こんなもので変わった自分
こんなもので変わるのか……
これは大学生の私がこれまでの人生で買ったものが引き起こした、小さなことがある
それは、「シャーペン」だ!
これを見て人それぞれ様々な意見を持つだろう
そして大概の人は
「なぁんだ、シャーペンか。そんなので何かが変わるのか?」
と感じるのではないだろうか。
しかし、私にとってはこの「シャーペン」一本が非常に大きなものとなっているのである…
ペンとの出会い
私がこのシャーペンと出会ったのは中学一年のことだ。
先ほどから、シャーペンと言っているが種類はいたって普通のシャーペン、
「クルトガ スタンダードモデル」
いたって普通の使い心地のいいシャーペンだ。
しかし、小学校の間は学校でシャーペンは禁止されていて、鉛筆のみが私にとってのそれまでの筆記用具だった。
そのことも影響して、中学に入ってすぐにシャーペンを使いたくなり、買いに行くことにした。
「シャーペンぐらい、いつでも買えるだろう」
そう思うかもしれないが、この時の私にとってシャーペン一本買うのにも重要な意味があった。
私は今でも買い物に関しては慎重派で様々なものを比較してからしか購入に踏み切れない。
小学生の当時もそうだった。
そして当時の状況でもう一つじっくり考える必要があったのは、
そう、お小遣いで買うという点だ。
それまで、ゲームセンターのカードゲームや、お菓子などにしか使ったことがなかったお小遣い。そのお小遣いを自分の筆記用具に使うという点が私にとっては非常に重要な点だった。
その、それほど多くない金額を握りしめ、近くのお店の文房具店を見て回りに行った。
そこには、持ち手にグリップがついていて持っていても疲れにくい物、フリフリするだけで芯が出てくるもの等、多種多様で見ても見ても見切れないほどの種類があった。
そんな中、私はクルトガに出会った。
そのシャーペンは、芯が出るたびに削れて永遠にとがった状態で書ける、それが注目ポイントのように宣伝されていた。
しかし、私は違った。そのシャーペンを見た瞬間今まで何でもかんでも長考していたのに、この時は即決だった。
大学生になった今ではなぜあの時あんなに即決できたのかは覚えていない。
でも、初めてのシャーペンでそのスタイリッシュさに魅せられていたのだと思う。
こうしてこのシャーペンと出会ったのだった。
シャーペンとの暮らし
私はこの後、初めて買ったシャーペンに自分でいうのもなんだが異常なほど愛着を持っている。
買った後には、意味もなく小説を書きたいなぁと思ったり、自作のカードを作ってみたり、今となっては
「私、何をしているんだ(笑)」
という感じのことをしていた。
しかし、シャーペンを買った後から自分にとって良かったこともあった。
例えば何かを書きたいと思い、なぜか漢検を勉強しだした。
この漢検はこれがきっかけとなり、中学2年の頃に2級まで一発で通過できた。また英検も同様に受験たりするようになっていた。
今まで、自分からこんな勉強をするような性格ではなく小学校の時は数学などでは平均点にも達していなかったようだった。
このおかげで私は少なからず自分に対する変化を芽生えさせた。
友人関係にも変化があった。
小学校の頃は同じゲームをしている一部の人としかかかわりを持てていないほど内気な感じだった。
しかし、ものを書きたいの影響でなぜか絵を描くこともしだした。
そもそも、小学校のころから絵が好きだったんじゃないのと思うかもしれない……
そんなことはない…
実際、ドラえもんの絵描き歌とか、まるで宇宙人ができてしまうし、学校のオリエンテーションなどの際に行われていた絵しりとりなんか成立しないほどだった。
つまり、へたくそだった。
そんな私が絵を自主的に書くなんて思ってもいなかったが、何か書きたいという衝動は偉大なものなのかもしれない、その頃の私はなぜか絵を描き始めたのだった。
しかしこの行動が私にとって良い影響も及ぼした。
それまでかかわってこなかったような人に絵を教えてもらう機会が生じたのだ。そのおかげで私は友好関係の範囲も一気にひえろがったように感じる。
こんな感じでこのシャーペン一本で私の生活に大きく変化が生じたのだ。
シャーペンと今
実はこのシャーペンは、大学生になった今も使っている。
もうかれこれ、6年以上の年季の入ったものになっている。
今となってはこのシャーペンの外の色はほとんどはげ落ちて、もともとの水色の色はうっすらとしか見られない。
また、これまでに何度か芯が出なくなったりして壊れかけたこともあった。
そのたびに、家族からは「買いかえれば」と言われていた。
それでも、私はこのシャーペンをなぜか手放せなかった。
今となってはこのクルトガのより性能が良くなったものもある。
私自身も当時とは違いアルバイトのお金でシャーペンぐらいは購入できる。
それでもこのシャーペンを手放したくない。
だって高校受験、大学受験、英検、大学の手書き限定のレポート、中学校の職場体験後のまとめの新聞づくりのように多くの場を共に過ごしてきた。
それに加えて、このシャーペンのおかげで私自身に今までにないより広い交友関係を築く架け橋を築いてくれた。
おそらくこれからも末永くこのシャーペンとは過ごしていくのだろう。
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