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「木挽町のあだ討ち」、刺さる

以前から読みたい、読みたいと思っていた
「木挽町のあだ討ち」
ついに読みました!(遅い)

今まで好きな本ばかり読んできたので、今年は話題の本、せめて賞をとった本を読みたいと思い購入。
1~2ヶ月放置して、ようやく読み終えました。

あらすじを簡単に言うと、木挽町で起こったある仇討について、関係者に話を聞いてまわる中で、思いもよらぬ真相が見えてくる…という話。

めちゃくちゃ面白いです。
久しぶりに話の続きを読みたくてワクワクしました。

時代小説が好きなら、読む価値アリです。

ただ、それとは別に
この話は私の心に刺さりました。

「木挽町のあだ討ち」は、各章が仇討関係者の語りで構成されていて、

第一幕   木戸芸者の一八
第二幕   殺陣指南の与三郎
第三幕   衣装係の芳澤ほたる
第四幕   小道具係の久蔵、お与根夫婦
第五幕   戯作者の篠田金治
第六幕   伊納菊之助

それぞれの人生の話もあり、どれも面白いのですが、私に刺さったのは
「第一幕 木戸芸者の一八」の人生です。

一八(いっぱち)は吉原の芸者の子として生まれますが、男の子だった為、居心地の悪い幼少期を過ごします。母親は男をとっかえひっかえして一八に目もくれないどころか一八に暴力を振るう、とんでもない親でした。

そんな一八は、十二歳になった時に、幇間(ほうかん)の師匠に引き取られます。幇間とは、茶屋で旦那衆をもてなして、芸者と橋渡しをする、いわゆる太鼓持ちです。

一八は他に行く場所もないので、幇間として真面目に働きますが、ある日、芸者に手をあげる旦那を蹴り飛ばします。読んでる方はスカッとしますが、幇間としてはNG行動です。

しかし一八は、芸者に同情して涙を流します。そんな一八を見て師匠は吉原から離れるように言います。

見捨てられたと思い、泣きつく一八ですが、師匠はこう言います。
「お前さん、本音じゃあ女郎を買いにくる男が嫌いだろう」
「それがお前さんの胸のドン突きにあるんだよ」
「(無理して幇間を続けると)お前さんがお前さんの胸の内を見捨てる事になっちまう。」

・・・これ!このセリフが私にまともに刺さりました。
図星だ。
一八と一緒に固まる私。気づけば一八と一緒に私も泣いていました。

私にとっても図星。
自分が心の底で嫌っている事って、続けられない。続けたとしても、何かあった時に爆発したり、転落したりする。

・・・仕事のこと。

一八は、その後縁あって、木戸芸者の仕事を得て、暮らしが落ち着きます。

私はどうなんだろう。
久々に考えさせられました。

落ち着きたいな。
うん、穏やかに暮らせる場所を見つけたい。




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