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NIKKE研究総論(2) ニケとNIMPH

女性の脳を使い製造されるサイボーグ・ニケは、ラプチャーに対して大きな成果をあげてきたが、ラプチャーも対抗策として侵食を使い始める。ここでは侵食と、それが作用するニケの重要な構成要素であるナノマシン・NIMPHについて解説する。

 ニケはただ、人間の脳を摘出して別の身体に入れれば完成するという訳ではない。大前提として、ニケの脳にはNIMPH(Neuro-Implanted Machine for Protecting Human)と呼ばれるナノマシンが埋め込まれる。これはまだ「人間」である時に注入され、脳の情報をコピーする。そしてニケを作る際、この時コピーされた情報を処理して作成するのである。
 ただし、実は人類はこのNIMPHの事を、便利な道具程度にしか理解しておらず、完全に意味がわかった上で利用している訳ではないのである。信じがたい事に、作中でもニケに関して天才科学者であるとされるシュエンも、楽園でのメカニックに精通しているセシルも、同様の発言をしているのだ。

えてして人類はこういうことをしがちであるが、気づいたら取り返しがつかないことばかりである。アスベスト、鉛、原子力etc

 このNIMPHを介して記憶・刷り込みや記憶データのオートセーブ・バックアップ、果ては脳細胞の維持管理(註 脳は人間のままなので確実に老化するし脳細胞も絶対に再生しないが、数十年近くの年月が経っても活動しているニケが存在していること、脳を物理的に極短時間焼却した事で脳の一部が損傷した者がその後バックアップデータをロードして復帰していることから、失われた脳細胞を置換してでも維持させていると考えられる)まで行う。
 NIMPHがある限りボディのメンテナンスが十全ならば不滅の存在なのである。

射殺された後、ボディを再構成してもらい復活したエクシア。脳の記憶をNIMPHで補完しているので復活出来た。


 しかし、ラプチャーはニケ対策としてNIMPHに対するコンピューターウイルスめいたものを生み出した。これが侵食(反応)である。ちなみにこれは生身の脳に直接作用させる事も出来るが、操縦する事は出来ず専ら脳そのものの破壊に繋がる。

 ニケは侵食を受けるとNIMPH内に存在する定義をラプチャーの都合のいい状態に書き換えられてしまう。侵食反応が出ているニケには目が赤くなる、呂律が回らなくなる、同じ言葉を繰り返すなどの兆候が現れる。

こうなると、専門の治療(記憶消去)を受けないと人間や仲間のニケを襲う様になる。当てがあるならゴム弾で、最早無理なら実弾をヘッドショットして黙らせよう。

 なお自害するといった行動も自発的に行えなくなるようだが、根性で自我を取り戻すと可能だ。なお、侵食のメカニズムを人類が扱う事は、データを持っているモノ以外には出来ないが、制御系のデータを改竄するなどで似たような事態にはできる。

エリシオンのニケに暴走コードを送信して暴れさせる陰謀が実行された!が、この後某所で阿鼻叫喚の地獄絵図が!?

 侵食を受けても3時間程度の短時間ならば簡単な記憶消去処置で元通りに治せるものの、異常行動を始めた状態ではほぼ手遅れであり完全に記憶抹消処置をしなければ復活出来ないがこれをすると蓄積された戦闘データ等も失われてしまう。戦場では専ら指揮官が(ニケは基本的に仲間に対して攻撃は出来ない為)当該ニケの脳を銃で破壊し介錯する事になる。

みんなのトラウマ

 侵食が末期まで進行しなんらかの条件を満たすと、ヘレティックと呼ばれる存在になる。


有史上最初のヘレティックと思われるシンデレラ。
後にアナキオールとコードネームを人類側によって変えられている。
ゴッデス部隊に倒された後捕縛され、アンチェインドの実験に使用された所までは記録に残っている。


 基本的にヘレティックはラプチャークイーン直属となり、装備もラプチャーを身に纏うようになる。ニケだった頃より性能が上がるのに加え自己修復能力も高く、その脅威度はタイラント級ラプチャー以上でありかなりの難敵だ。しかしアンチェインドと呼ばれる特殊な弾丸を打ち込むことで弱体化(ナノマシンによる自己修復機能不全)出来る。

戦闘狂のヘレティック・ニヒリスター。ラプチャー時はまさに火龍と呼ぶに相応しい。

 アンチェインドにはもう一つ、NIMPHの破壊という機能が存在する。アンチェインドに曝露したニケは脳内からNIMPHが消滅する。NIMPHによって記憶のバックアップや管理統制されたものが同時に無くなる(人間への攻撃が可能になったりする)ので一見するとデメリットだが、侵食されたニケには特効薬としての作用がある。

 ここまでで、NIMPHと侵食を説明したが如何だっただろうか?

 史実では、ゴッデス部隊も侵食の餌食となって、レッドフードをリタイヤさせられた。

侵食感染当時は遅効性だったのと本人の抵抗力の高さにより、なんと足かけ30年以上も侵食による死を跳ね除け続けたレッドフード。
ロングタームサバイバーとはまさにこの事。

 またヘレティックも誕生したり、またリリス(リリーバイス)を失うなど苦戦を強いられた。
 第一次侵攻から4年後の軌道エレベーターからの突入作戦に失敗したため、人類はついにおよそ10年(註 この時点では4年と書くべきだがアーク建設の期間を含めている)に及ぶ地上での継戦を諦め、地下に巨大都市を建設して避難し捲土重来を図る事になった。
 その際、ゴッデス部隊の指揮官も召還されたのか、最終防衛戦たるアークガーディアン作戦には、生き残って指揮権を代行するドロシー、スノーホワイト・紅蓮・ラプンツェルと数十名の量産型ニケのみが地上の拠点に立て籠もりアークの完全封鎖までの2ヶ月間程度をほぼ無補給(一度物資補給を受けた程度)でやり通した。
 第一次世界大戦のアメリカの「失われた大隊」並、いやそれ以上の悪戦苦闘の結果、生存者はドロシー・スノーホワイト・紅蓮・ラプンツェルのみであった……しかし人類はアークへのルート封鎖完了後、彼女らを締め出してしまう。
 精神を病み、斯様な仕打ちにも関わらず、スノーホワイトや紅蓮・ラプンツェルは各々やるべき事を見つけていたため何とか耐え切って、以降地上を彷徨する事にした。
 ただ、数多の仲間の死を背負い、英雄としての凱旋すら果たせなかったドロシーはこの様な恩知らずな行為を許せるはずもなく……

憎悪に囚われたドロシーに賛同する旧メンバーはおらず、暫くは敗残ニケやアークに居られず地上に逃げた人間等を取り込むことで独自勢力「楽園」の作成に勤しむ事になる。

 一方、当座の安全を確保した人類側は、ニケのボディも第3世代型に更新目前で、ゴッデス部隊を「勝利の女神」として祭り上げ、世の女の子達をニケに志願させる事にも成功し、混乱しつつも順風満帆に見えたのだが……

今回はここまで。


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