見出し画像

NIKKE研究総論(4) ニケは戦場へ行った

「ニケはヒトに非ず」皆多かれ少なかれこの事実に気づき始めた。そんな中、空前の大戦闘が始まる……
 ここでは、戦闘に必要なニケへの指揮統制等について論じる

 ミルグラムの服従実験という有名なものがある。内容は、教師役となった参加者が生徒役の実験参加者(実はサクラ)が誤答する毎に電気ショックを与えていき、生徒役がもがき苦しみ倒れて反応しなくなっても電気ショックのレベルを上げ続ける指示が飛ぶ実験である。途中で良心の呵責とかで辞める奴が多いと思われたが、意外にも最後までやり通す者の方が多かった。これは人が「権威への服従」をしたと考えられる。
 ニケにとって権威者とは誰か?家族?恋人?知人?指揮官?いやいや人間そのものだ。指揮官の命令は聞かないといけないし、人間を攻撃するのもダメ。そうNIMPHが統制している……はずなのだが実際はどうだろうか?


 ニケは基本的に人間を攻撃する事が出来ない。勿論、侵食状態にあるものは除くのだが、例外的にリミッターを外されているニケも一部いる。これらのニケは有事の際にのみ使用され、これを知る者は殆どいない。

シージペリラスはニケや人間を攻撃できるよう予めリミッターを外されている特殊部隊である。平時は政府機関ジャッジスの命により対象者の調査及び処刑を行うが、CEOからの拷問や暗殺依頼等も請け負う。

 人間への攻撃禁止に関して厳密に言うと、ニケによっては指一本触れられなかったりゴム弾まで撃てたりするなど実はまちまちである。また、指揮官の命令がある状態では一般人相手に素手で制圧・無力化する事は可能だ。
 あと、跳弾や流れ弾による人間への攻撃や死には問題は発生しない。しかしながら、ニケが苦悩するという事は個別に発生し得る。なので未必の故意による殺害もおそらくは可能だろう。下記のウンファの件も広義ではそうなる。

ヤクザが言うと説得力があるというもの。

 ニケは指揮官の命令には絶対服従である。しかしながら、我の強い個体はいう事を聞かないケースがままある。

ニケも自我があり、NIMPHの効能にもムラがあるので、運が悪いとこうなる。ウンファは珍しい女性指揮官出身のニケで、性格はキツイがリーダーシップの高さでアブソルート部隊を最強ならしめている。

 指揮官が不在になった場合は、指揮権を引き継ぎ代行するケースが黎明期に見られた。現在は不明だが直近では指揮官が死亡したラピとアニスは何も出来なくなったので、無くなった可能性が高い。こうなると取り残されたピクミンみたいなものである。こういうニケが戦場にいたら早めに合流させるのがベターである。(但し、こうした生き残りを健常な部隊に再加入させても役に立たない場合がほとんどである。)勿論、お目目が真っ赤っかなら介錯しておくべきだ。

 もし戦闘時に指揮官が負傷した場合にはペナルティが発生する。これを指揮官絶対保護の法則と言い、絶対的遵守事項である。他の罪との累犯により記憶消去が適用された例がある。なお指揮官本人が自決したかそう見做される場合は除く。これも指揮官の権威付けに一役買っていそうである。
 また、通常指揮官が前作戦で使用したニケを、連続して作戦に割り当てられる事はない。大抵、作戦過程でトラブルが発生するからだ。

資源回収を目的とした通称洞窟部隊のニケ達の一部が残した記録データ。
適切なクールダウンがとられていたかは不明だが、
だいぶ親密な状態が見て取れる。

 上記を踏まえた上で、ニケの部隊を実際に率いた指揮官の記録を見てみよう。ジョナサン・クロス28歳は、研究所の調査任務で量産型5機を含む9機を指揮していたが、ロード級ラプチャーに遭遇してしまう。
 生存を優先するため量産型5機に囮になるよう命じて逃げおおせたのはいいが、仲間の犠牲に耐えられなかった2機が思考転換を起こしてしまう。やむなく射殺したが残る2機まで精神的に不安定になってしまう。ジョナサンも判断ミスをしたと後悔しているが、これはどう見るべきだろうか?
 戦闘で友や上官を失ったばかりの時は、心理的に挫折することもあるが、大体は怒りで攻撃性を発揮しやすくなる。捨て駒にしたことにブチ切れても指揮官には手出しできない。だが、それならブッ殺せるように人格を変えるしかなかったのであろう。

 さて、今回は最後に第二次地上奪還戦を紐解いてみよう。この戦いは、これまでと違いはっきりとした年代が明言されているのでありがたい。ラピによると、今(ゲーム開始時点)から60年ほど前の戦いである。
 とある年の前年に、当時のマイルズ副司令官が大々的なニケの増産予定を明らかにした。数にして、第一次奪還戦の100倍以上である。これに世論も大いに期待した。
 しかし、翌年7月頃に開始された第二次奪還戦は1月経たずに兵力の80%以上を失うのであった。信じられない無能ぶりである。気になるのは記事のコメントのこの部分である。

ニケを100倍生産したって言ってたのに…やっぱ量産型はなぁ

デイリーアークXX年9月12日09:33配信記事より抜粋

 この時点で、もはやニケは消耗品としか写っていないのである。かつて、人類を救うと信じられた勝利の女神が地に堕ちた瞬間であった。
 戦闘の推移に関して更に付け加えると、開戦から1年後、ある新進気鋭の指揮官がゲリラ戦中心の戦術を駆使して要所の一部奪還に成功したのだ。この戦術は、現在でも軍事ドクトリンとして機能している。
 しかし結局、地上に橋頭堡を築く事は出来ず敗退し、戦後責任をとるための軍高官の大量更迭が行われた。
 更迭を免れていた、新星の異名を奉られていた指揮官もまた、翌年のラプチャー侵略における不手際を責められ(マイルズ副司令官の失態の責任転嫁説もある)歴史の闇に消えた……

今回はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?