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午後のロードショー「スイッチバック 追跡者」


公開 1997年
監督 ジェブ・スチュアート
公開当時  デニス・クエイド43歳 ダニー・グローヴァー50歳 ジャレット・レト25歳

ネタバレ有です。ご注意ください。

連続殺人犯を追うFBI捜査官フランク。彼に追い詰められた犯人は彼の息子を誘拐する。犯人はその後も殺人を繰り返し、それを追うフランクは罠へとはめられていく… 

この映画は間違いなく、連続殺人の真犯人を推理していくサスペンスだと思うのですが、映画のポスターは完全にネタバレではないでしょうか。
私は最後の最後までどんでん返しを期待していたのですが、結局はポスターに提示されている「まんま」でしたね。

容疑者はデニス・クエイド演じるFBI捜査官フランク、ダニー・グローヴァー演じるボブ、ジャレット・レト演じるレニー。

映画の前半は、FBI捜査官フランクが殺人の起こった町で現地の保安官と協力しながら事件を追うラインと、ヒッチハイクの若者レニーと陽気な黒人男性ボブのドライブ旅のラインが並行して進行し、先が読めない緊張感があります。

当初はデニス・クエイド演じるFBI捜査官フランクが犯人なのでは、犯人が捜査をかく乱するためテキサス州の田舎町に、FBI捜査官を装い乗り込んできたのではと思いましたが、これは深読みしすぎでしたね。
フランク自身が犯人に息子を誘拐された被害者であることが明かされ、フランクは犯人候補離脱…

残る容疑者は、ボブとレニー。

レニーはヒッチハイクで乗せてもらったボブの車内が、女性のヌード写真だらけな事に不気味さを感じ、車を降りるのです。
でも結局、バーで町のチンピラに絡まれたところをボブに助けてもらったことで、彼を信頼し一緒に旅を続けることになります。

レニーとボブはレストランで食事をするも、突然レストランの客の一人が喉を詰まらせて倒れる。
ボブも含め周囲の人間は慌てふためくのですが、トイレから戻ったレニーは「僕は医者だ!」…これ以上のパワーワードはありませんね。
レニーは見事に救急処置を施し患者を救うのです。
ただのヒッチハイカーのお兄ちゃんかと思ったら腕っこきの医師だったなんて…
ボブがレニーに「仕事は何をしていたんだ?」と聞いた時に「いや、その、病院の雑用だよ…」医者だと言わないのが奥ゆかしくて良いですね😍

ボブは気さくで陽気な人気者、至る所に友人がおり、信頼も厚いのです。

が、ボブは映画の中盤で、幼馴染が経営する修理屋で車を修理してもらったあと、証拠隠滅のため幼馴染をナイフで殺害する。
やはり、犯人はボブだった…

ボブはレニーにドライブの途中、「俺になにかあったら息子の後見人になって欲しい。あんたは医者だし良い青年だから」と自宅の住所を教えるのです。
結局はそこにフランクの子供は監禁されていたのですが、なぜそのような事をレニーに教えたのでしょうか。
これもミスリードさせるための演出なのでしょうね。

警察が掴んでいる情報が「モーテルに残された髪の毛から、犯人は20代の茶色い髪の男性」であることと「傷口が外科医の手法のような鮮やかな切り傷」
という情報から、私はそれでもまだ、このまま「ボブが犯人でした」で終わるはずが無い、絶対もうひとひねりはあるだろうと思っていました。

旅の途中、雪道で車がスリップしてあわや崖に転落、間一髪で助かったものの、滑落のシーンは手に汗握るものがありました。

フランクの子供アレックスが誘拐されていることから、レニーがいつも背負っている大きいバックパックの中には子供、あるいは子供の死体が入っているのではないか、崖から滑り落ちそうになっている車から危険を犯してまでバックパックを取りにいったのは、そのためでは、と思っていたのですが…

結局は犯人はボブだったのですね。

ボブは最初からレニーに目をつけており、自らの犯行をレニーの仕業にみせかけようと画策したのです。モーテルの残された犯人の髪の毛は、隙を見てボブが仕組んだ手がかりの偽造だったのですね。

ボブの狙いはFBI捜査官フランクへの挑戦、彼の息子を誘拐したのも彼にしかけたゲームであり、意味ありげな暗号を随所に残し、フランクを列車へとおびき出していた…

ボブはフランクとの攻防の末、列車から落ち木に刺さって自滅するのです。

私は最後の列車での攻防戦の直前まで、やはり犯人はレニーであり、ボブは別件の殺人容疑者なのでは、と思っていたのですが…

ボブはサイコな連続殺人犯でありながら、外面は気さくで親切で優しいおじさん、誰も彼が殺人者とは思わないでしょうね。最後はタガがはずれたように友人を次々と殺していくのです。

優しいおじさんから連続殺人鬼への切り替わり方があまりに唐突で、なにかのきっかけがトリガーになり、殺人を犯してしまう、というような前提があればもっと説得力があったかもしれません。あるいはボブは二重人格だった、という設定でも良かったかもしれませんね。

ダニー・グローヴァーは「リーサルウェポン」のマータフ刑事などの気のいいおじさんのイメージがあるせいか、ギリギリまで犯人とは思えず、ミスリードさせるには良い犯人役かもしれませんね。さすが演技派らしく、陽気でおしゃべりな中に時折見せるギラッとした視線は背筋が寒くなるものを感じました。

犯人がレニーなのかボブなのか、もう少しじらして欲しかったですね。

殺人の起こった町での保安官選挙や、権力闘争は無くても良い要素だったかもしれません。サスペンスと謎解きに集中したほうが良かったと思うのです。

フランクとボブとの関係性と今までの経緯、ボブが殺人鬼になってしまった理由、なぜ子供の居場所をレニーに教えたのかなど、色々と消化不良な点があります。
やはり、ポスターでのネタバレはいかがなものかと思いますが…

この映画はデニス・クエイドが主役なのですが、完全にジャレット・レトの存在感に負けてしまっていますね。
ジャレット・レトは目元が印象的でセクシー、若い頃のブラッド・ピッドを彷彿させるような輝きがあります。

古い映画なので適当に流し見ようと思っていたのですが、ジャレット・レトが出演していたため「おっ」となり、最後まで真剣に見てしまいました。

諸事情でキャスティングできなかったものの、意外にもデニス・クエイドの演じたフランク役の第一候補は我らがスティーブン・セガールだったそうです。
セガールが演じていたらジャレット・レトの存在感に負けはしないものの、まったく違うテイストの映画になっていたでしょうね。
セガールが演じた場合、邦題は間違いなく「沈黙の追跡者」だったと思うのです。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価★★★★★
ストーリー★★★
午後ロー親和性★★★★★
流し見許容度★★

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