![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/97852159/rectangle_large_type_2_ab22a0961ed7eea92586c1304e1ae439.jpeg?width=1200)
夜空の光る月が今日は何故か泣いて見える。
路上に散乱するゴミを拾い、餌にする人達
炊き出しには近くのボランティアがやって、人だかりになってる
電車からサラリーマンと思わしき人達は、
新聞やスマホ片手に、斜に見てひけらかす。
凄いねあれ、どうして、生きる資格あるの?
見苦しいな。クラウドファウンディングで生活支援してやれよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どーして、今日来れないの?
明日じゃ無理だよ、部活あるから。
中学生の洋子は、友人にドタキャンされ、
たったまま携帯をいじり回してる。
おい、邪魔。そこはゴミ捨て場だから、
違うとこ行きな。
通りすがりの現場作業車に、
クラクションを鳴らされる洋子。
ごとん、ごとん。
電車が通り過ぎる音が煩く響く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
時間は、いつも通りの日常に、
時計台の針は、九時を刺している。
魚片手に持って歩く婆さんも、
下駄履いて飲み歩く男達も、
制服に制帽かぶり本読む学生も。
全て時計台の針は見てきた。
皆好き勝手に生きる、スマホの中に答えがあるかのようで、この時計台の針も月も、それ自体に答えがあると皆思わなくなった。
ーーーーーーーーーーーーーー
中学生の洋子は、遠くに見えたあの景色を今思い出した。それは、父さんと母さんが手に繋いで、夕陽を浴びながら私を連れて仲良く歩く光景。もう居なくなってしまった父さんとの唯一の思い出。この月夜に誰もが同じ心象を抱くはずもなく、孤独になる洋子。それが正義だと闊歩して歩く大人達。これから学校に行く気にはなれず、今は只、遠くて低い明るい月を見るだけである。
画像)Stable Diffusion 1 Demoより作成
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?