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事業再生のこと-2

●リスクヘッジは経営に限ることじゃない

物騒なニュースが飛び込んできた。こんな時代に戦争とはきな臭い。

彼の国の事だと遠目に覗くだけじゃなく、どこにでも起こる事だと考えるのが経営者の視点だと思う。

地震、津波、異常気象、地球温暖化などの天災。

火災、盗難、詐欺などの人災。

起こりうる全てのことを想定しておく必要がある。

スタートアップの企業やその経営者は経験を積んでいないから、想定できる範囲も狭い。それでもリスクに直面した時にはそれらを回避する術を持った企業や組織のサポートが必要になる。それは保険会社であったり、弁護士であったり、税理士であったり、あるいは国からの援助であったり金融機関であったりする。

「何が起こったら、どこからサポートを受けられるか?」という知識は経営陣は知っておかなくてはならない。仮に弁護士や行政書士などのスペシャリティなサポートを受けるなら、それなりのコストは覚悟しなくてはならない。

今、世の中で起こっている様々な危機は、ある意味私たちを賢くする経験となる。リスクヘッジを学ぶためにはこの時代を乗り越えることはとても重要な局面だと言える。

もちろんの話ではあるがスタートアップ事業は拡大することを期待する。その反面事業そのものが失敗する可能性の方が高い。生き残るスタートアップはごくわずかで、その成長を見込んで人は投資する。

投資家はスタートアップの急激な成長を期待する。スタートアップも急激に成長して、投下した資本を短期間で取り戻して利益を生み出そうとする。

かつてのスタートアップの成長スピードを見てきたはずなのに、自分たちはもっと早く大きく成長できると信じている。欧米では失敗したスタートアップに対しても、そのスキルや成長性を見込んでさらに投資を続けるが、彼らの利益に継続性があるか、ブランド力を生み出せるかということには無頓着な気がする。

成長スピードが大きければ大きいほど失速するスピードも大きくなるしリスクが高くなる。まるで短期間に投資した資本を回収して継続性は無視しているかのような投資の仕方になっている。いわゆる一時的なバブルを起こして収益を奪取して逃げようとしているように見える。

たくさん隠されているリスクをすり抜けて逃げ切ったものが勝者となるゲームを見ているようだ。

経営者は自社の成長速度を上げて事業そのものを売り逃げしようとするものと、事業を継続して成長させ緩やかに育てていく2つのタイプに分かれているように見える。

よく経営には「スピードが必要」と言われるが、それが全て正しいとは限らない。

「常に高収益を上げ続ける」「成長を続ける」ことを目的とするならば、世界情勢や景気の動向、傾向に応じた変わり身を素早くすることが必然となって「変化のスピード」が必要になる。

しかし、世界情勢というのは変化自体はごく短い数年で起こるが、その兆しは10年以上かけて熟成させているものだ。変化の前兆に早くから気がつくことも大切だし、一つの変化が次の別の変化をもたらすことを予測する力も必要になる。

経営に対するリスクは「スピード」によるリスクも含まれる。それはもちろん「変化の遅さ」に対するリスクだけでなく「変化が早すぎる」リスクも含まれる。

「経営革新」やDXという言葉が飛び交っているが、経営というのは単純で直線的なものではない。「維持」と「革新」を常に併せ持ったハイブリッドなものでなくてはならない。必要な速さは「変化の速度」ではなく「情報のキックバック」であり「生じるリスクへの対応能力」だと考える。

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