6/11、抗精神薬

精神薬、特にせん妄に使用される薬剤に注目して学習した。
抗精神薬は主に定型と非定型に分類され、ドパミンのD2受容体を遮断することにより精神病症状を緩和する抗精神薬の中で、定型ははドパミンD2受容体への親和性が非常に高いため、抗精神病作用は強いが、振戦や硬直といった錐体外路症状などの副作用の発現も多い。それに対して非定型はドパミンD2受容体への親和性が比較的低いが、錐体外路症状の発現は少ない。しかし、ほかの脳内神経伝達物質の受容体へも作用することで定型とは異なる食欲増進や体重増加、血糖値上昇、起立性低血圧といった副作用を持つ。
本日取り扱った症例でもあるように本薬局で調剤される抗精神薬は非定型が多い。これは定型ほど強い効果を必要とせず、錐体外路症状を回避するためであると考えられる。
1人目の患者さんは施設に入居している90歳くらいの方であり、非定型のセロクエルが夕食後1錠と錯乱時に非定型にのリスパダール内溶液が処方されていた。このように抗精神薬は主に認知症などでの興奮で暴れることの改善のために使用されることが多い。また、この処方はリスパダールは効果が強いが錐体外路症状の発現は多いのに対し、セロクエルは副作用の発現が少ない。そのため毎日服用するものはセロクエルが、急な錯乱時は効果の強いリスパダールが選択されている。
2人目は、往診のパーキンソン病患者さんであり、非定型のクエチアピン、抗てんかん薬のデパケンR、睡眠薬のロゼレムと抗うつ薬であるテトラミドが処方されていた。このように精神系の薬物は試行錯誤の上で、多数の薬が使用されることが多い。また、統合失調症の治療薬であるジプレキサが食欲のない場合に出されることがあるように抗精神薬以外の適応で整形などで処方されることがあるため、他科受診があるときに注意が必要となる。

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