映画館デビューを渋る小3男子の誘い方#180
小3の息子を映画に誘った。
彼はまだ映画館に行ったことがない。
自分の好きなアニメの劇場版が公開されており、映画館デビューには絶好のタイミングだ。
初めてなので少しドキドキするだろうけれど、それよりも嬉しさが勝ると思っていた。
そう思ったのは母だけだった。
息子は顔色を変えずに、「それって家で観られないの?」と聞いてきた。
「飛ばしてみれないやん。みたいのは試合のところだけやねん。あとはいつも飛ばしてるから。」
そういえば、息子の動画の見方はいつだってスキップしながら見たいところだけを見ている。彼にリモコン権がある場合は、こちらがイライラしてしまうので、もう一緒に楽しむことは諦めて、彼の持ち時間は好きに見させていた。
息子はそれをいいことに、ずっと独りよがりな視聴を続けていたのだ。
映画館は「別に、そんなに興味が無い」
経験もしていないのに、しかも動画やアニメ自体は大好きなのに、こと映画館に対していきなり消極的な態度をとるのはなぜか。
最初に思いついたのは、
周りのお友達はみんな行ったことがあるのに、自分だけが映画館未経験であることが恥ずかしい。
だから、「行きたいのにつれて行ってもらったことがない」のではなく、「興味がないから自分の意思で行かない」ということにした。
そんなことを周りに言ったりしていると、その考えが自分の意識に刷り込まれてしまい、自分でも本当にそうだと思い込んでしまっているということ。
これは、息子なら、というよりも、私自身ならば、消極的になる本当の理由は何かを考えたもので、いつも周りの目が気になって仕方がなかった私らしい考え方だと思う。
例えば、周りの子がキャラクターグッズを持っていて、自分だけが持っていないとき、みんながしているドラマの話題についていけないときなどに、
「私はそんなものに興味はないのよ。」とやせ我慢をして取り繕っていた。本当は私も友達の輪に入りたかったのだと思う。
でも入るための前提条件がそろっていなかった。
実際には周りのみんなが必ず持っていたり、ドラマを見ていたわけではなく、私の目にはそういう子しか映っていなかっただけの話だ。
息子が同じような考えをしたかどうかは、さておいて。
とにかく興味がないと言い張る息子が
「あんまり気が進まない」から「まぁ、行ってみてもいいかな」、そして「行きたい」になるにはどのようなアプローチが有効か考えた。
理屈っぽい話が好きな息子なので、理屈で責める。
①スキップ再生できないことのメリットを伝える
映画館に気が向かない原因が自分のペースでみられないことなのだから、スキップできないことで得られるメリットを息子にプレゼンすればいい。
試合のシーンだけ見るのもいいけどさ、なんで作者はわざわざ違うシーンも入れているんやと思う??
ママが思うにさ、そのまま見るにはゆっくり過ぎるかもしれないけれど、きっと作った人の思いがあるはずやねんな。
実はめちゃくちゃ大事な話をしていたり、面白かったり、問題のヒントがあるはずやねん。
そういうお宝みたいなものがいろんなところにあるから、じっくり見るとそういうことに気づけてもっと面白くなったりするねん。
そういうことも考えてつくっているから面白くて人気があるんやと思うねんな。
どう思う?
②初めての経験をすることのすばらしさを力説
まだ今は、映画館行ったことないし、どんなところか、なんとなくしか知らんやろ?
知らないことを実際に自分で行ったりやってみたりしたら、「知っている」になるやん。
ほんまに興味があるかないかは、自分でほんまに経験してみないとわからないねん。
経験してみて初めて気づくこともあるしね、別に「やっぱり行ってみたけど興味がないわ」でもいいねん。
でもやったこともない人が「興味がない」って言うのってさ「やってもいないのに何を言ってるの?」って思わへん?
ちょっとカッコ悪いような気もするねんな。
③そんなことどうでもいいから、単に口説く
まぁさ、単にママが久しぶりに映画館行きたいねん。
なんかさ映画館でみる映画ってさ、テレビで見るよりもすごい迫力やしさ、見てる人みんなが笑ったり、一緒に感動したり、なんか、みんなが同じ映画をみてる~って感じがいいねんな。
だからちょっと付き合ってくれへん?
そんなこんななやり取りのあと、
息子は映画デビューを祖母に嬉しそうに自慢した。
ドキドキわくわくしている。
少しずつ、新しい世界を知る。
新しい体験やチャレンジを増やす。
行動範囲を拡げる。
そうすると視野が広がり、自分が本当に好きなものに出会う確率も上がる。
息子のことを考えながら書いたが、子どもだから必要なことなのではなく、私自身もそうあろうと思っていること。
ドキドキワクワクを楽しむ。
ワクワクするのは、快適な場所、つまりコンフォートゾーンにいるときだが、ドキドキするのは、心臓が鼓動する、つまりちょっと緊張するときだ。
時としてエイヤっと勇気を振り絞る必要がある。
でも、その先には成長がある。
成長したい、ステップアップしたいときは、ワクワクよりもドキドキを選ぶとよいそうだ。
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