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【感想】素敵にハンドメイド・ピサンキ

私には、人生をかけて答えを出したい疑問がいくつかある。

その中の一つが「人はなぜ、手芸をするのか?」というもの。

私は母がパッチワークをしていた影響で裁縫を始めたが、最初はあまりの手順の面倒臭さに驚いたものだ。


これは大昔に私が作ったコースター(10cm角)だが、これを作ろうと思ったら、以下の手順になる。

①型紙を作る。
②布を決める。裁断。
③ピースを縫い、形にする。
④裏地、キルトを重ねて縫う。
⑤端の始末をする。

簡単に書いただけでもこれだけの手順がある。

そして、きれいに仕上げるためには都度都度アイロンをかけなくてはいけない。

・・めんどくさっ!!!

そんな訳で実際にパッチワークを始めるまでにかなり時間がかかっている。

前置きが長くなったが、先日のNHK「素敵にハンドメイド」でウクライナの伝統手芸「ピサンキ」の特集を観た。

ピサンキとは、卵にろうけつ染めで絵や模様を描いたもので、玄関先につるしたりしてお守りにするらしい。何と紀元前からあったとされるもので、ウクライナにキリスト教が入ってきた時に一気に火が付いたようで、イースターエッグを作るときによく使われるそうだ。

さて、このピサンキ、どうやって作るのだろうと番組を観ていたら、
その手順はパッチワークの比ではないくらい大変だった。

実際はキストカという道具を使って作るらしいが、番組で紹介してくれた家庭でもできる手順を紹介する。

①卵に穴を開け、中身を出す。
※卵の底に印をつけ、画鋲→キリで穴を開ける。穴にスポイトを入れ、黄身をを潰した後で空気を入れて中身を出すらしい。(私はこの時点で挫折する)


②酢水で中を洗う。
③乾いたら、鉛筆で殻に線を描く。


④蜜蝋(に黒のクレヨンを削って入れたもの)を湯せんで溶かし、竹串の太い方に着けて線を描く。
※完成したら白い線となる。ちなみに蝋が固まらないように素早く作業する必要がある。
⑤穴をふさぐ。染料液が中に入らないように。
⑥食紅+水+酢でつくった染料液に卵を浸し、回して全体に色をつける。


⑦模様を描く。※完成したら⑥の液の色になる。
⑧先程とは別の色の染料液に浸ける。
⑨ドライヤーで蝋を溶かしふき取る。

…以上で完成。
ちなみにこれは簡単な作り方。すごい。ろうけつ染めという手法で作っているので、手順が複雑になり、頭をとても使う。脳トレになりそう。

何故、絵具か何かでササっと描かないのか疑問だったが、蝋を使うことで線が早く乾き、触っても汚れないことがあるようです。
卵だしね。小さいし。

そうして出来たピサンキはとてもきれい。
面白いなあ。世界は広いなあ。
手芸を見るたび思う。

まだうまく言葉に出来ないが、手芸というものがこの世に存在することが本当に面白いと思う。

その歴史や生活の背景にすごく興味があるのだ。だって、生活してて卵に色付けたいって思うか?端切れをつないで模様にしたいと思うか?何が人をそうさせるのか?

そんな事を想像してワクワクしてしまう。
そして、それは作業工程が多かったり、準備物が多くて「めんどくさそうだな…」と私が感じるモノほど興味が湧いてくる。

今回のピサンキはなかなかの手間だなと感じた。そもそも卵をあまり食べないし。
(誰かがイベントや講座で企画してくれたら参加したい。勝手でごめんなさい💦)

久しぶりに手芸に対する哲学的思考が顔を出して楽しかった。






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