つい「わかりました」といってしまう新人保育士の悩み #176

上司から指示があった。
「今月の園内研修の担当になっているから準備してね」
「わかりましたっ」と勢いよく返事をした。
彼女は涼しい顔で用件だけ伝えると事務所に入ってしまった。
上司の言葉に対して、反射的に答えたけれど、実際何をどうすればいいかわからない。

「研修担当ってどういうことだ??」
「いやいやいや、無理無理無理、無茶ぶりすぎる」

心の中でそう突っ込んでみる。
就職して3か月。1年目くらいは丁寧に指導してもらえると思っていた。
現実は甘くない。

とりあえず、お手本見せてくれたらいいのにと思うけれど、先月の研修は、園長先生が喋っていた。園長先生や上の人の仕事だと思っていた。

「いや、おかしいだろ。何で俺なんだ。」
そう思って、研修の準備をいったん保留にした。

1週間ほど過ぎて、「準備できてる?」と聞かれた。

「あっ、やばっ。」
「やばい」という口癖を何度も注意されているのに、つい言ってしまった。

上司の表情が明らかに怒っている。

「『わかりました』って言ったよね」
確かに、言ったような気がする。言ってしまった。

指示をされる時って、有無を言わせない空気があって、つい返事をしてしまう。
とりあえずの返事は、結局自分の首を絞めることになることを痛感する。

思考停止しかけていたとき、事務員さんが
「ちょっと、まだいきなりすぎないですか?」と上司にかけあってくれた。

助かった。。。

事務員さんと上司がしばらく話しあった後、俺の研修デビューはめでたく1か月先延ばしになった。

とりあえず、助かった。
正直まだ、出来る気はしないけれど、今月の研修は頑張ろう。

新人保育士(俺)の悩み  

似たような事例を目の当たりにした私が、新人保育士の心のうちを想像しながら書いたフィクションではあるが、
新人の立場だけでなく、同じ職場ではたらく仲間がこのような状況に遭遇したときにどのように振る舞うと、皆が成長しあえるのだろうか、考えるきっかけになるケースだと思う。

職場の問題はどこだってあると思う
そんなところ、辞めてしまえ、というのは簡単だ。
でも職場の問題のせいにして辞める人間は他の職場でも同じ問題にぶち当たるものだ。

ここでは、新人がどのような環境であっても、成長するための考え方、マインドに視点をおいている。

まず、わからないことは簡単に了承してはいけない。

「わからない」のに「わかりました」と言うのは、「嘘」だ。
嘘をつく人は信用されない。

だからたとえ、言葉のはずみだったとしても、嘘をつかないよう、気を付けたい。
嘘は周りに信用されなくなるだけでなく、その「嘘」を自分自身も聞いているわけで、嘘をついた自分自身を信じることができなくなる。
つまり自信が育たないのだ。
自分に自信がない人は、まず自分に嘘をつかないこと。
もっともっと自分に素直になるといい。

もちろん、その嘘がわざとじゃないのは知っている。
癖やはずみで「わかりました」と言ってしまったのであれば、「わかりました」という未来を先取りしたことにして、「わかりました」の状態に自分を持っていけばいい。

「わからない」ことは恥ずかしいことではない。
「わからない」は自分にとっての伸びしろで、わかりやすい成長のチャンスだ。
わからないという気持ちに素直になれたら、質問することができる。
まずは、「わからない」という現状を認め、許すこと。

質問するときは、話の流れや状況にもよりけりだが、
基本的には、まずは自分で調べてみる。
解決できそうになければ質問する。
自分で調べたり考える力がまだ育っていいないうちに、必死にあれこれ調べようとしても、やたらと時間がかかったり、方向性が違いすぎていることもある。

私の場合は、質問やSOSを歓迎しているので、こんなこと聞いていいのだろうか?と思ったらさっさと質問してねと伝えている。(こんな人ばかりでないので要注意)
ただし、自分で考えたり、調べることをすっ飛ばして、「どうしたらいいですか」とただただ答えを求めてきた場合は、「あなたはどうしたらいいと思う?」「あなたはどうしたいの?」と聞き返す。

「何がわからなくて、何に困っていて、私はどうしたいのか?」を明確にして書き出してみるとよい。

「何がわからないかもわからなくて、どうしたらいいかわからなくて困っていて、自分がやるべきことを知りたい」それでもいい。
そうすると、相手にあなたの現在地が伝わる。
またそれらを、書き出すと、それだけで思考が整理されて次のステップが見えるようになってくる。

新人も私もみんな、着実に成長している。大丈夫。

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