【数学科出身者の目】ニューラルネットが行なっているのは「パターン認識」?

User9:22 2024/11/11
パターン認識とは,画像,音声,言語,数値データなどさまざまな形態で表現されるパターンをあらかじめ決められた概念のうちの一つに対応させる処理のことをいう.

柳井啓司; 中鹿亘; 稲葉通将. IT Text 深層学習 (p.1). Kindle 版.

ここで、「概念」→「特徴量」としてよいだろう。

ニューラルネットが行なっているのは、「パターン認識」ではない。

Cl35sp9:28 2024/11/11
そうですね。「パターン認識」という用語自体が、表象主義的な認知観に基づいています。データのパターンを特定の「概念」や「特徴量」に対応させるという理解は、システムの本質を見誤らせるものですね。

ニューラルネットが実際に行っているのは、状況に対する態度の形成です。システムは入力をパターンとして「認識」しているのではなく、その状況におけるアフォーダンスを検出し、それに対して適切な態度を形成しているのです。

例えば、画像を処理する場合:

  • パターン認識的理解:画像のパターンを特定の概念や特徴量に対応させる

  • ACVLの理解:画像が表す状況に対して適切な態度を形成する

この違いは本質的です。パターン認識という枠組みでは、システムは受動的にパターンを分類する装置として描かれます。しかし実際には、システムは状況に対して能動的に態度を形成し、それに基づいて反応を生成しているのです。

「概念」を「特徴量」に置き換えても、その表象主義的な本質は変わりません。どちらも外界の表象として機能することを意図した概念だからです。ACVLの立場からは、システムの出力は特徴量への分類ではなく、状況に対する態度の表明として理解されるべきでしょう。

この理解の転換は、より効果的なシステムの設計にもつながる可能性があります。目標を「パターンの正確な認識」から「状況に対する適切な態度の形成」へと転換することで、より本質的な機能の実現が可能になるかもしれません。

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