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''ZeroGravity/Roadmovie''

2023年4月26日の水曜日、俺がギターボーカル、作詞曲を担当している「せだい」の新しい3曲が収録された『ZeroGravity/Roadmovie』がリリースされました。

アルバム"Delirium"が放たれてから約10ヶ月振りとなる音源となります。
この記事では誰かにその3曲をより深く楽しんでもらえたら良いな、という思いと、自分の考えを文章にしてちゃんと整理しよう、という気分で解説とかエピソードをここに綴ろうと思います。

じゃ、宜しくオナシャス。


ジャケットについて


曲の事に触れる前に、まずジャケです。
今回のジャケは俺の撮った写真が使われてます。
俺が仕事終わりにtomoranハウス(清水の住んでる家)に行って清水と合流、その後、2人電動チャリで大井町付近を走って、良い感じの場所を見つけては撮影、というのをかなり適当にやってました。

チャリを漕ぐ清水
浜川砲台と清水


で、大体2時間くらい俺が適当に撮影した内、2つの写真を重ねたものが今作ジャケとなりました。

一つは大井競馬場前駅付近の橋を渡った先に"大井ふ頭中央海浜公園"という割とデカめの公園があるんですけど、そこにある"碧翔"という名のモニュメントの写真。
もう一つは過去にアー写やMVを撮影したこともある"かもめ橋"、その周辺に咲いていた桜の写真です。

一つ目、モニュメント"碧翔"について、写真じゃ分かりづらいですが、割とデカいです。
このモニュメントの事を調べてみると
「愛、夢、地球上の全てのものとの共生と合歓を希求し、碧空(青空のこと)に飛び立つ乙女と不死鳥の態」
を表現した作品だそうな。

公園は思いの外広く、他にもグッとくるモニュメントは何個かあったので、またゆっくり散歩してみたいです。

碧翔


二つ目、かもめ橋の桜は、"碧翔"の写真の上に薄く重ねています。ジャケだと雲っぽくなってますけど、桜です。
"桜のいろは"という曲も収録したので、まぁ桜あるに越した事は無いかなと言う気持ちで重ねました。

この日は陽が落ちきってからかもめ橋に向かったんですけど、橋が桜と共に赤、青、緑にライトアップされていて、幻想的というか、結構グッとくる雰囲気がありました。

俺と清水の他にも、スマホで撮影する親子や、カメラを持って撮影する人達がちらほら、地味に映えスポットなんでしょうか。
とりあえず良い所だったので桜の季節の夜には足を運んでみるのも乙だと思います。

かもめ橋の桜

ということで、二つを合わせて良い感じに編集加工したものが、今作のジャケとなります。
ジャケの為に撮影に出かけるのも、編集作業するのも初めてだったので新鮮でした。

二人で出かけたのに、撮影やロケーション選びは全部俺がやってしまったので、正直(清水がついてくる必要なかったんじゃね?)と疑問が浮かびましたが、彼も楽しそうに付き合ってくれたっぽくて良かったです。

撮影が終わった後、tomoranハウスでasamihuman(yubioriとかの人、住人)、いくと(aoniとかの人、住人)、さT(kurayamisakaのボーカル)を交えてドミノピザ食べたことも含め、なんかいい思い出になりました。

ということでジャケには割と愛着があります、みんなも気に入ってくれたら嬉しいです。

以上、ジャケの説明でした。


1.ゼログラビティ

2022年の8月頃からサビだけ、Aメロからサビだけ、イントロだけ、と言った感じで曲の断片を何個か適当に作り始めていたのですが、この曲はその中の一つをベースに作りました。

とにかくシンプルな構成、1番のAメロからサビまで15秒という潔さはかなり気に入っています。長さも3:13と比較的短いのも好きです。

曲作りで参考にしたのは、断片だった頃の段階では「こういうのを作りたい」みたいな意気込みは特に無く、適当に弾いて適当に合わせてメロをつけました。
後から気付いたんですけど、自分らの曲である"チャームポイント"のコード進行と少し似てますね、なので潜在意識の中ではそれがあったと思います。

本格的な曲作りに着手してからは、主にメロの部分でコレサワの"最後の彼女になりたかった"とアニメ "ヤマノススメ"の楽曲、"夏色プレゼント"を参考にしました。
どちらも自分好みの美メロで、特に"夏色プレゼント"に関しては明るいのにどこか切なく感じるのを不思議に思い、コード進行を調べたりしました。
それを実際に取り入れてます。

バンド系の音楽だと、Kings Of Leonあたりの影響があります。
個人的にはせだい始まった頃から特に聴いているバンドの一つです。
特定の参考にした曲はないのですが、去年全曲聴き返してて、やっぱりシンプルな曲展開は良いなあと思い、”ゼログラビティ”の構成がシンプルなものになった感あります。

で、作ったデモをメンバーに聴かせたら好評で一安心。
その後、昨年末のツアファイで初披露した時は歓声があがるほどの好評を受け、結構びっくりしました。

全体的にサクッと作った曲だったのですが、メンバーや友達から予想以上の反響のあったおかげで、今ではこの曲を特別に思ってます。

去年アルバムをリリースした後、かなり達成感があって、正直曲を作る気力が無くなっていたんですけど、"ゼログラビティ"が出来たのを機に、この先色々やりたい事が見えるようになったし、やっぱり曲を作り、それを誰かに聴いてもらうのは楽しいということを思い出させてくれたような気がします。

これから色んな人を巻き込んでこの曲との思い出を作っていけたら最高です。
"解けない魔法、醒めない夢"という部分は声に出して歌うと気持ち良いので、みんなも一緒に歌ってくれたら更に最高です。



2.ロードムービー

これは元々清水とリクが学生時代に組んでいたバンド、"she said moonside"の楽曲です(清水作曲)。

実は2019年くらいからたまにせだいで演奏しており、"たまにライブでやる謎の曲"として確固たる地位を確立していたのですが、それが満を辞しての音源化、その地位は退くこととなりました。

何故せだいでやるようになったかを思い返すと、2019年、清水が「この曲をちょっとメロコアみたいなアレンジにしてやりたい」的な事を提案したのが始まりだった気がします。
実際にメロコア風にアレンジし、ライブで演奏したことも2回ほどあるのですが、そのバージョンは早々にお蔵入りとなり、元音源に近い形のアレンジになりました。

で、何故今回この曲も収録したかというと、一曲だけじゃなく二曲以上リリースしてそれぞれの曲に立体感を出そうという思惑があったからです。
そして音源化してない曲ですぐREC出来るレベルの完成度だったのが"ロードムービー"と、後述する"桜のいろは"の2曲でした。

その内、"ロードムービー"は"ゼログラビティ"に劣らぬ魅力と、雰囲気的にも対に成り得ると感じたので、今回はこの二曲の両A面シングルとしてリリースする運びとなりました。(両A面シングルって今の10代とかには馴染み無いのかな……)

"ゼログラビティ"は硬質なサウンドと情熱的なメロディーが主な特徴。
対してアコギや残響音などが織りなす温かい空気感、その上に風のように心地良いメロディーを乗せた独特の世界観が"ロードムービー"には広がってます。

楽曲を作るに当たって参考にしたのは、奥田民生の"イージュー☆ライダー"、ナツノムジナの"プロペラ"だそうです(俺は初めて聴いた時、何となく渦の"ジャズとペプシ"っぽいなと思ってました)。
歌詞は映画"スタンド・バイ・ミー"から着想を得たとのこと。

今回収録するに当たって、she said moonside版の"ロードムービー"を、より良くしようと言う意気込みがありました(同じくsheの曲だった"最終電車"でもそうでしたが)。

と言いつつも今回はそのアレンジにあまり時間はかからず、大体の事がサクッと決まったような気がします。
自分が思い付いたアレンジで気に入ってる箇所は、1:47のドラムのフィル、それに合わせた爽快感のアコギのストロークと、2:27の幻想的なアルペジオ、あとラスサビに追加された風のようなコーラスワークです。
これらのアレンジは、この曲をせだいで演奏するとなってからずっと頭にあったのですが、音源で予想以上に曲と上手く馴染んだような気がします。

シンコペーションの多さ故、バンドで合わせるのが割と難しく、RECでも特にテイクを重ねた楽曲です。

でもシンプルにメロが良いので、歌ってて、演奏していて気持ちいいです。
曲名どおり、"旅感"のある曲なので、これからこの曲を散歩中、旅行中とかに聴いて、場所と音楽を結びつける形で思い出を育んで貰えたらなと思います。



3.桜のいろは

もういつだったかうろ覚えですが、俺が20〜21歳の頃に作り、学生時代に組んでいたバンドで演奏していた曲です。

それが2018年、せだいの活動が始まりたての頃、当時ライブをするに当たってまだ曲数が足りず、この曲をとりあえずリサイクルしたのがせだいとしての"桜のいろは"の始まりです。

活動最初期はセットリストにほぼ100%組んでましたが、"チャームポイント"が出来た2019年4月の終わり頃からセトリに加わることはほぼ無くなりました。

それ以降に演奏したのは2021年2月の無観客配信ワンマンライブと今年2023年2月の下北沢近道の開店記念公演の2回のみ、なので知る人ぞ知る曲が今回満を持して音源化ということになりました。

で、今回この曲を収録したのは、"ロードムービー"を収録した理由と同じです、「二曲より三曲あった方が良くね?」的なノリで。あと単純に春が近いからでした。

穏やかでゆったりしたバラード、しかもラスサビで転調するしで今までのせだいの曲からかなり距離感があるため、一応カップリングという位置付けに収めてます。

とりあえずアコギを部屋で弾いてたらサビのメロディが思い浮かんだのは覚えてます。
それ以外は全然覚えてません。

参考にした曲も全く覚えてないんですけど、フジファブリックの"若者のすべて"、"茜色の夕日"みたいな雰囲気を感じるので、恐らくそれらだと思います。

レコーディング前の確認作業の時には、リズム隊の厚さを空気公団の"こんな日"みたいにして欲しいとお願いしました。その方が沼尻のドラムにも合う気がしたので。


歌詞は、元のバージョン(無観客ワンマンライブで確認できます→https://www.youtube.com/watch?v=THuUICeX5I0&t=119s )は、なんか甘酸っぱい青春を感じさせるものとなってますが、これは作った当時から俺の声と言葉の相性が良くないような気がしてました。

なのでいつか変えようとずっと思ってて、ずっと何も思い浮かばず、結局は歌REC、録音準備を終えた後に超スピードで書き直しました(その関係でスタジオ1時間延長した)。
追い詰められて書いた歌詞ですが、春の煌びやかな風景に脱力感が混ざりあってて個人的には気に入ってます。

そんなこんなでリリースに至りました。
「まぁ無いよりあった方が良いよね」くらいの感覚でポンッと置いてみた曲ですが、リリース直後、俺の予想を上回る反響があって驚きました。

赤裸々なこと話すと、ライブで演奏していた最初期の頃は全く、本当に全くこの曲を褒められることがありませんでした。
それが音源になったことで、ようやく日の目を浴びて貰った気がして、良かったねぇ〜みたいな嬉しい気持ちになり、音源にして正解だったと初めて思った気がします。

もう大分暑くなり、春は遠ざかりました。
でもこれから春になる度、季節を彩る曲としてこの"桜のいろは"のことを思い出してくれたら嬉しいです。


おわりに

短いのか長いのか自分ではわかりませんが、ここまで読んでくれてありがとうございました。

今作は梅ヶ丘にある"hmcスタジオ"というお洒落な場所で楽器隊を録音させてもらいました(エンジニアは引き続き島田 智朗ニキ、いつもありがとう涙)。

CDなどのフィジカルも、リリース記念のイベント等も特に無いですが、我々の初音源"tomoran/Stayclears"がそうだったようにここから真っ新な気持ちで新しく始めようという意気込みが籠ってます。

なので、今までせだいを知らなかった人にも広く聴いてもらえたら嬉しいです、もちろん今まで我々の音楽を聴いてくれている人には今までとの違いだったりに気付いて貰えたら尚嬉しいです。

今年も殆ど半分くらいが過ぎましたが、この先も色々と面白いイベントが決まっているので、是非とも足を運んでいただけたらと思います。

それでは、また。

アー写撮影の時のオフショット(photo by たっつー)


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