no title


生まれてからちょうど20回目の春を迎えた

春は嫌いだ
嫌いだった

別れは悲しいし、出会いは疲れるから
新しい環境に変わるのが苦手だから
世界がソワソワしているから

今年は大学2年生になる年だったから、そんなに環境が変わることもなかった はずだった

3月、私に春一番が吹いた

病気から回復し始めた自分の新たな門出を祝うために、初めて遠くへ1人で出かけた

そこには、私がずっといつか出会えると信じていた人たちがいた

かつて電車にも乗れなくなった私が800kmも離れた場所に1人で行けたこと、出会いたかった人たちに出会えたこと
それだけで私は自分の長い冬がようやく終わると思えた

でも、神様はまだプレゼントをくれた

魔法のような人が現れた
約束は覚えていないけど、まるでずっと前からここで待ち合わせていたかのような人だった

運命とかそういうロマンチックなものじゃない
もっと当たり前で、もっと必然のような

私は弱い人間だから、この魔法がいつか解けてしまうことを毎日考えている

それでもいいと思った 魔法の終わりまで受け入れることができたから、誰かと生きることを選べた

東京の桜は、もうすでに夏へと向かって緑だ

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