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怪説~モノノケガタリ~第12話

惟嶺
「この感じ…違和感だらけです。」
千里
「私があの世と呼ぶものとは異質なものを感じます。」
沙彦
「もしかしてだけど…力技でやり過ぎたか…」
響子
「普通なら鬼が出るか蛇が出るかと言う所だと思いますが…
 どうやらそうした手合いではなさそうですね…
 でも言葉が通じないというわけではなさそうです。」
「丁寧にメッセージを送ってきていますから…」
沙彦
「俺は何も感じないんだけど…」
惟嶺
「それはこの術式に沙彦さんが関わっていないからだと思います。」
沙彦
「俺だけ蚊帳の外って訳かい…」
響子
「しょうがないですね…
 送られてきたメッセージ代読しますから聞いていてください…」
沙彦
「分かったよ…大人しく先方のメッセージを聞かせて貰いますかね…」
響子
「初めまして…
 異世界の方々…
 こちらは…
 サリファ・エルデガルドと申すもの…
 恐らく…
 そちらは…
 東洋の日本と呼ばれる地域らしいな…
 そちらの年数から行けば約100年ぶりの逢瀬ともなろうか…
 言葉遣いもいささか少し前のものが交じるとは思うがよろしく頼む…
 この度は力技とは言え…
 面白い事をしてくれた…
 友好的か敵対的かはともかくとして…
 取り敢えず顔合わせと言うか手合わせを願いたい…」
「…との事です。」
沙彦
「来ましたね…
 明後日の方向への展開が…
 これが結果的に何をもたらすのかなんて全くの未知数だよな…」
響子
「仕掛けた貴方が何を能天気な事を言っているのですか…
 惟嶺さんや千里さんが無事なのは良かったですけど…」
沙彦
「友好的に接してくれるのなら…
 僕らの世界軸からでは見えない何かを…
 手掛かりは見つけてくれそうな気がするけどね…」
惟嶺
「案ずるよりも産むが易しとも言います。」
響子
「言いたい事は分かりますけど…時代錯誤なことわざですよね…」
千里
「そういう堅苦しい事は言わずに…
 とにもかくにも…
 あちらの方々に会ってみようじゃありませんか…」

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