちが良かったです。



讃岐は岡山の生命線である「赤嶺へのロングボール」、「ボランチの飛び出しをきっかけとする遅攻」、「最後尾までおいかけるプレス」を寸断するための準備を見せていきます。岡山を「前にいかせない」ための対策を入念にやっていたように見えました。

まずは岡山の守備をずらす方法としては高木和をボランチとしてSBの位置に落とす形でシャドウを牽制しました。構わず前に来るなら岡山のボランチの横から仲間がドリブル突破、こなければアレックスとのコンビで同サイドで様子見しつつ同サイドの突破か逆サイドでフリーとなりやすいウイング前のエリアへのサイドチェンジを。

前半の岡山は讃岐のボールの前進に対してかなり迷わされたような形でした。

岡山を5バックの形に押し込むとボールを奪われた際のプレスも徹底でき、岡山としては前に良い形で出せず苦しい状態に。セカンドボールを讃岐のボランチの両脇に出す、という岡山の狙いは讃岐の知るところであり、真っ先にその方向に身体を寄せていたので、岡山の選手のセカンドボールをつなげる判断に迷いが生じ、それが岡山のリズムを奪っていきました。

その岡山の「初動」を封じた後も、つなぐ際の岡山の攻撃のきっかけとなるボランチが前を向くためのパスコースを塞ぐ動きが徹底されており、塞がれている場合はウイングに当てて、もどして、逆サイドもしくは赤嶺への蹴りだし、という岡山のボール保持のリズムに合わせた讃岐の守備が展開されていきます。赤嶺へのケアは岡村とアランのツーマンセルで万全でした。強いね。

岡山に「ミスが多かった」のは気持ちの問題というよりは、讃岐の対策が奏功したということになるでしょう。

ちなみに前回対戦においても高木が左サイドの底を起点とする形は見られていましたが、完成度が低く逆に岡山のカウンターのきっかけにされていました。 

今回その精度が上がったのは、ひとつはアレックスを補強したことによるSBのプレー精度向上があったことでしょう。ボールを止めてプレスをはがす、仲間や高木と協調して岡山のプレス網の隙間に入り込む、セカンドボールに突っ込んでパスの判断を狂わせる、その判断の正確さにはしびれるものがありました。かつて徳島がJ1に上がった時に彼と大﨑淳矢の左サイドのコンビがストロングであったのですが、それも伊達ではないなと。

・伊藤大介さんの当意即妙と赤嶺の争点修正でオープンな打ち合いに

その中でどうするか、というところで力が試されていた岡山。伊藤大介さんがいつもとは違う場所でボールを受け、それに豊川、赤嶺とボランチ両名が呼応することで讃岐の守備プロトコルにエラーを起こすことに成功していました。

ひとつ想定外の動きがあると簡単にシュートまでもっていかれるあたりに讃岐の未熟さがあったのですが、岡山の方もチーム全体の同意=戦術的な修正ではなさそうで、散発的になりました。そこは少しもったいなかった。

とはいえ、その修正もハーフタイムを挟むと「戦術的」なものになりました。

赤嶺に蹴りだすタイミングを早めるとともに、競り合いの相手をCBから中盤へ落としていきます。タイミングと場所がずれて守備が追い付かない讃岐に対して岡山は両ボランチと両シャドウが囲んで中央で保持してからの準速攻でチャンスを生み出していきます。

その勢いのままに讃岐の攻撃に対してはリスクを冒して讃岐のSB-岡山のシャドウまたはウイングという守備に統一。讃岐のサイドのコンビネーションのタイミングに適応したプレスを見せていきます。

この後半立ち上がりの5分間が岡山にとってはもっとも勝ちに近い時間帯でしたが残念ながらゴールとはならず。逆に讃岐も岡山がリスク冒したことでスペースが生まれ、後半立ち上がりにしてオープンな打ち合いに発展します。

・パクさん復帰祭....ならず。

そういうわけで五分五分の展開にもつれた試合は交代カード勝負に。岡山はよりドリブルやパスで速い攻撃を完結できる大竹と満を持してのパクさん。

大竹はカウンター要員かなと思っていたのですが、伊藤大介さんが下がってきたり赤嶺がサイドに流れるところをサポートして讃岐ブロックを突破する役目の方が強く出ていました。

パクさんは讃岐の厄介なSB西の飛び出しを支配力UPで押し返す役…だと思われましたがやはり西の飛び出しに対してお留守になってしまうことしばしばでかなり怖かった…w それでも果敢なインターセプトや生命線だったシャドウやボランチへの横パスの復活と岡山の攻撃をある程度活性化させることは出来ました。なお、流れの中では良いクロスは打てず、セットプレーでのチャンス演出にとどまったところは不満。

残念ながら交代カードがより功を奏したのは讃岐。原一樹の投入により前線の危機感が高まると、何の変哲もない場面で岡山のビルドアップにミスが生じ、よりによっての原一樹の前にこぼしてしまいループシュートで先行を許してしまいました。

一度左サイドで追い込まれてからのバックパスで仕切り直し、という場面でしたので、残念なエラーでした。ただ、ここは岡山の仕切り直しのバックパスを徹底して追いかけるという「嫌なプレー」を徹底した讃岐の継続の勝利といった方がいいかもしれません。

讃岐の先行により岡山はオルシーニを投入してパワープレイ、讃岐は守備固めとなり、オルシーニはゴリゴリとした突破で見せ場をつくりセットプレーから岡山の決定機に繋がりますが、讃岐が魂の守備で持ちこたえタイムアップ。CB岡村の奮闘は敵ながら胸を突くものがありました。いい守備者でした…

◆未来へ

岡山としては完全に「岡山の規律」を捉えられてしまったことによる敗戦。そこからどうするか、という+αが課題として提示されることになりました。

伊藤大介さんや大竹に代表されるように個のアイデアレベルでは見ることが出来ましたが、継続して迫れないと結果に結びつくかは少し分の悪いギャンブルとなってしまいそうです。セットプレーでの可能性はありそうでしたが、セットプレーを増やすにも敵陣深くまで攻めないといけませんからね。

そういう意味では後半はうまくやれていたと思いますが、やはりフィニッシュが、という問題がたちはだかっています。

かたやませんしゅが帰ってくれば解決、かもしれませんが、対戦相手の順位が近かったり上である相手が続くことですしこれから先もこのような厳しい状況が続くことにはなるでしょう。その時に少しでも上回る時間をつくり、そこでゴールを決め切ること、不利な時でも最後はやらせないこと、勝ち点を左右するところで何ができるかというところが見れる終盤戦になればよいですね。

パクさんもそういうところで活躍が見られれば。次の大分戦は楽しみにしています。

では。