見出し画像

午後のロードショー「バトルランナー」


公開 1987年
監督 ポール・マイケル・グレイザー
公開当時 アーノルド・シュワルツェネッガー40歳

独裁政権に支配された近未来のアメリカではテレビだけが唯一の娯楽として許されていた。「ランニングマン」と呼ばれる生死を懸けたリアリティ番組に参加させられることとなった正義感あふれる元警官ベンの戦いを描く。

80年代アメリカ映画の空気感を感じます。

1987年の映画なのですが、舞台となっているのは荒廃したディストピアとなった2017年なのですね。

「電気を付けて!」「トーストとコーヒーをお願い!」など、アレクサのような音声認識する機能や、画像処理を施したフェイクニュースなど2022年の現在のテクノロジーを予見したようなシーンもあり驚いてしまいます。
さすがにタブレットやスマホらしきものは登場していませんでしたが…

アンバーがテレビで見ていたエアロビの鬼インストラクター、キャプテン・フリーダムは「今日もしごいてやるぞ!」「イヤって程鍛えてやる!覚悟はいいか!」など、ドSっぷりが炸裂しています。
ビリーズ・ブートキャンプが世界的に流行したのは2005年の事ですが、この頃から似たようなエクササイズビデオはあったのですね。

リアル殺人鬼ごっこともいえる狂気の番組「ランニング・マン」。
「ランナー」となった凶悪犯が、次々と送り込まれる刺客、正義の戦士である「ストーカー」に処刑されるのを視聴者が楽しむというもの。

2012年公開の「ハンガー・ゲーム」はこの「バトルランナー」にインスパイアされたのでしょうか。

武富士ダンサーズのようなレオタード姿のセクシーな女性たちのダンスシーンは80年代のテレビショーらしさがあります。
登場する女性のメイクや衣装も80年代を感じさせますね。

「ランナー」を抹殺するため次々と送り込まれる「ストーカー」たち…
アイスホッケー系のザブゼロ、チェーンソー系のバズゾー、電飾感電オペラ歌手系ダイナモ、火炎放射器系のファイアーボール。
皆、登場シーンや外見こそ派手なものの、見掛け倒しで、意外と弱いのもご愛敬ですね。

次々と登場するクセの強い刺客はプレステのゲーム「メタルギアソリッド3」を思い出します。

この映画はシュワルツェネッガーの肉体とアクションを堪能する映画ですね。黄色の全身タイツに身を包んで戦う彼なのですが、間抜けさはみじんも無く、肉体の説得力が全身タイツの情けなさを凌駕しているのです。

マスメディアの影響力、それに操られる民衆の愚かさ…。 メディアに対する皮肉が随所に込められています。
公開当時はかなりの話題作だったのですが、午後ローで改めてみるとB級感が否めませんね。

殺し合いを民衆が娯楽として楽しむというのは、ローマ帝国時代の剣闘士の戦いから脈々と続いているのですね。
人間同士が殺し合うのを高みの見物で楽しむ…。 人間の内に潜む残虐性を満たす究極の娯楽とも言えます。

人気テレビ番組の「逃走中」なども、仲間とのチームワークよりも賞金獲得を優先したプレイヤーなどはSNSで炎上しボコボコにされるそうですね。
リアリティ恋愛番組「バチェラー」や「テラスハウス」など、やはり人間と言うのは演技ではない、リアルな人間の醜さや愚かさを垣間見るのが好きなサディスティックな生き物なのですね。

私の子供の頃などはテレビはまさにメディアの王者であり、そこから発信される情報は同世代の共有体験ともいえるものでした。
現在はユーチューブや有料配信などにエンターテイメントの主戦場はとって変わられている感があります。
テレビがメディアの王座から陥落する時代が来るとは、当時は考えもしませんでした。

この映画は近々「ラストナイト・イン・ソーホー」「ベイビー・ドライバー」の監督エドガー・ライトによってリメイクされるそうですね。
天才エドガー・ライトによるリメイクは弥が上にも期待が高まりますが、シュワルツェネッガーの存在感を上回る主演俳優をキャスティングするのは難しいでしょうね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★
流し見許容度★★★★
午後ロー親和性★★★★★

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?