お気に入りの屋上で… 第6話
最近…
どうも歌が下手になっている気がする。
かつて、
屋上は閑散としていたので、
気晴らしに上って…
人知れず歌の練習とかもしていたものだ。
でも…
最近は屋上で食べたり、
会話に勤しむメンバーも増えてきたので…
下手になってきた自分の歌声を聴かれたくはないのだ。
力任せに歌うものではないが…
やはり、
声帯も筋肉である。
鍛えられる時に鍛えておかないと簡単に衰えていく。
かと言って大会がある訳でもないのに…
カラオケボックスへ行って一人カラオケしに行くのも気が引ける。
とは言え…
同僚を誘うのも何となく今は嫌だ。
仮にも町内や学園祭でのカラオケ大会で…
上位入賞したプライドが許さないのである。
聴かせるからには、
ある程度、
仕上げた上で誘いたい。
でも、
そんなカッコつけだから、
友人も少ないのだろうし、
恋人が出来た例がないのだろう。