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同人作家がフリーランスのライターになった話


筆者の来歴

2023年の6月から、筆者は連載を持つシナリオライターとして活動している
それ以前からSKIMAにて有償依頼は承っており、こちらでの実績が評価された結果として、お呼びがかかった次第である

詳しいことは守秘義務に関わるので黙っておくが、週1で12000字、渡されたプロットを元に、テキストを書き起こしていくのが今の仕事だ

同時に、筆者は別名義で同人作家としても活動している
マイナージャンルな上に字書きである
知名度に関しては、同ジャンル内であれば5人に1人が認知してくれていれば上出来であろう
毎年、自薦だったりお声掛けを頂いたりして、アンソロジー系の企画への寄稿も続けている
その他、年に2,3冊のペースで個人誌も発行している
自分でもそこそこ筆は早い方だと思う
1時間に2000~3000字が筆者の執筆ペースだが、これはライターとしては平均的な速度らしい

今回はそうした経験を振り返る形で、筆者がライターとしてデビューするまでのノウハウを記していこうと思う

なお、筆者はライター業に関しては独学であり、企業に所属していたわけではない
また、依頼では小説やシナリオを手がけている都合上、絵師としての活動についての言及は避ける次第である ご了承頂きたい


有償依頼の始め方

SKIMAやココナラといったサイトに登録する
これだけである
Skebという手もあるが、これはすでに知名度を獲得している作家であるのが前提だと考えて欲しい
何せXのプロフィールページへ飛んでくれる読者(さらには依頼までしてくれるファン)がいる、というのが条件になってくるからだ

その点、仲介系のサイトはフリーのクライアントとの出会いがある
依頼はしたいが、誰に頼んだらいいかわからない
そういう人達がこのサイトに訪れる
クリエイター側は、そうしたクライアントに営業をかけたり、依頼を受ける条件(納品までの日数や報酬額など)を提示しておくことが出来る
登録は無料である
サイト内での依頼の広告や、依頼が成立した際の報酬から仲介料が差し引かれる形となっている

無論、これですぐに依頼が来るとは限らない
筆者の場合は、SKIMAで活動を始めて5日目に依頼が来た
実績作りの期間なので、値段はかなり安く設定していた(ライターの相場は1文字0.5~1円と言われている)

SKIMAでは依頼数やその依頼への「いいね」数によって、より検索の上位にヒットする仕組みになっている
筆者は有り難いことに、恋愛小説のカテゴリで実績上位に入ることが出来た
また、不定期ながらリピートしてくれるクライアントにも恵まれた
現在は相場通りの金額で依頼を承っているため、途中で値上げという形になり、クライアントに対しては心苦しいものがあった…それで離れていった方もいるし、今もお付き合いが続いている方もいらっしゃる次第

クリエイターとして登録する際には、活動実績を記入する
SKIMAは比較的に同人作家と親和性が高いと感じる クライアント側も同人活動をしている方が多いのだ
そのため、筆者は別名義での個人誌・寄稿・アンソロ主催などの実績を記入している

ただし、ここで間違えていけないのは、企業側は同人活動を容認しているわけではない、ということだ
企業側の声明はあやふやな部分もあるのだが、要は「二次創作系の依頼でトラブルになっても庇わないし、助けないよ」というものである

実績上位の方は、二次創作も引き受けてらっしゃるし、中には成人向けも歓迎というスタンスの方もいる
だからこれはあくまでも個人的な考えなのだが、同人と依頼は線引きした方がいい
同人=ファンアートは赤字で活動するのが基本だ
対して依頼は、明確な利益が出る
この違いだけでも、原作への捉え方が試されているのではなかろうか

筆者は成人向けも、二次創作もお断りしている
プロフィールにも明記しているのだが、いまだに依頼が来る
その場合は、なるべく丁寧に対応することを心がけている

全ての依頼において、フリーランスは自己責任である
営業から交渉、納品まで、全てを1人でこなさなければならないのだ
プロフィールでの自己アピールから始まって、クライアントに接する態度や言葉遣い、依頼への姿勢など、クライアントはよく見ている

よほどのことがない限りには、納品後のクリエイター評価に傷がつくことはないかもしれない
しかし、次もこのクリエイターに依頼しよう、という気持ちは生まれないだろう
そう思ってもらうためには、誠実を尽くすのみなのだ

中には不誠実なクライアントもいる
とにかく難癖をつけて、値引きに持ち込もうとするようなタイプ
このような依頼に遭遇してしまった場合でも、筆者は態度を崩さないようにしている
あくまでも丁寧に、しかし、値引きには応じない
これを心がけている


依頼の進行手順

まず、クライアントから依頼の相談メールが来る
このときに確認したいのは、
・オリジナルか、版権か
・健全か成人向けか
・作成する小説のジャンル
 誰でも得意なジャンル、苦手なジャンルが存在する
 筆者は恋愛やファンタジー、ホラー、私小説を請け負っている
 このジャンルについてはプロフィールに明記しておいたり、
 事前にサンプル小説を作成してギャラリー登録しておくと良いだろう
・要求する文字数
・おおまかな展開や、クライアントの好み
・登場人物の一人称や、話し方の特徴、容姿など
・納品の希望日数
・納品形式(WordかPDFが多い)
――筆者はこの辺りを最初に確認させて頂いている

小説系の依頼として多いのが、「自創作のキャラクターが登場・活躍するオリジナル小説」となっている
ここでは主要な登場人物の特徴を把握することに努めている
何せその人物がメインなわけだから、一人称の間違いや行動パターンへの矛盾は致命的なのだ

同時に、クライアントの為人にも注目している
自創作の話であれば熱弁を振るって下さる方が多いが、中には説明が不得手で、必要最低限のやり取りだけで依頼を進行させたいと考える方もいる
相手に合わせるのが基本であり、こちらからしつこく話しかけるようなことはしないように気をつけている

文字数は依頼の報酬額に影響するため、必ず確認する
 取っ付きやすくするために、1000字で
 1000円(1000円が最低報酬額である)という依頼を作って
 おくのも手
 まずはこれで様子を見てから、本格的に依頼される
 クライアントも多い

筆者はリピート依頼に関しては、文字数に応じて割引きを検討している
また、言葉遣いには細心の注意を払う
会話がオウム返しにならないことも重要である
相手が希望していることを汲み取り、こちら側の報酬や納品日数など、伝えたいことを明確にした上で返信を行う

クライアントの希望がまとまったら、それを元にした依頼(コミッションと呼ぶ)を作成する
文字数や納品日数など、打ち合わせた項目を打ち込んでいくと作成できる
問題なのは依頼の表紙だ
これがデフォルトのものはとてもダサい
筆者はクリスタで自作したが、ソフトを所持していない場合にはCanvaというサイトに頼るのがベターだろう

クライアントが依頼を購入したら、いよいよ執筆に取り掛かる
仲介サイトを用いるメリットとして、報酬の踏み倒しの心配がないと言うのが挙げられる
クライアント側は支払い能力があることを証明する必要があり、なおかつ報酬は依頼が完遂されるまで仲介サイトが預かる形となる
このため、クリエイター、クライアントの双方が納得するまで、報酬はどちらの手にも渡らないのである

締め切りを守るのは当然だが、納品後にリテイクを要求される事が往々にしてある
このため、納品日数に対しては余裕を持って挑むのが吉となる
 筆者はよく文字数を超過するのだが、その分はサービスとしている
 また納品時には製本サイズに調整したWordとPDF原稿、
 両方をお渡ししている
 作品を本にしたいというクライアントも一定数いるので

納品後、問題がなければ依頼は完了となる
ここで大抵はクライアントから作品の感想が届く
依頼を受けていて、いちばん嬉しい瞬間かもしれない
こちらは執筆に当たっての工夫や注意した点、何より大事な自創作の人物を託して下さったお礼を述べている

この後、クライアントはクリエイターを、クリエイターはクライアントを評価して取り引きは完了となる


実績作りとその後

依頼を受けるに当たって、クライアントから信頼を得るのが大前提である
その第一歩として、プロフィールの充実が挙げられる
・受賞歴の有無
・執筆歴
・資格の有無
――こういった点が重視される

筆者は資格も受賞歴もなく、ただ執筆歴の長さだけがアピールポイントである
一応、報酬は頂いていないが「先生」と呼ばれる地位にある人物から寄稿を頼まれたりはしており、その辺も実績に記入している
同人活動の評価については、サイトによって大きく異なる
堅苦しい雰囲気のサイトであれば、記入は避けた方がいいだろう
逆にクライアントに同人作家が多い雰囲気があれば、同人歴を記入することによって、親しみを持ってもらったり、締め切りを守れるという信頼に繋がる効果が見込める

依頼のスケジュールをしっかりと組むのも大事だろう
基本的に納品は早い方が好まれる
だが、実現が難しいスケジュールを組んで日数を破ってしまっては、元も子もない
筆者の場合は連載との折り合いもあるので、依頼が集中した際には「〇月×日までお休みします」と明記した上で新規の依頼をストップしている

こうした実績を積み重ねていると、小規模なりにも企業クラスからお呼びがかかることがある
筆者の場合がそれで、最初にテストとして短いシナリオを提出した
これが無事に通った結果として採用され、今に至る
 文字数は4000字→9000字→12000字と徐々に増えていった
 報酬もその分増えたが、今の文字数はちょっときつい…

焦るのではなく、まずは目の前の第一歩
頂いた機会とご縁を大事に、執筆に取り掛かろう


依頼の募集について

1000~1万字以内、1文字1円にて小説やシナリオ、プロットを制作致します
ジャンルはファンタジー、恋愛、ホラー、私小説のいずれか
成人向け、及び版権はお断り致します

継続依頼やリピートにつきましては、文字数に応じて値引きさせて頂きます
まずはご気軽にご相談下さいませ



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