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怪説~モノノケガタリ~

十見沙彦(以降…沙彦)
「何やら…
  靄がかかっておるようだな…」
一欠惟嶺(以降…惟嶺)
「別に何も可笑しな事はなさそうですけど…」
御津響子(以降…響子)
「見た目はともかく…
  この声とも音ともつかぬ…
   妙な響き…
    何かいますね…」
沙彦
「周囲の景色に溶け込んでいるのか…」
「これは…
  目にばかり頼ると分からぬな…」
「風や木々として紛れ込んでいるのであろう…」
「怯えて出てこないのなら…
  それで良しなのだが…」
響子
「どうも…
  獲物を探している節が…」
沙彦
「こうなってしまうと…
  言解(ことほ)ぎも難しいであろうな…」
惟嶺
「勘弁してくださいよ…
  毎度毎度…
   まるで撒き餌扱いじゃないですかー」
沙彦
「お前の場合…
  今のところ…
   それくらいしか役立っていないだろうが…」
響子
「これでも感謝しているのよ…
  以前に比べると…
   向こうからやって来てくれて…
    随分と探す手間省けているのですから…」
惟嶺
「響子さんがそう言うなら…
  仕事を手伝うのもやぶさかではありませんけど…」
沙彦
「もう少し…
  いや…
   止めておこう…
    取りあえずは当分…
     この組み合わせで行く…」
惟嶺
「途中で言うのを止めて…
  気持ち悪いじゃないですか…
   言いたい事があるなら…」
沙彦
「来たぞ…
  小手調べと言うか…
   ちょっとあおってみるか?」
〈ブオン!!〉
惟嶺
「もう嫌だ…
  こんなのーーーー」
沙彦
「ここまで鉄板の展開だと笑えてくるな…」
惟嶺
「つべこべ言わずに助けてくださいよーーーーー」

「ハムマム…」
沙彦
「喜べ…
  まだまだ幼体のようだ…」
惟嶺
「甘嚙みされていると言っても痛いんですよ…
  こっちは…」
響子
「沙彦様…
  まだ言祝ぎ間に合いそうですよ…」

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