見出し画像

午後のロードショー「オール・ユー・ニード・イズ・キル」


公開 2014年
監督 ダグ・リーマン
公開当時 トム・クルーズ52歳 エミリー・ブラント31歳

ゲーム理論を駆使した「ループもの」作品としては秀作と言えますが、見終わった後に残る余韻や感動は皆無です。
主演をトム・クルーズにしたことがノイズになってしまい、ストーリーに集中できませんでした。

桜坂洋による日本の小説が原作であり、たまたまハリウッドのプロデューサーの目に止まったことで映画化される事になったそうです。
原作でも主人公のキリヤ・ケイジは20代の青年であり、ギタイと戦う総合防疫軍に新兵として入隊する設定になっているのですが、本作ではトム・クルーズの年齢に合わせて設定を変えています。
やはりケイジの役はヒロインのエミリー・ブラントの年齢に合わせて、無名でも20代から30代前半の俳優にした方が良かったかもしれません。

謎の侵略者ギタイの攻撃によって、人類は滅亡寸前にまで追い込まれる。
そんな中、軍の広報ケイジ少佐は最前線へと送られ、出撃しては死亡するという同じ1日を何度も繰り返す不可思議なタイムループに囚われてしまう…

軍属の報道官であったウィリアム・ケイジ少佐は、将軍の機嫌を損ねてしまったことで、地位をはく奪され歩兵として最前線に送られてしまう。
これはあまりに無理やりな設定であり、不自然過ぎて冒頭からストーリーに入っていけませんでした。

やはりここは、武器の使い方も何も知らない新兵という設定が自然と言えます。

ケイジは何度死んでもループし、入隊する時点に戻るのです。
何故「入隊する時点」なのかは不明であり説明もありません。

死んでループしても、ギタイと戦った経験値は失われずに残るのです。

ゲームのように何度もトライ&エラーを繰り返し、徐々にコツをつかんでステージをクリアしていく様子は、RPGをした事のある人なら共感できるのではないでしょうか。
舞台が戦場のため映画の大半がバトルシーンであり、死んでは生き返るループ設定が生かされています。

ギタイの血を浴びる事でループ能力を得て、輸血され体液が交換されるとループ能力を失うという設定はあまりに大雑把で理論的ではありませんね。
原作は読んでいないのですが、同じ設定なのでしょうか。

ギタイのキャラクター造形もあまりにですね。
クモのようなタコのような触手を持つ異星人にはどうしても既視感を感じてしまいます。
リドリー・スコット監督の「エイリアン」のような質感も湿度も無く、CG全開で絶望感や恐怖を感じる事ができません。
彼らがなぜ地球に来たのか、彼らの目的はなんなのか、もう少しストーリーを詰めて欲しかったものです。

ゲーム理論を駆使した作品としてはそこそこの秀作と言えると思いますが、やはり主演をトム・クルーズにした事の情報量が多すぎるため、せっかくのゲーム理論のギミックを立たせることができず、惜しいと感じます。

当初のキャスティングではブラッド・ピッドの名前も挙がっていたそうです。

興行収入を考えると彼らのような大物スターをキャスティングしたほうが確実なのでしょうね。

ラストはギタイの大ボスを倒すことですべてが丸く収まり、ハッピーエンド…

同じくトム・クルーズ主演の「宇宙戦争」のような、あることがきっかけですべてが好転し丸く収まる、という展開はやや雑と言わざるを得ません。

つじつまが合っていない部分も多々あるのですが、すべてはトム・クルーズの存在感で押し切っています。

もし人間にループする能力が備わっていたらどうなるでしょうか。
失敗したらいつでも、やり直したいと思う時点に戻ることができるとしたら…

例えば人生の一大イベントである結婚で考えてみると、しばらく一緒に暮らし合わないと思ったら出会う前の時点に戻りもう一度パートナー選びができるのです。
ループしても経験値は残るので、同じ轍を踏まないように行動することができ、人によっては実力以上の成功を手にすることができるかもしれません。
人生は有限なので、このゲームをする場合、ループした分の時間を人生から差し引くべきでしょうね。

私の場合何度やり直しても、元々の人間としてのスペックが低いため、大した高みには到達しないだろうと思うのです。
「人生」という名のゲームに勝つのは至難の業ですね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?