4/26、Fantastic Four、SGLT2

今日は慢性心不全に適応のあるSGLT2阻害剤について教わった。
近年では、心不全治療薬においてThe Fantastic Four という言葉がある。β遮断薬、アルドステロンブロッカー、ARNI(ACEI/ARB)、SGLT2阻害薬の4種が、現在の心不全治療の核となっていることからこのように呼ばれている。その中でもSGLT2阻害剤のは2019年に慢性心不全への有効性が証明されたばかりである。
患者: トラディアンス配合APの処方。トラディアンスはトラゼンタとジャディアンスの配合錠である。SGLT2阻害剤といえば糖尿病治療薬であるが、その全てが慢性心不全に適応を持つわけではなく、ジャディアンス(エンパグリフロジン)とフォシーガ(ダパグリフロジンプロピレングリコール)の2剤が慢性心不全及び慢性腎臓病に適応を持つ。ジャディアンスは10mg、25mgが2型糖尿病に適応を持つが、慢性心不全•腎臓病には10mgのみ適応を持っている。ジャディアンスを2型糖尿病治療に用いる場合では、腎機能を考慮する必要があり、45>eGFR>=30では必要性を十分に判断すること、30>eGFRでは血糖降下作用が期待できないため投与不可となっている。慢性心不全•腎臓病ではeGFR>=20まで投与可能であり、20>eGFRでは腎機能が悪化する恐れがあるため慎重投与となっている。対してフォシーガは慢性心不全•腎臓病では25>eGFRでは腎機能が悪化する恐れがあるため慎重投与となっており、ジャディアンスよりわずかに適応域が狭い。そのため実際にはジャディアンスの方が使いやすいとの見方もある。
薬には主作用以外の効果が新たな適応となることがある(アスピリンの出血→抗血栓薬)。その際には、適応によって対象となる患者さんの状態(腎機能など)や、用量、注意点など様々な違いがある。同じ物質であっても適応によって、異なる薬になることを学んだ。

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