おおぶねメンバーズカンファレンスに現地参加した

おおぶねメンバーズカンファレンスの現地参加に応募したら、見事抽選に当たり2022年10月22日現地参加となりました。実は今回で2回目です。レポートが1ヶ月遅れとか遅すぎてすみません。

おおぶねメンバーズカンファレンスって何

この「おおぶね」とは農林中金バリューインベストメンツ(略してNVIC)が提供する個人向け投資信託のシリーズ名で、メンバーズカンファレンスとは毎月一度開催されている個人保有者向けの運用報告会です。公式noteによれば、2020年4月から実施されているとのこと。
運用報告会といっても、今月はいくら上下しましたのような話は冒頭の少しだけで、ほとんどが企業分析の内容や手法に関する説明です。もともとおおぶねシリーズの月次レポートはかなり独特で、毎月一つのテーマ(特定の投資先企業であったり業界の分析であったり)について深掘りした内容を提供していました。たとえば2021年11月のおおぶねグローバル月次レポートはスイスにあるVATというメーカーの分析レポートで、下記スクリーンショットにあるとおり7ページ(8ページ目はお知らせなので除外)分も分析記事を掲載しています。

出典:NVICおおぶねグローバル2021年11月月次レポート

過去形なのは、2022年11月現在、新規に公開される月次報告は分析レポート部分が保有者限定ページのみで公開されているためです。

ところで、保有者限定ページやメンバーズカンファレンスへのアクセス方法は、販売会社に問い合わせるようにとしか書かれていません。具体的には保有している証券会社で投資信託メルマガを有効にします。メルマガを受信していると月一度告知メールが来ます。以前公式noteで告知されたことがありますが、一度だけなので気づいてない方も多いかもしれません。公式サイトにも一般公開月次レポートにも記載がない(と思う)のはなんとかしてほしいところですね。
2022年12月6日追記
最近になって、メールで保有証拠の画像を送れば参加方法を教えていただけるようになっていました。


・SBI証券の場合:口座管理⇒お客様情報 設定・変更⇒Eメール通知サービス⇒SBI証券からのご案内メール状況「SBI 投資信託 news」
・楽天証券の場合:お客様情報の設定・変更(画面右上の人型マーク)⇒メールサービス⇒メールマガジン 登録・設定する⇒「投資信託」にチェック

https://note.com/nvic/n/n0bc6c7605352

カンファレンスは通例毎月最終週の平日夜に開催されていますが、今回は土曜日の昼間実施という初の試みでした。

参加されたことがないとイメージしづらいですが、会場(NVICオフィス *1)のひな壇風の場所(コロッセオと呼ぶそうです)からZoomで配信されています。質問や感想などはZoomのコメントで送れます。
NVIC側参加者は通常4名で、長原さん(司会、普段ブランディングをされているとのこと)、奥野さん(ファンドマネージャー)の2名がレギュラー、企業分析チームからアナリストが2名参加されます。アナリストはシニアアナリスト1名と、(ジュニア)アナリストが1名という構成です。

カンファレンスの流れは、先月のパフォーマンス報告(何パーセント上がった下がったというやつ)、その次に企業分析レポートの紹介、その後にNVICからのお知らせ(次回予告や奥野さん新刊など)やおすすめ書籍の紹介があるのですが、おすすめ書籍の紹介はたいてい時間切れになります。

パフォーマンス報告はファンド全体としてどれくらい上下したのか、という説明はありますが、先述の通りX社が2%上がって、Y社が1%下がりました、のような細かい説明はありません。聞けば教えてくれるので別に隠しているわけではありません。1ヶ月単位の変動は気にしないことを推奨しているためです。以前「ここ数ヶ月指数比で調子いいですが、どの銘柄がプラスに影響しているのか」という質問が出たことがありますが、驚いたことに奥野さん自身がプラスに影響した銘柄を把握していませんでした。そしてアナリストにその場で「ちょっとすぐ出せるなら教えて」と普通に指示していました。どの銘柄のおかげで成績よかったかなんてファンドマネージャーなら当然抑えているものだと思ってたので、個人的には衝撃でした。我々も気にししていないし、皆さんも気にしないでくださいね、というメッセージと受け取ってます。(もしかしたら裏では毎日変動に精神をすり減らしてるのかもしれませんが・・・)
パフォーマンス報告に付随して、最近騒がしい相場の見立てを質問される方も多く、いつも奥野さんが回答されています。ですがよく聞いていると、表現は多少変わるものの実は毎回同じことしか言ってません。話している内容を自分なりに解釈すると、投資している「強い企業」も短期的にはインフレ、為替などの影響は受けるものの、長期的には跳ね返して利益を上げ続けるという趣旨です。これは投資ポリシーが変わらないということでもあり、同じことを何度でも発信することで、相場が病めるときも健やかなるときも変わらず積み立て投資をしていきましょうという強いメッセージといえます。

企業分析レポート

企業分析コーナーのテーマは基本的に当月のレポートで紹介された企業などになります。今回は「研究開発について」と「成長について」でした。

細かい内容は省略します(ちゃんと紹介できる自信がない)が、なぜこの会社に投資したのか、その会社が利益を出し続けられるのはなぜか?を質疑を交えながら丁寧に説明していただけます。今回は特定の企業に着目するのではなくて、優れた研究開発とはどんなものかというテーマと、高すぎる成長期待によって参入障壁が崩れてしまった例の説明でした。

カンファレンスの後の懇親会

終わった後懇親会的なものと、刀(NVICが契約しているマーケティング会社)の方から10分程度のヒアリングが行われました。ヒアリングの内容は投資歴とか、ファンドを知ったきっかけ、投資した理由などです。回答するとそれに対する深掘りもあったので、まるで採用面接を受けている気分になります。

懇親会はNVIC、刀の方と現地参加者で行われました。懇親会はいろいろな話(奥野さんのZoomアイコンはどうして猫なんですか?とか *1)が出てきたのですが、中でも特に話題になったのが、「どうしたら日本に正しい投資が広がるのか」です。銀行が勧めてくるような、手数料が高すぎて買うだけで損失が出てしまうような投機商品(というか資本の投棄商品)ではなく、まとも(リスクとリターンが釣り合っていてコストも適正)な投資を伝えるにはどうしたらいいのか、を皆様日々考えているとのこと。自分の親もひどい投資信託を持ってたりするので、とても人ごとではない問題です。(*3)
マーケティング会社と手を組んで投資信託のブランディングというチャレンジをしているのも、おそらく間違った投資から合理的な投資を日本に広げていきたいからなのでしょう。

他に「円安が進む中、どのように外貨を得るべきか」という話題も出てきました。最近のITエンジニア界では日本にいながら海外の会社で開発するリモート出稼ぎとか出始めてますね、という話をしたら、奥野さんは「俺の言った通りや!これからは奈良の山奥に引きこもって外国人相手にプログラムを書くのが儲かるっていつも言ってるだろ!」とのこと。なぜ奈良の山奥なのかは謎ですが、さすがの慧眼です。私の聞いた例だと奈良の山奥ではなく、海辺でサーフィンしながらでしたが。

それにしてもNVICは石を投げれば海外留学経験者に当たるようなエリート集団(そもそも農林中金の投資運用部隊なんだから当たり前)だけあり、頭の回転も高速なので、下手なことを言って自分の底の浅さが露呈しないかハラハラしました。
投資とは無関係ですが、アナリストの吉村さんは全く時差ボケにならないそうです。飛行機内ではちゃんと時間を考えて寝るなどコツがあるそうなので、それは是非NVICのnoteなどでノウハウを公開してほしいですね。

そのような話をしていたらあっという間にお開きとなりました。カンファレンスや本の感想を直接伝えられる機会もそうそうないので、こうしたイベントは貴重です。またこのような機会があれば参加させていただきたいと思います。NVICのみなさんありがとうございました。

*1: オフィスの内観はオカムラの施工例ページに掲載されています https://www.okamura.co.jp/office/works/case/200301/
*2: ちなみに答えは「猫が大好きだから」
*3: という話をしたら、長原さんは「ご両親に運用のアドバイスをしてあげたらいいんじゃないですか?」とおっしゃってました。しかし銀行員より子供を信用してもらえるのかな・・・

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