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ダニエル・レヴィが持つ2つの側面がもたらす誤解

こんにちは。Mi2です。
新年になってからしばらく経ちましたが、いまだに正月ボケの私は新年の風に吹かれて、スパーズブログでも書いてみようかなという気になってしまいました。
というのも、最近QSIがスパーズに投資しようと考えてレヴィと会談したとか、ジョー・ルイスがクラブを売却したがっているとかの話が出てきており、スパーズがピッチ上で波に乗り切れないことも相まって、ENIC OUT, LEVY OUTの声が大きくなっています。ENIC OUT勢の声が大きくなるのは今に始まったことではないのですが、少し自分の考えを整理するためにも文章でまとめてみようかなと思いました。

ENIC OUT勢のツイートを見ているとレヴィは相当嫌われているなと感じます。彼らの意見をざっくり言うと、レヴィはビジネス面での成功ばかりに気を取られており、ピッチ上で求められる投資をしていないせいで、スパーズはタイトルから遠ざかっていると言うものです。
レヴィがなぜ嫌われてしまうのか、私から言わせるとなぜ誤解されているのかを考えてみると、レヴィはスパーズファンでありつつ、優秀なビジネスマンでもあるという二面性を持っており、本来は歓迎させるべきこの2つの側面が原因となって一部のサポーターに悪い印象を与えているのかなと思うようになりました。
レヴィ評についてはそれこそ人それぞれあると思うので、こういう風に考えてる奴もいるんだなぁと思ってもらえるとありがたいです。また、私はスパーズのあるイングランドから遠く離れた日本に住むただのサポーターですので、情報も追い切れていなかったり、思いつきで始めたために、抜けている視点があると思います。そこら辺はご容赦ください。

さてさて、まず私のスタンスですが、もちろんレヴィのことを支持しています。レヴィを好きな理由は色々ありますが、私はただのサポーターですので、やはり感情的な部分が大きいです。ほとんどのスパーズサポの皆さんと同じように、私もENIC体制しか知らず、レヴィと共にスパーズの成長を見てきました。また、私の中のスパーズはハゲと共にあったのです。レヴィをはじめ、今でも1、2を争うほど好きな監督であるマルティン・ヨルや印象的な選手たち(アラン・ハットン、フリーデルおじさん、ルーカス…etc.)もハゲでした。コンテもハゲ(植毛)ですしね!あ、早速ちょっと脱線してハゲ話をしてしまいました…
本題に入ります。

1 スパーズファンという側面

普通は会長が自分たちのクラブのファンであれば、最高じゃないですか?皆さんご存知のとおりレヴィは生粋のスパーズファンであり、それは今も変わりありません。しかし、レヴィはスパーズファンであるが故にちょいちょいミーハーな判断をしており、それで失敗することがあります。

①ポチェッティーノ政権時の失敗
これは皆さん言うことですが、レヴィはポチェのフットボールが大好きだったと思います。そのためデレやエリクセンなど主力選手を移籍させることはなく、長いこと同じメンバーを維持してしまいました。血を入れ替えないためチームはマンネリ化し、そうこうしているうちに選手達の売り時を逃してしまい、気づいた時にはチームは"痛みを伴うリビルド"を要する状態となってしまいました。まぁ、ここには新スタ建設に伴う財政緊縮が重なっているため少し複雑な話ですが…
また、ポチェがCL決勝に行った翌シーズン、クラブとしてもビッグクラブの仲間入りをするための重要な時期にポチェのオーダーでエンドンベレのような才能はあるんだけど不安要素があり、他クラブが手を出さないような選手に大金をはたいてしまいます。スパーズが他のビッグクラブやオイルクラブと違い、頑張ってもそういう選手しか取れない段階だったという見方もできると思いますが、やはりポチェを信頼しすぎた結果であるように思えます。そんなこんなで、ポチェへの心酔が裏目に出てしまい、余計に自分の首を絞めてしまいました。
まぁ、スパーズファンなら移籍金がインフレ化しつつあるプレミアリーグにおいて、若手使って低予算でトップ4には入れていたポチェ政権は夢のような時期でしたし、好きになっても仕方ないとは思います。ポチェの功罪は大きいと思いますが、今でも私自身は大好きな監督です。

②モウリーニョの招聘の失敗
ここはスパーズファンというよりフットボールファンの面が裏目に出たと言うべきですが、モウリーニョの招聘もレヴィのミーハーな判断が引き起こした失敗です。
レヴィは以前よりモウリーニョのファンであり、念願叶ってポチェ解任後にモウリーニョを監督として招聘しています。しかし、そもそもモウリーニョはスパーズというクラブの監督としてベストな人選だったのでしょうか?レヴィはモウリーニョ解任後にスパーズのDNAを「流れるような攻撃的なフットボール」と表現しています。モウリーニョはそんなフットボールをする監督ではなく、勝つためには何でもする監督だと思います。就任当時はモウリーニョという劇薬が吉と出るか凶と出るかとワクワクしましたが、振り返るとまぁスパーズには合わなかったですね。
レヴィは冷静に判断すれば、そんなこと分かったと思いますが、ファンとしての気持ちが判断を誤らせたと思います。
ちなみに私もモウリーニョは好きですよ。あのおじさん面白いし、レドナップ爺さん以来、久しぶりに記者会見が楽しみになりましたもん。

③ファンとしてのフットボール観
ここは1から100まで妄想ですが、ファンって自分と価値観の違うフットボールの作り方はわからないと思うんですよね。
レヴィは前述の通り、若手で攻撃的なフットボールをして、あわよくば強豪たちと渡り合うというフットボールを好んでいると感じます。ですので、今のコンテがやりたいような、次の売却のことは考えず、即戦力を取ってきて、今勝つことを重んじるフットボール(いわゆるビッグクラブのフットボール)の作り方はわからないんではないかと思います。ビジョンはあるけど、プロセスが描けないので、自分の価値観が入ってきてしまい、外から見ると矛盾しているように見えてしまうというか…
ここらへんは抽象的に思っていることなので、なかなか言語化することは難しいですね。

④余談(ラフィーの獲得)
これは完全な余談ですが、ラフィーの獲得もレヴィのミーハー判断の一つだと思います笑
これはたまたま成功して、ラフィーは今でもサポーターに愛されています。
2010年の夏、デッドラインデーに当時レアル・マドリードに所属していたラフィーを獲得しましたが、当時のスパーズにとってラフィーはビッグネームでしたし、何より若手の選手ではなく、当時のスパーズの移籍ムーブからしても特殊でした。当時、おしゃべり大好きお爺ちゃんのレドナップ爺さんはレヴィからデッドラインデーに突然電話がかかってきて、「ラフィーはほしいか?」と言われ、「ほしいに決まってるだろ」と答えると、「わかった」と言って、すぐに移籍をまとめてきたと暴露しています。レドナップの言うことなので、全て真実とは言えないにしても、直前までラフィーの噂は一切出ていなかったので、そこそこ本当の話かなと思ってます。
結果、ラフィーはスパーズで活躍したしたが、正直あの当時のチームにラフィーをどう組み込むのかずっと苦労してた記憶があります。

2 優秀なビジネスマンという面

もう一つの側面の話をしたいと思います。サポーターであれば自分たちの会長が経営者として優秀であってほしいものです。
レヴィが会長に就任した2001年以降、スパーズは大きく成長しています。ピッチ上では長年中位10位前後をフラフラしていたチームをCL権争いができるようにし、財政面では17-18シーズンでは税引き前の利益として1億3900万ポンドという当時のサッカークラブ最高額を叩き出しています。そしてクラブとしての価値もアラン・シュガーからスパーズを買い取った価格が6000万ポンドだったと言われていますが、現在は16億ポンドから17.6億ポンドと言われるまでに成長させています。
しかし、フットボールビジネスとして正しい判断が必ずしもサポーターに受け入れられるわけではないのです。

①タフネゴシエーター
まず、他サポを含めレヴィのイメージと言えばタフネゴシエーターであることだと思います。交渉の場では粘り強く、びた一文譲らない。レヴィは今までリヨンのジャン=ミシェル・オラスやディナモ・ザブレブのマミッチといった怪物級の会長と交渉をしてきています。あのファーガソンでさえ、ベルバトフをめぐる交渉を振り返って、「彼との交渉は人工股関節置換術より痛みのあることだった」と言っているほどです笑
まぁ、そんなシビアな交渉をするレヴィなので、予算の管理は徹底しているはずです。その結果折り合わなければ決して無理はしません。それに加えて、ここ10年〜15年くらいは某青(クラブ名も言いたくない)やシティのような無尽蔵に資金投入してくるゲームチェンジャー達と移籍市場で争わなければいけない状況です。レヴィは厳しい条件で戦っていたと思いますが、サポーターとしては、あと少し金を出せば取れただろという案件も多くありました。近年ではルベン・ディアスとかがありましたね。また、レヴィが臨時的に交渉したスペンスとかも粘って粘って合流が遅れました。私としては、お金は無限ではないため、きっちり予算管理できているんだなくらいに思ってますが、サポーター心理はやっぱり逃した選手が他クラブで活躍している姿は見たくないものです。そしてこれがスパーズがタイトルから遠ざかってる原因と評価されているみたいですね。私はこれが1番の原因とは思いませんが…

②ESL騒動
欧州スーパーリーグ構想(ESL)はレヴィのビジネスマンとしての判断がサポーターの怒りを買った典型例です。近年の欧州フットボール界は放映権の高騰もあって、成績によって収入が大きく変わってしまいます。そのせいもあって安定した状態で戦略的なクラブ経営ができなくなってきています。その抜本的な解決策としてESL構想があり、これは安定した基盤をもとにスパーズを強化していきたいレヴィにとって、非常に魅力的な案だったのではないでしょうか?特にCL権を争うスパーズのようなチームにとってはESLに入ることは大きな成長に繋がったでしょう。これは真にビジネスマンとしてのレヴィの判断だったと思いますが、これが純粋な競争を求めるファンの怒りを買ってしまうことに。レヴィは金儲けのことしか考えていないというイメージを強めてしまう結果となってしまいました。

③レヴィの報酬
レヴィは一昨年時点で年間約300万ポンドの報酬を受けており、プレミアリーグで2番目の報酬額です。
レヴィはオーナーのジョー・ルイスの力をほとんど借りることなくスパーズをここまで成長させている訳ですし、この金額はビジネスマンとして正当な自己評価だとは思いますが、ここは人それぞれ評価が分かれるところだと思います。ENIC OUT勢は貰いすぎと言い、これがレヴィがクラブを使って私腹を肥やしていると思われている原因のようです。

Swiss Rambleのツイートより引用


3 まとめ

以上、思いつきで書き出してみましたが、レヴィはサポーターが会長に求める理想像、つまり"クラブを愛し、発展させる経営力を持っている人"だと思います。しかし、レヴィがスパーズファンであるが故にミーハーな判断をしてしまうことや敏腕経営者であるが故に我々サポーターとは異なる価値観の判断をしたという印象を与えてしまうことがあります。この2つを合わせるとサポーターにとって相当悪い会長に見えてしまうかもしれませんね。

私個人としては、もちろんレヴィは完璧だとは思いませんが、我々サポーターが求める理想的な会長の要素を持っている人であり、レヴィの犯した数々の失敗もレヴィの人間臭さを感じて、愛着を持ってしまうくらいです笑(これはちょっと肩を持ちすぎかな?)

今はスパーズというクラブの転換点であり、大きく変貌しようとするクラブの舵取りを今後もレヴィに任せていいのかと意見もあると思いますが、就任当初、交渉がお世辞にもうまいとは言えなかったレヴィがここまでのタフネゴシエーターになるのですから、これからもきっと一皮剥けたレヴィを見せてくれると信じています。
文章を書くのは難しいですね。何が言いたいのかわからなくなってしまいましたが、とりあえずハゲ最高!ということです。
ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました!今夜のNLDは内容がどうあれ、勝ちましょう!COYS!

なお、今回のブログを作成するために参考にした記事や資料は下記のとおりです。


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