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簡単に陥りやすい分断本能「ファクトフルネス」書評・所感

おはようございます。本日は、ハンス・ロスリング氏著書の「ファクトフルネス」を取り上げたいと思います。

本書は言わずと知れたベストセラーであり世界で300万部売れた書籍です。統計データを元に、現在の世界において未だに存在する誤った認識や先入観を解消しながら、正しい視点とポジティブな認識を持ち続けることの重要性を説いています。

世界の中でも日本で最も売れている(85万部)そうです。日本人の心を掴んだのはなぜなのか?そんな点に注視して本書からの学んだことを以下にまとめておきたいと思います。



1.分断本能

人類社会は過去70年で画期的な進歩を遂げ、格差縮小や人間の幸福度向上など、多くの領域でこれまでに前例のない速さで発展を遂げています。今や世界の人口のうち低所得国に住んでいるのは9%であり、またほとんどの人が想像するほどそれらの国の暮らしは苦しくないのです。

しかし、そのようなポジティブなデータやニュースにはあまり目が向けられていません。世界の課題を話し合う立場にあるリーダーですら、未だに「貧困、疫病、戦争」の三悪の存在が、特に発展途上国において深刻な問題であるという誤った認識をもっています。

では、なぜ私達の認識は間違ったものであるのでしょうか?それは「分断本能」と呼ばれる現象によるものです。

人間は生物学的に社会的であり、敵か味方かを正確に判断するために、いつも人々をグループごとに分けています。簡単に言えば、私達は「二元論的思考」に陥りがちで、友と敵、正義と損失、うまいとまずいなど、何かにつけて二つに分けて考えます。

しかし、このような単純化が世界を理解するために不十分で、個別の事象を詳しく観察することが必要です。分断本能は、私たちに対象を簡単に理解することを可能にする一方で、重要な事実や情報を見落とすことがあります。また、分断本能は、偏見や差別などの問題を引き起こすこともあります。

極端な数字や例は私たちの興味をひき、分断本能を刺激します。分断本能から抜け出すには、話の中の分断を示す言葉に気がつくことが大切です。そして多くの場合には分断は存在せず、誰もいないと思われていた中間部分に大半の人がいるのです。

2. 日本社会と共通する課題

日本社会においても、「分断本能」によって、差別や偏見が生じやすい問題がいくつかあります。たとえば、地方と都市との間にある「二極化」や富裕層と貧困家庭の間にある「格差社会の拡大」は、私たちの社会における労働や生活水準、教育、政治文化など様々な領域で反映され、問題を引き起こしています。

また、少子高齢化と人口減少が深刻化する社会においてはシニア世代、若者の雇用問題、外国人労働者の受け入れ、多様な価値観への対応など、多くの問題が先の観点から複雑化しています。

本書が発売されたのは新型コロナパンデミックが起こり、日常生活が一変した時期と重なっていました。日本でよりたくさん売れた理由は、コロナ禍が与えた人々に与えた恐怖や不安がより深く共鳴する国民性が影響していたのではないでしょうか。確かに2023年現在においてコロナからの脱却、経済の再開が世界に比べて日本では遅れているのは事実です。

私たち一人ひとりがファクトフルネスな視点を持ち分断本能による偏見や先入観を克服していくことが社会課題を本質的に解決して上ではますます必要となってくると感じました。



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