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徒然 2024 ⑴


徒然 2024  ⑴


2024.03.21.15:20

「実はね、これ、撮影なの」

都営のバスに揺られて、景色を見ていたわたしに、あなたはどこか神妙で、そしてどこか得意げな表情である。

そしたら、乗客はみんなエキストラの方ってこと?

「そうだよ、頼んでるの。降車するときに、お礼言ってるんだよ、お疲れ様でした〜って」飄々と手をヒラヒラと。


映画の撮影場所を回るように、バスがゆっくりと道を行く。
その都度に、「あ、ここは、あのシーンのところだよ。ほら、車にさ轢かれたとこ」、「あそこの2階の喫茶店が阿部寛と○○○に似てる女優さんが話してたとこ!」と話してくれる。

すごいお金かかってるんやない?

「そうだよ、今回の撮影でこれ、300万だよ」

エキストラの方は、次の現場にいくの?

「いろんなパターンがあるよ、今降りてった人たちはみんな、事務所所属の人だよ」
「人選にもこだわってるの」

途中で道なりに、私の名に似た歯科が建っていた。
あれ、私の名前に似てるね。
「あれもね、したの」
思わず、吹き出しそうになった。いや、吹き出して笑っていたかもしれない。

「あれはね、キャッシュでしたの」

どうやら今回のバスでの私への撮影のプレゼントは400万くらいかかっていそうだ。
なんて高価な。
しかし私の心があたたかかったのは、あなたのユーモアや想像力の伸びやかさと、優しさであった。

どこに協賛もらったの?ときくと
「高島屋、三越、みずほ…」
みずほファイナンシャルグループが出てきた時点で、限界で笑ってしまった。
彼曰く、協賛を断られた方が言うに容易いらしい。
名だたる企業に協賛をいただき、大金をかけて、チーフとして、私を楽しませて、撮影を敢行したあなたに賞賛をおくるね。

ありがとう。

なんと穏やかで、幸せな数日間であったか。

また来月に、会えるといいと思います。

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