保育園選びと入園作戦

息子が産まれた当時は、保育や子育てに関する知識はほとんどなく、保育園に入るのが大変だということもあまりよくわかっていなかった。
自宅近くの保育園を通りがかりで外から少し覗いてみたりするものの、全然ピンとこなかった。
世間知らずな私は、まだ子どもが産まれて間もないときから、保育園探しをするなんて、早すぎ、焦っているみたいでかっこわるいなんて思っていたくらいだった。
いつから保育園探しを始めましょう。だなんて、そうそう誰も教えてくれないのだから、自分で情報を取りに行って、自分で動きださないといけないのだ。
実際に保育の現場で働いていると、子どもが産まれてからの見学が大半だが、妊娠中から園探しを始めている方も一定数いらっしゃる。最近は父親や母親でなく、祖父母が代わりに見学に来られることもある。

私自身は、いろいろ経験させてくれて、教えてくれる園がいいなと、どちらかというと小学生になったときに困らないように、子どもを育ててくれる園をぼんやりイメージしていた。子育てに自信がなかったので、転ばぬ先の杖を探していた。

園見学に行くのに、予約が必要(ほとんどの園は予約制)だということも知らず、いきなり園のインターホンを押して、職員さんに慌てられたこともある。

ある園は、保育中に英語のレッスンがあることや、各分野の専門の講師を招いてのレッスン・自然体験など豊富で、とても魅力的だったのだが、見学すると保育室、いや教室の中で子どもたちが整列してピシッと座り、先生の号令にあわせて、発声をしたり、フラッシュカードを使った脳トレのようなものをしていて、ここは学校?まだ幼児なのに??と思ってしまい、ここで過ごすことの楽しさよりも窮屈さを感じてしまった。これはよいのかもしれないけれど、私たち親子にはあわない。。。

ある日、職場関係の知り合いの方が、お孫さんが通っている保育園の文句を言っていた。

「おやつにピーマンだなんてありえない、給食も野菜ばっかり」・・・子どもを野菜好きにしたい、あまり市販のお菓子は与えたくないと思っている私には好都合。
「なんでも手づかみだからきたないし行儀悪い」・・・手づかみ食べをさせてくれるなんていいじゃない。
「靴も履かないし、泥だらけできたない」・・・はだしで遊ぶ、泥遊びできるなんていいな
「園のホールにおしっこの水たまりができていることがある」・・・それは確かにちょっと嫌だな。
文句を言いながらも「毎日バスでいろんなところに連れて行ってくれる」など、お孫さん自体は楽しんでいる様子だったし、聞けば聞くほど興味がわいた。

予約して、どきどきわくわく見学に行くと、そこはまるで大きな木のおうちのようだった。笑顔で迎え入れられ、緊張していた気分もほっこり、昭和にタイムスリップしたかのような感覚。建物が古いとかではなく、懐かしくやさしい気持ちになれる、そこに息づく文化や空気感みたいなものに魅了された。

自分が求めていたものにやっと出会えたような気がした。
絶対にここに子どもを通わせたいと、本気で思った。
車で片道30分、多少遠くてもわざわざ通わせたいと思った。(のちに近くに引っ越すことになる)

認可園なので行政区の入園調整で運命が決まる。そもそも募集枠があることが前提で、保護者の就労状況などから算出されるポイントによって振り分けられる。ポイントは自分でも計算できるので、比較的高い位置にいることはわかっていたが、それでも安心はできなかった。幸い入園できたのだが、もし入れなければ、どうやってこの園との縁をつなげたらよいか、なんてことも真剣に考えていた。(人が本気になれば実現に向けて行動するとは、このことだなと思う)

今は職業として保育現場に身を置いているため、保護者の方に保育園入園に向けてのアドバイスをすることもある。(地域により異なるが参考まで)

・いいなと思う園があっても、必ず入れるとは限らない。絶対に入れたいのであれば、入園時期を早めることも考える。入れるタイミングを流したら次のチャンスはそうそうやってこない!!
人気の園だと1歳児が激戦になるので、0歳児のうちに早めに入園させる、ということも必要になる。また、弟妹児が多い学年は、保護者同志で枠の取り合いになることがあるくらいなので第1子の場合はさらに激戦になる。

・保育園には、何度か足を運ぶ。顔を覚えてもらう。熱心さを好意的に受け取ってくれる園もあるが、しつこいと、面倒くさい親だという印象を与えかねないので要注意。
行政区の入園調整だと、基本的に園側が児童を選抜することはできないが、同点になったときには、園の意向が反映されることがあるため。

地域によっては、とにかく預け先を確保することが最優先だったり、保護者の就労状況によってはそもそも申請を受け付けてくれないところもある。
保育方針で園選びが出来るのは幸せなことなのだと思う。

いくら激戦の人気園でも、園が存続している限り、毎年枠はできる。
園の保育方針が自身の価値観と会わなければ、結局大きなストレスとなるので、子どものために、何より親自身のために、候補の園には直接足を運び、納得できる園を選んでほしいと思う。

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