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【司法試験】書くべき問題、読むべき問題について

 今日は私が指導の際に話す過去問に関してまとめました。特に、どの問題をどの順番で書くべきか?ということです。
 なお、選択科目は科目によると思いますのでここでは基本7法の話としています。

1 過去問の答案作成は大事 

 最近、書かない人も増えているように感じますが、自分が受験のころから、それ以前から、そして今も、司法試験(予備試験、法科大学院入試も含む)において、過去問の分析は重要です。そのためには、一度書いてみることが一番です。
 実際に時間を計って書いてみて、どの程度書けるか?その結果できた答案が合格答案までどの程度距離があるか?を分析することが、近道です。大学受験であれ、なんであれ多くの「受験」において過去問が重要なことは当然です。
 そして、論文式では結局書いてみて採点官に通じるか?を確認する必要があります。
 この辺りは、どの過去問をどう書くべきか?の前提ですので、このあたりにしておきます。

2 どの過去問を書くべきか?~司法試験の問題

 大きく3つのフェーズに分けています。ここでは年度ごと指定しています。科目と年度でランク付けるような方法もありますが、ネタバレを最小限にしたい点と、できれば一気に年度単位で解いた方がよいと思っているため、年度で指定しています。

⑴ 書いた方がよい年度(直近~平成28年まで)

 直近の問題(現時点なら令和5年)~平成28年ころまで
 現時点では、8年分になります。直近の問題は、直近の試験の傾向を知るうえで実際に書いてみる必要が高い科目です。
 論点的には連続で出題されることは少ないかもしれません。しかし、それでも設問形式や誘導の雰囲気等を理解するには直近の問題は書いた方がいいでしょう。特に民法等の改正の影響もあり、このころの問題が改正を意識しているといえる点もやるべきといえます。さらに、憲法、刑法の出題形式の変更も平成30年~なのでこのあたりが一つ基準になると思います。
 また、解説や再現答案等がネット上でも豊富に見れるため、合格水準を知りやすいということもあります。
 もう一つあるとすれば、平成27年からという説明もします。これは平成27年以降短答式が3科目になり、その影響が下四法に出始めているといえるからです(この辺りは平成27年以降の下四法の採点実感等に短答がなくなった点についての言及があり、試験委員も意識しているといえます)。実際には平成29年ごろから、従前、択一で問われていたような知識が論文で出題されるようになっていると感じています。

⑵ 書いた方がよいが、時間がないなら読むだけでOK(平成27年~平成23年まで)

 このあたりの期間は自分がまさに受験していた時期です。予備試験が始まりそれと並行してきた時期で司法試験も法科大学院制度を経てある程度成熟してきた時期の問題と思っています。
 この時期までくるとちょっと近時の傾向と違う設問だったりするものも多くなってくるので、無理ならフルで書かなくてもいいよ、ということがあります。
 ですが、時間的に余裕があればこの時期の問題もフル起案した方がよいです。この時期は論点を理解するために解くとよい問題が多いです。
 例えば、行政法なら平成24年、平成25年で処分性、平成26年、平成27年で処分基準といった感じで結構理解が進むと思います。また、現時点ではこのくらいの時期が大体10年前となり、再出題しやすい論点もあるのではないか?とも思います。

⑶ 余裕があれば書いた方がいい程度(平成22年~平成18年、サンプル、プレ)

 平成22年以前については、民事系の大大問(商法民法をまとめて4時間の問題としているような問題)等があり、解きにくいです。また、新司法試験になったばかりで試行錯誤している感じが非常に出ています。そのため、解きにくいです。また、解いても資料などが少なく復習しにくい問題です。
 とはいえ司法試験であることに変わりなく、類似の論点の出題や変わっていない論点の答案作成の方法等で参考になるものも多いです。
 例えば、平成21年の憲法の問題意識は令和4年に近似します。また平成22年刑事訴訟法の領置の話は令和5年でも出題があり、出題趣旨等の記載が参考になります。
 ですので、どんな問題で何が出題されていたか?くらいは把握した方がよいといえます。ま
 また、可能であればヒアリングも読むと、司法試験の答案の検討過程の議論が見えて思い白いです。
 ちなみに、自分が現役のころ書いていて一番難しいと思った年度は平成21年です。全体的に論点としても難易度高い上に、量も多くて結構しんどい科目が多かった…特に刑事系は鬼難しいと思っています。

3 どの過去問を解くべきか?~予備試験

 司法試験受験生も可能ならば予備試験の問題を書いた方がよいです。詳細は今回の趣旨とはずれるので、ざっくり説明すると。
 予備試験合格者が司法試験合格率が高い⇒予備試験合格者が予備試験の過去問をしている可能性が高い、という理由です。
 また、予備試験で出題された問題が司法試験で出題されることが結構あることも事実です。(令和5年司法試験行政法の準名宛人の原告適格について令和4年予備試験で出題がある等)
 とはいえ、すべてを書く時間的な余裕があれば…という感じですので優先するべきは司法試験でしょう。

4 どの問題を解くべきか?~旧司法試験

 旧司法試験は本当に余裕があれば見ればいいかな?くらいです。基本問題集(重要問題習得講座や問題研究など)で見たことある問題も多いと思いますが、その復習をしていればOKでしょう。
 旧司法試験の問題を使うまでやりこむ人は、2024年時点では少ないと思います。

5 司法試験の解説おススメ書籍

 以下では司法試験の解説のおススメ書籍を科目別にまとめておきます。お決まりの者ばかりですが一応

⑴ 憲法

 憲法ガールです。これで平成18年~平成30年はカバーできます。

⑵ 行政法

 行政法ガールです。これで令和2年までカバーできます。
 なお、令和4年、令和5年については大島先生の解説が日本評論社の司法試験過去問解説で読めます。

⑶ 民法

 サンプル・プレから平成30年まで書籍でカバーできます。それ以降は以下の講義で追いつけます。

⑷ 商法

 サンプル・プレから平成30年まで書籍でカバーできます。それ以降は以下の講義で追いつけます。

⑸ 民事訴訟法

 サンプル・プレから平成30年まで書籍でカバーできます。それ以降は以下の講義で追いつけます。

⑹ 刑法

 平成18年~令和5年までの問題が体系的に設問を分けて並んでいます。おススメです。2024年に改訂されて内容が大幅拡充されており非常に良いです。

⑺ 刑事訴訟法

 平成18年~令和2年まで問題が体系的に設問を分けて並んでいます。証拠構造等の図解がすごいわかりやすいです。

6 最後に

 以上です。司法試験までの期間や状況によって、どの問題からどう書くかは個別的な話になります。ですので今回の記事の内容はあくまで参考程度にしてしっかり書いて復習していくことが試験の合格に直結すると思います。
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