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命が戻ってきたと思ったあの日

ガンかもしれない!からの行動

2012年のこと。
私は、子宮体癌の検査を受けることになった。

半年間ずーっと生理2日目状態の出血が続いていて、子宮に腫瘍があることが判明。
内膜の状態から、癌の可能性か高いと言われた。

お医者さまから「なんで半年も放っておいたの?」と叱られたよ。
当然だよね、生理2日目状態がひと月も続けば、誰でも病院へ行く。
それを半年も放っておいたんだから。

私は結婚してから、毎日神様に祈っていた。
「一日でも早く死なせてください」と。
だからね、自分を助けるつもりはなかったの。

ただ自分はどんな病気で、余命はどれくらいなのかを知っておきたかった。残された命の中で、やり残したことがないようにしたかったから。
それで病院へ行ったのだ。

だからね、お医者さまには、検査結果で癌だとわかっても、治しませんと伝えていた。
たぶん、冗談だと思われていたと思う。

癌の可能性が高いと言われた私は、もうすぐ死ねると、安堵していた。
やっと、我慢だらけのこの苦しい人生が終わる。
もうこの辛さから卒業できるんだ!よかった!
私は精一杯、夫と息子のために頑張って生きた。
よくやったよ、本当にえらい!えらい!
そう自分を労って、清々しい気持ちで、病院の窓の向こうに広がる青い空を見上げた。

そして、会計を待っている間に、いろんなことを高速で考えていた。

これから、やらなきゃいけないことは何か。
これから、やらなくてもいいことは何か。
そして、残りの人生で、自分だけのために、やりたいことは何かを考えた。

やらなきゃいけないこと。
残される息子が一人でも暮らせるように、家事を教えてあげようと決めた。夫が家計を管理できるように、毎月の支払や家のローンのことなどをまとめ、家のあちこちを整備しておこうと決めた。

やらなくてもいいこと。
残りの人生、嫌だと思うことは、ひとつもやらないでおこうと決めた。
辛い体にムチ打ってまで、家事をするのもよそうと決めた。
疲れたら、休もうと。

そして、自分のためだけに、やりたいこと。
世界を見たいなと思った。

結婚してから旅行したといえば、新婚旅行でハワイに行って、息子が小学生の頃に東京ディズニーランドへ行っただけ。

夫は仕事柄、世界のあちこちへ行ってたし、
息子は、空手の全国大会で東京や大阪へ行ってたけれど、
私はいつも家で留守番していた。

ああ、私は、それがうらやましかったんだと気づいた。
私も、沖縄からどこかへ旅したかったんだと。

だからね、病院の会計を済ませたその足で、旅行会社へ行って、ヨーロッパ7か国周遊ツアーに申し込んだの。
検査が終わって1か月後なら、検査結果も出てるし、まだ体も動けるはずだと思ったから。

誰も誘わず、ひとりで申し込んだよ。
誰かのスケジュールに合わせる時間なんかないと思ったし、誰かに気を遣う時間がもったいないと思ったから。

主婦の私に旅行代金なんかない。
もういらないからと、個人年金保険を解約して、旅行代金にあてた。

ローテンブルクにも行ったよ

人生最後の旅行にワクワクしたら起きたこと

それからは毎日、ヨーロッパ旅行のパンフレットを見ながら、ウキウキで暮らした!
子宮体癌検査への恐怖も無くはないけれど、一日でも早く死にたい私にとっては、死への通過点でしかないという認識だった。

文学賞に挑戦した小説で描いたアレッチ氷河が見れる!
アルプスの山も、パリの街も、モンサンミッシェルも!
ローテンブルクって、どんな街だろう!
それを考えるだけでワクワク!

そのうちに、検査の日が来た。
お医者さまが、あれ?という顔をしていた。
腫瘍が半分になってると。
まあでも検査しましょうと、検査をした。

麻酔がちっとも効かない中、子宮内膜全剥離の非常に痛い検査だった。
けども、検査後はどんどん体調が良くなって、なんと出血もピタリと止まった。
貧血でフラフラし、常に下腹部に鈍痛がある状態から脱して、体調もすこぶる良くなった。

3週間後にはヨーロッパ旅行!
何を着て行こうかな?
バッグは何にしようかな?
旅行準備の買い物をするだけで幸せいっぱい!

臨死体験をしていたから、あんまり死ぬのは怖くない。
白い光の世界へ戻るだけだと知っているから。

ワクワクして幸せを感じているうちに、検査結果が出たということで病院へ。
結果は「良性」。
腫瘍は跡形もなく消えていた。
お医者さまが、首を傾げていた。

やっと死ねると安堵していた私だったのに、命が戻ってきたと思ったら、とてつもなく幸せを感じていた。
晴天の空に輝く太陽を見上げたら、笑いがこみ上げてきた。

私、本当は、生きたかったんだなと思った。
ワクワク幸せな毎日なら、私も生きたいと思うんだなと。

約一週間後、私はとてつもなく幸せを感じながら、ヨーロッパへ旅立った。
健康な体で。

今、思うとね、癌の可能性が高いと言われた後で、ヨーロッパ旅行へ申し込んだのがよかったと思う。
いつも家で留守番をしていた主婦の私が、はじめての一人旅で、しかも憧れていたヨーロッパ旅行!

わあああ~~~!
一体どんな旅行になるの~~~!!!
と頭の中がほぼパニック状態に近いくらいに、ワクワクと良い気分で埋めつくされていたの!

ヨーロッパ旅行に思いをはせる時は、ヨーロッパ各地を元気に歩き回る自分を想像していた。
んで、その通りになった。
ワクワクと良い気分が、健康で元気な私を引き寄せたんだと思う。

号泣しながら見つめたアレッチ氷河

自分のためだけに「やりたいこと」


結婚してからの私は、夫と息子のために自己犠牲で生きていた。
だから、自分のためだけに「やりたいこと」なんて考えもしなかった。

そんな私でも、
もしかしたらガンかもしれない。
私の命は、もうすぐ消えるかもしれない。
そう思った時、やっとこさ、命の残り時間で自分のためだけに「やりたいこと」をやりたいと思った。

でもね、自分のためだけに「やりたいこと」って、死ぬ間際でやればいいことじゃない。
生きているなら、どんなタイミングだろうとやっていいことだよね。
だって、自分がいつ死ぬのかなんてわかんない。
人が明日も生きられる確率は50%だ。

「いっぺん死んでみるWS」では、死ぬ間際の心境になって、
自分のためだけに「やりたいこと」を知ることができます。
ぜひぜひ、みつけに来てね!

開催のご案内

「いっぺん死んでみるWS」
リアル会場・オンラインどちらでも可能です
お問い合わせ・ご依頼はこちら
makoto15moon@gmail.com

受講料
¥19,800(税込)

ご準備いただくもの
◆筆記用具

<オンライン開催はこちらもご準備ください>
◆メモ20枚(付箋でも可)
◆便箋またはノート
◆印刷していただく書類があります

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