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【心理の小窓#1】同性の友人3人組の友人関係

#1は同性の友人3人組の友人関係について書いていきます。
では早速ですが、以下に事例を紹介します。

ケースⅠ :ハルさんの場合

ハルさんは中学2年生です。

ハルさんはとある悩み事を抱えていました。
というのも、小学生の時から仲良くしていたマイさんとカホさんと良好な関係が築けていないのです。
ハルさんとマイさんとカホさんは同じ団地に住んでおり、幼稚園から一緒の幼なじみです。

中学校に上がり、ハルさんとマイさんは同じクラスでしたが、カホさんは違うクラスになってしまいました。しかし、マイさんとカホさんは吹奏楽部、ハルさんは卓球部に所属することになり、帰宅はバラバラになってしまいました。

3人の部活には朝練がなく、朝の通学は3人一緒ですが、徐々にハルさんはカホさんとマイさんの会話についていくことが難しくなっていき、共に通学することを苦痛に感じるようになってきていました。

ハルさんはマイさんとカホさんとそれぞれ2人きりなら仲良く話すことができるのに、3人になるとそれができなくなるのは何故なのかと悩んでいます。

事例の解説

同性3人でいると、なぜか2人が特に仲良くなる、という場面をみなさん一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

ではなぜ2人が特に仲良くなってしまうのでしょうか。

まず、あなたに質問です。
友人関係を築く上で、まず何をしますか?

そうですね。自己紹介とか、色々とやることがあるでしょう。
では自己紹介の後は?

相手との会話を広げようとするかもしれません。
そのためには、相手の話に関心を持ち、質問をするかもしれませんね。


これらをまとめて、関係形成行動と呼ぶことにします。
関係形成行動では、相手と会話をするために自分が共感できる話題、つまり相手との共通点を探そうとします。
これは何人の友人関係を築くとしてもまず最初に取ると考えられる行動です。

その共通点は、同じ環境に属しているということかもしれませんし、共通の趣味かもしれません。

その後、様々な要素が入り混じりながら友人関係の人数は増減していきます。
それが3人になっていった。というのがハルさんの事例ですね。


ここから2人が仲良くなるという状況を完成させるにおいて、重要な意味を持つのが、外的要因内的要因です。

外的要因は主に環境などに影響を受けます。事例で例えるならマイさんとカホさんの部活が同じといったところでしょうか。

部活は学生生活の中でも大部分をしめます。それが同じというのはその環境の影響も大きいのではないかと考えられます。

内的要因を簡単に説明すると、「その子の友人との付き合い方」です。
心理学の研究では友人との付き合い方について幾つかの種類があることが明らかになっています。

心理学の研究者である落合良行さんと佐藤有耕さんの研究によると、友人との付き合い方には①自己防衛 ②同調 ③全方向性 ④被愛願望 ⑤自己自信 ⑥積極的相互理解の6つがあることがわかっています。

これらの組み合わせが3人組の成立に関わっていると考えられます。
では、どうすれば3人組が成立するのでしょうか。

まず、3人組が成立しない例について考えてみましょう。
例えば、1人が同調の性質が強かった場合、度の過ぎた同調は依存に繋がります。
そうすると2人の関係が形成される可能性が高いでしょう。
また、1人が全方向性の性質を持っていれば、いろんな人と話すのを少し寂しく思ってしまう可能性もありますね。

それぞれの付き合い方にはいいところも悪いところもあります。
色々な付き合い方があることも人間関係の面白さではありますが、人付き合いではバランスを上手に保っていくことも求められるでしょう。

要するに3人組を成立させるには3人それぞれが絶妙なバランスを維持していく必要があるのです。
一言でまとめると、とても難しいことです。

この関係が辛い、今すぐなんとかしたい。そう思うのであれば、関係性から逃げるというのも1つの手だと思います。
筆者もこの関係に頭を悩まされたことがあるのですが、この関係性をひたすら避けることによって解決させました。

とはいえ、そう簡単に逃げられるものではない、という方もいるでしょう。
そんな方はぜひ、カウンセラーに相談してみてください。
きっと話を聞いて、なんとかしようと働きかけてくれると思います。



人間関係では答えのないことも多く、頭を抱えてしまうことも多いと思います。
このコーナーではなぜそんなことが起こるのかを分かりやすく解説することを心がけています。
このnoteが何かの参考になれば嬉しいです。

最後になりましたが文中で紹介した研究について、この研究が記された論文を文献として上げておきます。
もし、もうちょっと詳しく読みたいと思った方はぜひ調べてみてください。

落合良行・佐藤有耕(1996)青年期における友達とのつきあい方の発達的変化
教育心理学研究 44巻 p.55-65

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