募集牌譜検討_20240906_雀豪1_匿名希望さん

先日Twitterで牌譜検討を募集し、ご依頼があったので検討していきます。

具体的には牌譜をNAGAで解析し、私自身の選択および解説とともに、カテゴリと重要度(A, B, C)を記載していきます(カテゴリと重要度は主観)。
全ての選択を検討するわけにもいかないので、主観的に重要度C以上のものを取り上げます。

なお今回は初回なので、奮発してNAGAの全タイプで解析しました。
ただ紙面の都合上、取り上げるのはニシキとガンマに絞ります。

ではさっそく見ていきます。


東1局0本場-東家-25000点-トップ目

5巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:B

打ち手:打2m
かにかま:打4m
ニシキ:打4m
ガンマ:打4m

受け入れ枚数は同じですが、4mを切っておくことで白を鳴いたときに2mを雀頭にすることができます。
序盤は特に、どこで4面子1雀頭 & 1役を作るのかを意識しながら選択しましょう。

10巡目

カテゴリ:副露判断、副露ケア
対面の6mをポンするか
重要度:A

打ち手:ポン打7m
かにかま:スルー
ニシキ:スルー
ガンマ:スルー

巡目が深くなってきたので、どうにかテンパイを取ろうとポンしたのだと思われます。

しかし対面が3900以上確定からの打6m。
ここでポンして切り出す7mは結構危ない牌です。

それでも鳴いてテンパイが取れるならともかく、愚形含みの白バック一向聴。
端的に言って "間に合っていません" 。
ここで自分が「後手を引いている」ということを認識できるかどうかが、中盤以降の選択では重要になってきます。
ここはスルーして、6mを現物として持つか、58m引きで7mを切らずに済むルートを構築しましょう。
基本的にはオリ寄りの局です。

なお、対面の打6mは手出しですが、ここで手出しかツモ切りかを見逃してもあまり関係ありません。
6mが切られたという事実が既に危険領域ということです。

17巡目

カテゴリ:待ち取り、押し引き、副露ケア
重要度:A

打ち手:打5p
かにかま:打1p
ニシキ:打1p
ガンマ:打1p

先ほどの局面から6mと白を鳴いてテンパイしています。
待ちとしては当然カン4pよりカン2pの方が強いです。
ただし下家と対面が(おそらく)タンヤオ仕掛け、特に下家に5pは両無スジ、残り巡目も少ないことから、1pツモ切りで安全にテンパイを維持します。
終盤は和了率よりも放銃率の低い選択を心がけると成績が安定します。

東2局0本場-北家-25000点-2着目

2巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:B

打ち手:打發
かにかま:打1m
ニシキ:打1m
ガンマ:打1m

端牌と孤立役牌の比較です。
まず、序盤は「この手はなんの役で和了るのか?」をぼんやりと考えます。

この手はオタ風の暗刻があるため喰いタンは難しそうです。
リーチできればいいのですが、対子が多いためその分テンパイまでの受け入れ枚数が少なくなります。
よってここでは役牌を残し、リーチ or 役牌 の両天秤で進めます。

このように対子が多い、鳴きづらい手牌では役牌残しの価値が高まります。
明らかに平和が見えている場合などは役牌を先に切ることもありますが、基本的には 孤立役牌 > 孤立19 と覚えておくのがよいでしょう。 

4巡目

カテゴリ:押し引き、ベタオリ手順
重要度:A

打ち手:打東
かにかま:打2p
ニシキ:打2p
ガンマ:打2p

対面からリーチが来ました。
二向聴・低打点・安牌豊富なので、ここはベタオリして完全撤退します。
ベタオリするのであれば現物の2p一択です。
東は生牌字牌なので放銃率は3%程ですが、この3%のリスクすら取りたくない局面です。
2pを切ったら次は南の暗刻落とし、その後は中スジの5p対子落としで凌ぎます。

自分の手牌価値が低い状態で後手を引いたときに、ラフ押しせずにしっかりオリれるようにしましょう。

東3局0本場-西家-25000点-2着目

5巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:B

打ち手:打白
かにかま:打東
ニシキ:打東
ガンマ:打東

ターツはありますが面子はなく、愚形が多いため不安定な手です。
門前だけでなく役牌を重ねての鳴きも視野に入れ、2枚切れの東から処理しましょう。

ヒバカリは白にも少しバーが伸びているので、ヒバカリや黒沢プロレベルで門前にこだわるのであれば打白でもいいかもしれません。
特にこだわりがなければ打東が安定です。

東3局1本場-西家-25000点-2着目

3巡目

カテゴリ:牌効率、序盤の手組み
重要度:A

打ち手:打6p
かにかま:打1m
ニシキ:打1m
ガンマ:打1m

ターツは足りていますが、対子が多いため6pのくっつきを見たい局面です。
このように序盤かつ他のターツが不安定な場合は、好牌先打より変化を見ます。
中盤以降になるにつれ、変化より安全優先になっていきます。

3巡目

カテゴリ:副露判断
対面の南をポンするか
重要度:B

打ち手:ポン打1m
かにかま:ポン打1m
ニシキ:ポン打1m
ガンマ:ポン打1m

白バックになりますが、ここで鳴いておかないと和了が厳しそうなのでポンします。
ただしこれが南3以降であればスルーして、安牌として持っておくのも悪くないと思います。

東4局0本場-南家-22900点-2着目

5巡目

カテゴリ:先切り、安牌残し
重要度:C

打ち手:打5p
かにかま:真面目に打ってるときは打4m、手癖で打ってるときは打5p
ニシキ:打4m
ガンマ:打4m

先切り判断です。
4mと5pの比較ですが、まずは5pではなくもっとわかりやすい安牌(例えば4枚目の發など)で考えてみます。
この場合はざっくり、
・456牌は5〜14巡目までは先切り有利
・2378牌は8〜13巡目までは先切り有利
となります(『現代麻雀最新セオリー』p.14より)。
なのでこの場合は打4mとなります。

それに対し5pは安牌と言えるほどではありませんが、副露している対面の中スジであり、親の片スジでもあり、4mよりは "多少マシ" な牌となります。
なのでここらで4mを先切りして、もっと安全な牌を引いたら5pと振り替えて…とするのがいいと思います。
いいと思いますが、私も時折何も考えずに5pを切ってしまうかもしれません。

ただし、玉の間では先切りはそこまでの重要項目だはないため、重要度はCとしておきます。
別に打5pでぶくぶくに構えても問題ありません。
それよりもっとシンプルな牌効率や押し引きが重要になってきます。

11巡目

カテゴリ:押し引き、副露ケア
重要度:B

打ち手:打7p
かにかま:打8p
ニシキ:打8p
ガンマ:打8p

対面が2副露で河も濃く、大体テンパイしてそうな雰囲気です。
対してこちらは一向聴。これは「後手」と見ていい状況です。
さて、7pそのものは対面には結構通りそうに見えますが、一応現物ではありません。
加えてテンパイした場合、更に3mか4mが出ていきます。

こういうときは一旦まわります。
現物の8pを切っても一向聴は維持できますから、その後テンパイしたら押し、更に危険牌を掴んだらオリになります。
後手の一向聴からまっすぐ押しすぎると放銃率、ラス率が全然下がらなくなってしまうので、これぐらいの局面になったら注意深く立ち回りましょう。

12巡目

カテゴリ:押し引き、オリ手順
重要度:B

打ち手:打5p
かにかま:打8p
ニシキ:打8p
ガンマ:打8p

先ほどの場面から7mをツモって撤退に入るところです。
5pと8pは両方対面と上家の現物ですが、こういうときは雀頭の8pから落とします。
この後運良く7mを重ねれば、もしかしたら押し返せる手牌になるかもしれません。
また押し返せなくとも形テンが取れるかもしれません。
8pが現物でなければ手牌破壊で5pを抜いてしまって良いのですが、安全度に差がなければなるべく手牌を維持したままオリましょう。

東4局1本場-南家-16900点-3着目

5巡目

カテゴリ:副露判断
対面の4sをポンするか
重要度:A

打ち手:ポン打1m
かにかま:スルー
ニシキ:スルー
ガンマ:スルー

せっかく4s雀頭でメンタンピン赤の満貫が見えている良手牌ですが、ここでポンすると2000点の喰いタンに成り下がってしまいます。
オーラス和了トップであればともかく、前局親にツモられ3着目。
2着目に浮上するのは満貫ツモが必要で、かつこの早い巡目でポンしてしまうのはあまりにもったいなさすぎます。
「満貫を見込めるときは積極的に狙う」が麻雀の基本ですから、ここはグッとこらえてリーチまで持っていきましょう。

南1局0本場-東家-16500点-3着目

3巡目

カテゴリ:副露判断
上家の8sをポンするか
重要度:B

打ち手:ポン打東
かにかま:下家の8sをポン打東。下家が8sを切ってなければ上家の8sはスルー
ニシキ:スルー
ガンマ:スルー

チートイ、トイトイ、喰いタン、役牌あたりが役候補となります。
私は(カガシも)下家が8s切った時点で鳴いてトイトイか喰いタンに持っていきますが、あまり万人にはオススメしません。
特に副露派でなければスルーしてチートイ狙いが安定です。

副露判断というよりは、下家の8sを見逃して同巡の上家の8sをポンするのがどうもブレているように感じました。
鳴いてしまうと和了役が限られてしまうので、この時点で和了役の構想ができていないのであれば、副露判断は全スルーしてリーチを狙いましょう。

5巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:A

打ち手:打9s
かにかま:打4s
ニシキ:打4s
ガンマ:打4s

先ほどの8sポンから僥倖の南ツモでトイトイが見えてきました。
トイトイが狙える & 8sが壁で9sが鳴きやすいので、ここは24sのカンチャンを外します。
ここでカンチャンを外さないと和了役が南バックに限定されてしまい、打点的にも待ち枚数的にも不利になってしまいます。

南1局1本場-東家-19400点-3着目

2巡目

カテゴリ:牌効率
重要度:A

打ち手:打9s
かにかま:打9p
ニシキ:打9p
ガンマ:打9p

孤立19牌同士の比較です。
6pを持っている分ピンズのカバーが効くので9pを先に切ります。
46を持っている場合の19はだいたいのケースで優先的に切ってしまって構いません。

6巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:A

打ち手:打6p
かにかま:打8p
ニシキ:打8p
ガンマ:打8p

68pを外す構想は同じですが、6pから切るとチートイの目がなくなります。
現状4対子、中のみでは打点的にも不満ですから、チートイの種は残しておきましょう。

7巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:A

打ち手:打5s
かにかま:打8p
ニシキ:打8p
ガンマ:打8p

前巡に6pを切り、8pが完全に不要牌となっています。
対して5sはドラ受けでもあり、4sツモでも両面が残るので、うまくいけば中を対子落とししてリーチ平和が狙えます。
8pとは価値が天と地の差なので先に8pを切ります。

9巡目

カテゴリ:副露判断
上家と2pをポンするか
重要度:C

打ち手:ポン打8p
かにかま:ポン打8p
ニシキ:スルー
ガンマ:スルー

悩ましいですが、巡目が結構深いので渋々ポンして中バックを狙います。
が、もう少し粘りたいニシキ、ガンマの気持ちもわかります。
この辺りがボーダーということだけ押さえていただければ。
鳴いた後の手組みや押し引きに自信がなければスルー安定です。

11巡目

カテゴリ:押し引き、安牌残し
重要度:B

打ち手:打南
かにかま:打2s
ニシキ:打2s
ガンマ:打2s

上で2pをポンしたため中バックに決め打ちます。
唯一14sを引いたときの形テンだけは逃しますが、この巡目ではまだ形テンのことより放銃しないまま進めることの方が100倍重要です。
安牌を持ちつつ、中ポンか58mチーで安全にテンパイを取れるようにしましょう。

南2局2本場-北家-16400点-3着目

2巡目

カテゴリ:牌効率、和了形の構想
重要度:A

打ち手:打白
かにかま:打1p
ニシキ:打1p
ガンマ:打1p

愚形が多く門前テンパイできるかが微妙なため、役牌の白を残します。
仮に1pを切らなかったとしても先にオタ風の西を切りましょう。
1pと西の比較はそこまで重要ではありませんが、オタ風より先に役牌を切るのはほとんどのケースでギルティです。

南3局0本場-西家-16400点-3着目

2巡目

カテゴリ:牌効率、孤立牌比較
重要度:B

打ち手:打發
かにかま:打南
ニシキ:打南
ガンマ:打南

連風牌と通常役牌の比較です。
自分が連風牌(ダブ東、ダブ南)の対象なら連風牌を残しますが、そうでなければ連風牌を先に切ります。
対象者が重ねる前に切るというのもありますし、いざ連風牌が待ちになったときに通常役牌より少し弱いというのもあります。

5巡目

カテゴリ:副露判断、和了形の構想
上家の5sをチーするか
重要度:A

打ち手:チー打9p
かにかま:スルー
ニシキ:スルー
ガンマ:スルー

チーして喰いタンを狙うには残った形が不安定すぎ、鳴きが速度上昇に寄与しません。
25sはまだ急所でもなく、8p引きで面子ができる可能性も潰れてしまいます。
まだ門前テンパイの可能性を捨てるほどではないので、もう少しツモを見てから方針を決めましょう。

検討対象は以上です。

総評

優先度A

  • 和了形の構想が不明瞭な場面が多いと感じました。どこで4面子1雀頭 & 1役を作るのかを考え、門前テンパイが難しそうなら役牌残しも視野に入れましょう

  • 鳴いた後の構想が不明瞭だったり、打点を大幅に下げてしまう場面が見受けられました。よっぽど自信のある鳴き以外はスルーでいいと思います。門前テンパイさえできればあとはリーチするだけなので

優先度B

  • 中盤以降の副露ケア、ダマケアの意識が薄そうな箇所が見受けられました。自分が今先手を取れているのか後手を引いているのかを客観的に認識しましょう。後手を引いたときは手牌価値と相談し、なるべく引き気味に立ち回りましょう

  • リーチに対するベタオリ手順が確立してないように感じました。安全度の高い順に切れるようになりましょう

以上です。
打牌選択や押し引きの大まかな基本はできているので、特に和了に対する嗅覚を鍛えると成績がグッと伸びると思います。

またリーチ判断は今回の半荘からは読み取れず評価できませんでした。ご了承ください。

この度はご依頼ありがとうございました。


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