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午後のロードショー「バンコック・デンジャラス」


公開 2008年
監督 ダニー・パン オキサイド・パン
公開当時 ニコラス・ケイジ44歳

凄腕の暗殺者ジョーが、最後の仕事をするためバンコクに入る冒頭15分くらいまではテンポが良く緊張感があり、ニコラス・ケイジの映画らしからぬスタイリッシュさを感じましたが、そこから先は失速し、やはり彼の主演映画にありがちなB級映画という印象です。

凄腕の暗殺者である彼は、自らに厳しい4つのルールを課していた。
1、質問をしない 2、仕事以外で他人と関わらない 3、痕跡を残さない 4、引き際を知る …

ジョーはバンコクで自分の助手をさせるため、コンという若者をスカウトする。
「助手に選ぶのは、使い捨て出来る人間だ」などと言っている割には、コンに銃の打ち方や武術を教え、すっかり師弟関係になっていましたね。

ジョーは薬局で働く美しい女性フォイに恋をする。

ジョーは彼女を食事に誘う。
得体の知れない外国人に誘われて簡単についていくフォイも警戒心が無さすぎますね。

ネクタイを締め好青年ぶって、フォイの実家に挨拶に行くジョー。
フォイの母親に「お仕事は何を?」
しれっと「銀行関係です」
彼はバンコクに婚活をしに来たのでしょうか。

「仕事以外で他人と関わらない」という鉄壁のルールはどうなったのでしょうか。
美女の前で鼻の舌をのばしデレデレになるジョー。
コンは商売相手のクラブの女、ジョーはフォイに骨抜きにされてしまうのです。揃いも揃ってこの二人はプロ失格ですね。

美女フォイに殺し屋であることが知られてしまい、別れを告げられる。
ジョーはまさか、この年でフォイが初恋だったのでしょうか。
自暴自棄になるジョー。
タイでは「美人を見たらオカマだと思え」というくらいジェンダーにおおらかな国なので、フォイは男性だった、というオチも面白かったのではないでしょうか。
私は彼女の美しさしか印象に残っていません。

ジョーは引退を考えており、最後の仕事の場にバンコクを選んだ。
でも、自らに課した殺し屋としての掟を破ってしまい、信念を貫くことができない。

ラストは相棒のコンを助けるため自ら敵陣に赴き、マフィアのボスと共に自死することとなる…
相棒コンや美女フォンに出会ってしまった事でプロとしての信念が揺らぎ、メンタルが崩壊してしまった、という解釈で良いのでしょうか。

毎回思うのですが、ニコラス・ケイジにはヘアスタイリストがついていないのでしょうか。
後退した生え際、無駄に長い後ろ髪といいとても主演の髪型とは思えません。
内容的にも特に彼である必要性は無く、主演をモト冬樹にしたほうが経費削減になったのではと思います。

ニコラスケイジは2000年に「三共」のパチンコのCМに出演しています。
2000年代と言えば彼は全盛期こそ過ぎたものの「60セカンズ」「コレリ大尉のマンドリン」などに主演する、まだまだハリウッドのドル箱スターの時代です。
「アイ、ラブ、パチンコ!」と叫ぶ彼にはハリウッドスターのありがたさはみじんもありません。

彼がパチンコのCМに出演した経緯としてのエピソードがあり、日本の大衆文化に疎かったニコラス・ケイジはパチンコメーカー「三共」の役員に、
「“パチンコ”とは何か?」と尋ねたところ、説明に窮した役員は「ジャパニーズ、カジノ」と答えたそうなのです。
彼はパチンコをハリウッド映画に登場するような大人の社交場と勘違いしたのでしょうか。

彼は多趣味であり、高級車のコレクションやマーベルコミックヒーローの目玉が飛び出るような高額のグッズを買いあさったりなど、何かと物入りだったのかもしれません。
過去にアカデミー賞主演男優賞を受賞している彼なのですが、仕事を選んでいる場合ではない、背に腹は代えられない、といった所でしょうか。
このCМは完全にニコラスケイジの黒歴史だと思うのですが、きっと本人は出演した事すら忘れてしまっているでしょうね。

バンコク×ニコラスケイジということで意外性を期待していたのですが、ラストシーン以外はいつものニコケイ映画の範疇を逸脱しないB級アクション映画といえます。

ジョーは最初から人間味が有りすぎて冷徹な殺人マシーンに見えないため、徐々に人間味を取り戻す過程が見えてこないのが残念ですね。
彼の演技力の問題もあるのかもしれません。

象に水上マーケット、タイ料理に屋台など東南アジアの魅力満載で、バンコクに行ってみたくなってしまいます。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★★★
午後ロー親和性★★★★★

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