いつもの朝にキスをして

キスで彼女の朝が始まって
キスで彼の朝がやってくる

     コーヒーを沸かしながらキスをし
    トーストを待ちながらキスをする
     服を選びながらキスをし
     着替えながらキスをする
     仕事に出かけると言ってキスをし
     そして久しぶりに美容院に行ってくると言       ってキスをする
     ドアを開けたらキスをし
     車が走り出せば投げキッスをする

激しいタイム・レースが一時的に止まる時    彼は以前からうすうすは感付いていたことに気が付いた
自分からのキスが0(ゼロ)に近づいているのだ   と
そして
その逆算を彼女が仕始めるのはいつだろうか      と
もうそろそろ…いや、それは  ある日  突然に

ちょうどその頃ある美容院では一人の女性が鏡の前で決心とも思えるようなため息を何度も自分に言いきかせていた


      

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