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憧れのニコン 思い出4

二十代後半。スポーツ繋がりの友人が、ある分岐点でドン底に落ちた出来事があった。私はその友人の導きで、その時の自分があると恩を感じていたので「彼のために何かできることはないか!?」と考え、友人の勇姿を記録に残そうと、ピント合わせに自信のない私(?)は流行の「オートフォーカス」のニコンのF70Dを買った。
ニコンは当時”高級ブランド”で他社よりヒト越え高くて躊躇いがあったものの伝説の信頼性にお金をかけた。
・・・と言ってもF70Dなので当時の私の懐事情がハッキリわかる。勤め先の輸出中心の事業は円高で衰退し、出口が見つからないまま昇給もボーナスもない年月が続いていた。F70Dを買うだけでも「それ、今必要?」、「他にできること無いの?」と何度も自問した。しかし世話になった彼にできる「精一杯」が「それ」だったので僅かな貯金を切り崩し購入した。
この行為を友人がどう思ったかは知るところではないが、自分にできることをつくせた事が彼の涙を見てしまった私自身を後悔から救ってくれた。
F70Dは今でも電池を入れれば動作している。フィルムを入れての撮影はしていないのでやや不安もあるが、シャッター音は快調で「耐久力のニコン」を感じさせてくれている。

軍艦部の設定パネルは”撮影モード”なるアイコンが並んでいて、入門用に見える。当時の雑誌で専門家は・・・入門用のプロフラム撮影専用に見える外観だが、絞り優先、シャッター優先、マニュアルもシッカリしているし、ストロボ制御は最新の技術を搭載していてワンクラス上の性能・・・と持ち上げていた。手元に残った唯一のフィルムカメラである。


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