マスター
今年一年間お世話になりました。
ありがとうございました。
『マスターもう一杯くれ。』
『スコッチかバーボンが宜しいかと思いますが。』
『この年の瀬に選ぶのか?
任せるよ、信頼してるんだ。』
リーマンの原、マスターに頼む
『来年の干支卯だからだろ、
マスター、そこの画。』
こう言う原にマスターは
『お気づきなられましたか。
かの文豪佐名鳥はじめの描いた晩年の名作です。お目が高い。オンザロックに準えてお話されるとは。』と返す。
すると原はこう言う。
『工場の管理職なんて。
オンザレール見るだけだから。
もう辞めにするか迷ってさ。』
原の一言にマスターの笑みは、
ブラックミュージックの影に準えて。
『お開きにしましょう。
次もあるでしょ、貴方なら大丈夫ですよ。
お代はなしで構いません。
落ち着いてからまた入らして下さい。』
流儀の先の奥深さは、
品格を人格に向ける技だ。
潰れる事はない。
原の腹ごしらえさえ袂におけば。
マスターは、痛み止めを飲み、店を閉めた。
皆さん、よいお年を。
画像)Stable Diffusion 1 Demoより作成
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