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言語を教えるときに大切なこと

私は、15年以上にわたって

日本に住む韓国人ビジネスマン

アメリカに住むアメリカ人ビジネスマン

東京都の学校に通う(フィリピン、中国、アメリカ、タイ、韓国などの)外国にルーツを持つ小中学生

などなど、数多くの人を相手に日本語の個別指導を行ってきた。

その中で、感じることは何といっても自分の「忍耐力」の重要性である。

教えることを我慢する

例えば、生徒さんが日本語のテキストを読んでいる時に、その人が読めない部分を私が教師心から先に声に出して教えてしまったら、その人はその瞬間に、その文字について考えて読み方を思い出すチャンスを失ったことになる。だから、私はぐっと我慢する。

ただ単に「読む」という一つの活動としてくくってしまうことは簡単だけど、「読む」ときの質をいかに高められるかがとても重要だと思う。

その質を高めるには、なんといっても指導者側の忍耐とセンスが必要になる。

教えるときに必要な忍耐

相手がその文字を読めずに先に進めないでいるのに、ずっとただ闇雲に待っのが、忍耐ではない。どんなベストなタイミングで、どんなヒントを出せば、相手が自分の頭で考えてその文字を解読することができるのか。それを考えながら相手に接することが重要だ。

どんなタイミングがベストタイミングなのか、それは、残っている授業の時間や、その言葉の大切さ、相手の性格・学びのスタイルにもよってくる。

例えば、多読して多くの語彙を吸収していくべき時期の人であれば、待つ時間は少なく、どんどん読み進める方が大事だろうし、音読みや訓読みの区別に課題があるのであれば、少し長めに待って、相手が過去の学習内容を想起できる時間をとった方がよい。言語習得の旅は十人十色なのだ。

とはいえ、「待つ」ことは簡単ではない。待っている間は、相手が「うーん」とか思い出そうとしている声を除き、沈黙である。普通のコミュニケーションですら、沈黙はキツイと感じる人すらいる。でも、この待つ間を、時間の無駄と考えて焦るか、相手の思考の粒子が空間を漂っていると考えるかは、個別指導をする人にとって、本当に大切なポイントだと思う。

時間の無駄、効率的でない、と考えずに少し自分の「忍耐」を意識するだけで、相手の言語習得がむしろ結果的には効率的に進むことがある。自分へのノート。

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