レジェンド&バタフライをAmazonプライムで見た話

「愛の物語である」という通りだった。
情けのないワッパであった信長と、男より男らしい濃姫のやり取りはなかなか痛快だ。
信長の、輿入れの際に着飾ってみせる様子は、結婚することを心から喜んでいて、妻となる人と会うのを楽しみにしているのだな、という可愛らしさが良かった。
対するは信長のクビ取ったろうという気満々の濃姫。
組み敷かれてボコボコにされる信長の情けなさと、気丈な濃姫、それを見守っている各務野と福住。
各務野と福住がいなければ成り立たない話だな、と思うくらい2人の存在は素晴らしかった。

信長と濃姫の出会いから夫婦としての有様をじっくりと丁寧に描いてくれたことによってふたりの心の通わせ方、その後の展開にぐっときた。
最初の頃はいがみ合ってやり合って、でもそんな濃姫に惹かれていく信長と、濃姫に振り向いて欲しいから無茶をしている信長を呆れながら見ているが、そんなこどものような彼の純粋さに惹かれていく濃姫。

情けない大うつけと言われた男が、濃姫という伴侶を得てからの快進撃。
縁の下の力持ちというか、内助の功というか、ふたりで作り上げていった「信長像」と、妻の理想を叶えようと「信長」になっていく彼の切なさがギュッと詰まっている。
信長は最初から第六天魔王ではなかったし、最後まで第六天魔王ではなかった。

だが彼の魅せるカリスマ性や、周りが手を貸してやりたいと思わせる人情味、それから妻の理想を叶えようと、ついには人であることをやめた信長の刹那的な狂気の香り。
そこに惚れた明智光秀の働きが私には本当に理解出来た。
光秀はなぜ本能寺の変を起こしたのか?
そこに存在した「ある愛の物語」もまた見どころの一つかもしれない。
本能寺の変の描き方は本当に素晴らしく、信長の気迫と、刹那の夢、それから、愛の話。
ラストからのエンドロールの流れも良かった。

物語は、ここでおしまい。

「なんのためにワシは天下を目指したのか」その問に蘭丸は本当の意味で答えられない。
信長の中にはずっとあった、天下統一は妻の夢だった。それを叶えてやりたかったのだ。
政略で結ばれたふたりが、本物の愛を手に入れたお話だった。

各務野の柔らかな声と、福住が最後まで濃姫の忠臣であった様、また、信長を取り巻く部下たちの陽気さが救いになる。
最期まで彼を守った森蘭丸の愛もまた素晴らしかった。

信長をキムタク様が演じることに意味がある作品だったな、と思いました。
信長と濃姫の不器用な愛に涙した三時間でした。

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