タローの散歩
病院の先生から僕はプールの許可をもらった。
「調子を見ながらね」
「はい」
もちろん、そのつもりだ。
バイトは、相変わらずできない僕だけど何とか続けてる。
ただ、気になるのが・・
チビ貧弱だから仕方ないなぁ~
みたいな感じが伝わってくるのが辛い。
「タロー散歩いくぞ」
バイトの時はなかなかタローと散歩に行けないけど・・
そういえば、僕がバイトの時は誰がタローの散歩に行ってるの?
気になる。
僕は、今はまだ週に3日~4日がバイトだけど5日は入りたいって言ってるから、いづれ5日になるはずだ。
「お母さん、僕がバイトの時って誰がタローの散歩いてるん?」
「お母さんだけど」
やっぱりか・・・思った通りだ!!
コロの時もジローの時もそうだ。
いつも、兄たちは面倒を見ない。
しかも、タローを連れてきたのは長男だ。
「何が雨に濡れてて可哀そうだったからだ」
僕は吐き捨てた。
お母さんも当然のように頷いていた。
いつも最初だけで後は自分の楽しいことばかり。
「タロー行くぞ!!」
もう1度繰り返して怒ったように僕は出ていった。
「タローお前は誰が1番好き?」
タローは僕にずっと寄り添い歩幅を合わせているように見えた。
僕が少し走るとちゃんと僕と同じペースで走った。
「お前は本当に賢くて可愛いよな」
タローは無邪気に散歩を楽しんでいた。
少し大きくなったからだを持ち上げて抱っこしてみた。
大人しく僕に体を預け最大の信頼を見せつけた。
「やっぱり僕がいないとダメだな」
「お前は僕が好きでたまらないんだろ?」
タローは僕がずっと守る!!
「散歩が遅くなってもいいか?」
タローはずっと僕に抱かれていた。
きっとOKってことだな。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?