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稽留流産の記録【02】

紹介状を握りしめて、次の病院へ向かうバスへ乗りました。
バスは産科のある大きな病院の前や、小学校の近くなどを通るため、
途中の停車駅でベビーカーに赤ちゃんを乗せたお母さんや
小さい子どもたちが大勢乗ってきました。
なんだかずっと夢のようでした。
ほんの数十分前まで、私はあのひとたちに、
未来の自分を重ねていたでしょうから

病院へついて、受付に紹介状と健康保険証を出しました。
受付の方に
「はじめてですか?」
「今日は何の来院ですか?」
と聞かれ、
「他院で稽留流産と診断されまして、
流産手術の診察をこちらで受けるように紹介状を書いていただいたので」
と答えました。
受付の方は、ふーん、といった顔をして、
なんだかとても冷たい印象を受けました。
中規模の大きな病院だったので、そんなものなのかなと思いましたが
ちょっとささくれた心に刺さってしまいました笑

問診票を一通り書いて提出したら、
二十分か三十分ほどで診察室に呼ばれました。
先生もまた冷たい感じなのかなあと思ったのですが、
先生は丁寧に診察してくださいました。

先生は紹介状を読みながら、ことの経緯を私にたずねられ
前回の診察では心拍があったことや、
ピンク色のごく少量の出血がここ数日あること、
今日の診察で心拍がとまっていたことなどをお話しました。

先生は、またこの病院で内診をしてみて
それでもやっぱり同じ結果だったら、
流産手術の手続きを進めましょうと仰って、
内診台の方へ移動しました。

二度目の内診でもやはり心拍は見えず
今度は「赤ちゃんがぼやけてよく見えないよね」とも言われました。
大きさをはかっていただいたのですが
やっぱり輪郭がぼんやりして、
はっきりした大きさがわからないとのことでした。

一つ前のクリニックで頂いたエコーと比べても
大きさの数値には大分揺れがありました。
稽留流産との診断が確定的になり、
内診台から降りて再び診察室に戻りました。

流産手術は吸引法と呼ばれる方法で行うことや
それでも内容物を取りきらない場合は掻把法でとりきること
極稀に子宮穿孔といって、子宮に穴があいてしまい
その場合は開腹手術をして穴をふさぐこと
輸血の可能性があること、場合によっては再手術することもあること
今日はこのあと、尿検査、血液検査、心電図、身長体重、レントゲンを
撮影することなど説明していただきました。

ひとむかしまえには、流産手術というか、中絶手術というか
こういった手術をすると
不妊になることがあると聞いたことがありますが、
いまはそういう問題はないのでしょうか?と質問しました。
子宮穿孔になった場合に、
妊娠しにくくなってしまうリスクはあると伺いました。

診察の後、看護士さんに呼ばれ
手術や入院の案内、血圧や血中酸素濃度などをはかりました。
「びっくりしちゃったでしょう」
と声をかけられて、
「そうですねえ」
と笑いながら受け答えしていたのですが
「ほんとは今頃、母子手帳をもらっているはずだったんですよ」
と笑い話みたいに話そうとして
涙がブワッと溢れてきました。
看護士さんはティッシュ箱を出してきてくださって
泣いたほうがいい! と慰めてくれました。

自分から誰かに赤ちゃんのことを話すと涙が出るので
もう言わないほうがいいなあと思いました。

初めての妊娠、初めての稽留流産のため
流産原因を探るための検査(10~15万ほど)は
やらないことにしました。
初めての稽留流産ではみんなやらないほうを選択するそうです。

看護師さんに、流産したあとは妊娠しやすいのよ、と
子沢山のおうちでも、言わないけど流産を経験していたりするのよ、と
元気を出せるように色々とお話をしてもらいました笑


つづきます

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