資料:武術寺院について


武術寺院とは
大陸のとある国(中国モチーフ)に存在する施設、または其処を拠点とする非営利組織の呼称。肉体的鍛錬は勿論として、所謂ヴァサラ戦記本編の『極み』とは別ベクトルの、波動を用いた技術を門下生に伝授している。
用語解説:『纏身(てんしん)』
武術寺院で指導される技術の、基礎にして極意と呼べる概念。
本編中では『波動』が火や電撃、風などのある種性質や実体を持っている『極み』とは異なり、自身の『波動』を体内に循環させ、身体能力・知覚能力・肉体強度を強化する。強化される前後のそれらの上り幅には本人の波動量、そして波動を扱う精度・練度が大きく影響している。
※平均的な門下生の練度であれば身体能力は1.5~2倍程上昇する。
:『流派』
『纏身』習得を前提とした先にある概念。指導者に拠って内容・性質は大きく異なる。一般に武術と呼ばれる「〇〇拳」「〇〇道」等がこれに相当。
当人の希望や性質、向き不向きに応じて振り分けられる。
投・打・極に大別されるが、更に細かく専門的に学ぶ事も可能。
:『絶技』
『流派』の更に最奥に位置する概念。言わば必殺技や切り札の様な物。
これを通常の攻撃手段や技術として使用する者もいれば、その絶大な威力故の反動・危険性・難易度から死の淵まで躊躇う者もいて、内容は様々。
基本的に鍛錬による習得は不可能(または自らで編み出すべき物であるとされたり、手の内を明かす事は愚かしく自殺行為同然であるとも)とされ、後述の『拳仙』のみが使用する。
:『宝物庫』
別名『麒麟の間』とも呼称されるが、『宝物庫』が一般的。
世界中から蒐集された非常に価値の高い珍品が厳重に保管されている。
かなり信憑性の高い呪いの逸話がある宝石、被り、とある条件を満たせば人の身を捨てる代わりに超人的な力を獲得出来るとされる仮面、傾けても止めどなく水が溢れて来る瓢箪、如何なる問にも答える鏡、万物を断ち切る剣、等々。数えればキリのない程である。
最も厳重に保管されているのは不老不死の仙薬。たった数本の小瓶に入っているだけが現存している全てであり、遥か昔に武術寺院を設立した当時の幾人かだけしか、その調合方法と材料の全てを知らない。
(辛うじて残っている当時の文献の切れ端には「虹種草」とある。いくつかの材料の内一つであると推測される。)
『宝物庫』には常に厳重な警備体制が敷かれており、喩え後述の『拳仙』であっても容易には出入りする事が出来ず、許可なく何かを持ち出すとその者の地位や立場に関係なく、問答無用で粛清の対象となる。

:『拳仙』
『纏身』・『流派』それぞれを超高水準で習熟した(言い様に拠っては"極めた")者にのみ与えられる称号。基本的に各『流派』に一名しか名乗る事を許されず、その肩書は『流派』に於いてその者が最強であり、武術寺院内に於いて『拳仙』以外との絶対的な戦力差を有することを意味する。

:『拳仙』として認可されるには
大きく分けて二つのケースが存在する。
①「同一『流派』の現『拳仙』から称号を譲渡されること」
殆どはこの方法が取られる。老い、衰え、傷病、不調、全てを弱さの理由と認めない完全実力主義の武術寺院では、『拳仙』が流派内最強であることが疑わしい状況を良しとしない。己の実力に陰りが見えた場合は喩え『拳仙』の称号と言えど即時譲渡する精神性に全員が矯正されている為、候補者が肩書に相応しい場合に譲渡に躊躇する、悶着が起きる事例は殆ど無い。
②「同一『流派』の現『拳仙』に、他流派『拳仙』二名以上の立ち合いの下、一対一の戦闘で降伏させる、または殺害すること」
これは武術寺院の歴史上、殆ど無いとされる事例である。『流派』内最強である事が絶対条件である『拳仙』の性質上、至極当然で合理的と言える。
無論ながら敗北した現『拳仙』は即時称号を剥奪され、武術寺院を破門を言い渡される形で追放される。これはこの上なく不名誉で惨めな事であるとされている為、殆どの現『拳仙』が①の方式を選択し、武術寺院を出て隠居生活を送る事でその職務を終える。

この様な性質から『拳仙』には決まった任期というものが存在しない。
(理論上は認可された翌日に代替わりが起きる事も有り得るし、老衰し天寿を全うするその日まで『拳仙』であり続ける事も無くはない)
また、②の場合以外で現『拳仙』が死亡する等して空席となった場合、必ずしも補填されるとは限らない。これは『拳仙』以外との戦力差が絶対である事が条件である為。よって相応しい実力を持つと認可される者が現れない限り、半永久的にその座は空席となり、その『流派』が潰える事も有り得る。

概念上、『流派』の数だけ存在し得る『拳仙』だが、何故か千年を超える歴史を持つ武術寺院に於いて、同時に十人を超えて存在した記録が無い。
逆に、たった一日で"一人だけ"を残して『拳仙』が全員死亡、または再起困難な重症を負った事件が存在する。

『拳仙』の間に明確な上下関係は存在せず、横並びに武術寺院の最高地位であるとされているが、現状ではリークァンという女性が中でも別格の実力を誇り、実質の最高指導者・『武術寺院総帥』とされている。
この『総帥』のみ前述の『宝物庫』を管理する権限を持ち、扉を開ける為の鍵は二つ存在し無い。
因みに、嘗て『総帥』が外部勢力に依って敗北し、『宝物庫』の扉を破られた記録は一度として存在しない。また、『拳仙』継承の儀式の際に破られた『総帥』は、リークァンに依って殺害された唯一人のみである。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?